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危害のおそれのある土地等の設定 6-1 区域設定対象の地滑りブロックの選定

(1)地滑りブロックの抽出

地滑りブロックの抽出に当たっては,一旦大まかなブロック設定(一次設定)をし た時点で,「人家等が存在する箇所」や「人家等の立地が予想される箇所」(以下,人 家等が存在する箇所等)が存在する場合には,それに被害を及ぼしうるブロックを細 分化して抽出(二次抽出)しなければならない。

これは,土砂災害防止法では地滑り下端線より下方側のみが「著しい危害のある土 地」として抽出されるため,地滑りブロックの抽出にあたっては,「人家等が存在する 箇所等」の上部に「ブロックの末端部」や「小ブロック」があることを見落とさない よう細心の注意を払う必要があるためである。

なお,「人家等が存在する箇所等」が地滑りブロック内にない場合には,煩雑になる ことを避け,一次設定のみを行い,それ以上細かなブロック分けは行わないものとす る。

図Ⅲ-6.1 に地滑りブロックの選定フローを示すとともに,図Ⅲ-6.2~6.3 に「人家 等に存在する箇所等」に関係する小ブロックの抽出イメージを示す。

一次設定(大まかな設定)

「人家等が存在する箇所等」がブロック内にあるか?

YES NO

二次設定 設定終了

※「人家等が存在する箇所等」がない場合は,

煩雑になることを避け,細分化しない。

「人家等が存在する箇所等」に関係する 小ブロックがブロック内にあるか?

YES NO

細分化して小ブロックを抽出する 「人家等が存在する箇所等」に関係ない 小ブロックは抽出しない。

「人家等が存在する箇所等」の上部が末端部となる 可能性について細心の注意を払う必要がある。

図Ⅲ-6.1 地滑りブロック抽出のフロー

図Ⅲ-6.2 「人家等が存在する箇所等」に関係する小ブロックの抽出イメージ(1)

(2)地滑りブロック区分

抽出した地滑りブロックについて,隣接する地滑りブロックの挙動予測や連動性,一 連性の検討を実施し,単一ブロック,複合ブロックに区分する。

第2章で抽出した地滑りブロックは,机上調査及び現地踏査によって,通常規模で 起こり得る単独の地滑りブロックを特定したものである。

次に,隣接する地滑りブロックと連動した挙動の予測を行い,誘因条件により最大 規模の滑動範囲を予測し,滑動の形態に応じて単一ブロック,複合ブロックに区分す る。

【単一ブロック,複合ブロックの定義】

単一ブロック 地滑り滑動が,単独で完結する地滑りブロック

複合ブロック 地滑り滑動が,隣接する地滑りブロックと連動する地滑りブロック の集合体

【解説】

1)単一ブロック

隣接する地滑りブロックが存在しない場合,または,存在しても連動しないと判 断される場合など,斜面内において単独で滑動が完結する地滑りブロック。(図Ⅲ -6.4)

図Ⅲ-6.4 単一ブロックのイメージ図(単独で存在する場合)

2)複合ブロック

・ 一つの地滑りブロックが滑動すると,その影響により隣接する複数の地滑りブロ ックが連動すると考えられる地滑りブロックの集合体。(図Ⅲ-6.5~6.7)

・ 移動方向やすべり面の深さが既往調査等により明らかになっており,これらの違 いから隣接する地滑りブロックが相互に影響を及ぼさないと判断される場合は,

ブロック区分上は複合ブロックとするが,区域設定は個別に行うこととする。

①の滑動により,下部の②が載荷の影響を受けて滑動すると判断される場合,また は,②の滑動により,上部の①が押えを失った形で滑動すると判断される場合,①

②が複合ブロックとなる。

図Ⅲ-6.5 複合ブロックのイメージ図(1)

①の滑動により,上部の②が押えを失った形で滑動すると判断される場合,または,

②が①と一体として滑動すると判断される場合,①②が複合ブロックとなる。

図Ⅲ-6.6 複合ブロックのイメージ図(2)

①の滑動により,下部の②が載荷の影響を受けて滑動すると判断される場合,また は,②の滑動により,①の末端部が削り取られるため①が滑動すると判断される場 合,①②が複合ブロックとなる。

図Ⅲ-6.7 複合ブロックのイメージ図(3)

(3)確定度ランク区分

【解説】

1)判定の基準

①地滑りが滑動中であると判定する基準

・現地踏査時に,目視や聞き取り調査等によって,地滑り滑動が確認されること。

・地表伸縮計やパイプ歪計等の動態観測によって,変動が確認されること。

・動態観測が行われている場合は,表Ⅲ-6.3 の赤枠内に相当する累積変動が確認される こと。地滑り性の変動が少しでも確認できれば滑動中であると判定し,表Ⅲ-6.23 中 の変動A~Cを「滑動中」の目安とする。なお,変動Dについては,変動B以上の日 変位量であるが,地滑り以外の要因や誤差によるものと判断されるため,対象とはし ない。

②地滑りブロックの輪郭(特に末端部)が確定できると判定する基準

・地滑り末端域の押し出し,隆起,圧縮亀裂,崩壊等の現象から,末端部が確定できる こと。

・地滑りの動態観測や既存資料からすべり面が把握でき,これに基づいて末端部が確定 できること。

表Ⅲ-6.3(1) 地滑り動態観測の一般的な変動種別(地表伸縮計)

2)判定の方法

地滑りの滑動状況及び輪郭(特に末端部)は,現地踏査,動態観測及び聞き取り調 査によって確認する。

①現地踏査

・現地踏査では,地滑り滑動によって地表に現れる様々な現象を調査し,分布状況や 明瞭さ,新鮮さ,変位量等を把握する。

・地滑り滑動を示す主な現象を以下に示す。

地滑り頭部 滑落崖,二次崩壊,滑落崖の後方亀裂

滑落崖下方の凹地や陥没地形(水がたまって池や湿地となっている ことあり),引張亀裂,湧水等

地滑り側部 側方崖,側方凹地,側方リッジ,湧水等

地滑り内部 副次滑落崖,引張亀裂,圧縮亀裂,隆起,陥没,傾木,湧水等 地滑り末端部 押し出し,隆起,圧縮亀裂,崩壊,傾木,湧水等

構造物 家屋等や土木構造物に発生する亀裂や変形,破壊等の異常現象

・滑落崖や側方崖,亀裂,押し出し等については,幅や高さ(比高),延長等を計測 し,概略の移動量を把握する。

・明瞭さや新鮮さは,滑落崖や亀裂の表面の苔や草の生え方,根切れ,表面侵食の状 況等によって把握する。

②動態観測

・動態観測では,主に既存の資料を基に定量的な地滑り滑動を確認する。

・動態観測手法は,伸縮計,歪計,傾斜計,移動杭等を指す。

・既存の伸縮計や歪計による観測データが存在する場合は,それらを用いて地滑りの 滑動状況を把握する。この内,伸縮計では,前掲の表Ⅲ-6.3(1)において,赤枠内に 相当する累積変動が5日以上継続して観測された場合,地滑りは滑動中と判断する。

一方,歪計の場合は,前掲の表Ⅲ-6.3(2)において,赤枠内に相当する累積変動が,

基礎調査時点から遡って観測されている場合,地滑りは滑動中であるとする。滑動 中の目安は,以下の通りとする。

パイプ歪計の場合 月変動量 100μS(表Ⅲ-6.3 中の赤枠内)

地表伸縮計の場合 日変動量 0.02mm 以上(表Ⅲ-6.3 中の赤枠内)

・動態観測施設の内,地表伸縮計は,地滑りブロック頭部のデータを利用する。

3)対策施設の効果評価

①効果評価の考え方

対策施設が施工されている地滑りブロックについては,「著しい危害のおそれのある 土地設定の有無」と「特定開発行為の許可」を判断する目的で,その効果を評価する ものとする。なお,地滑りの滑動状況の判定は,前述の確定度ランクの特定に反映さ せるものとする。

地滑り対策施設は,地滑りを安定化させることを目的として施工される「地滑り防 止工」と,地滑り地塊の滑りに伴って生じた土石等を堆積させることを目的として施 工される「地滑り堆積施設」がある。

したがって,その効果が十分発揮されていれば,相応の評価をし,著しい危害のお それのある土地を設定しない,または著しい危害のおそれのある土地から除外するこ とが妥当であると考えられる。

②地滑り防止工の効果判定

効果の判定に当たっては,「地滑り対策が計画安全率を確保しているか」ということ と「地滑り滑動が確実に停止しているか」ということを確認する必要がある。

・計画安全率の確保

対策施設として,横ボーリング工,頭部排土および抑え盛土のような抑制工と,杭 工やアンカーのような抑止工があり,複数の工法の組み合わせが採用されることも多 い。対策工は条件に応じ計画安全率が設定され,それを上回るよう計画されるもので あるが,地滑り規模が大きく一度に完了させることが困難な場合には,応急対策によ り当面の安全を確保することや,段階的に施工を実施することも稀ではない。

ここでは,「滑動していた地滑りが対策効果により沈静化した」と判定する際には「所

ここでは,「滑動していた地滑りが対策効果により沈静化した」と判定する際には「所