調査対象箇所の摘出にあたっては,1/25,000 地形図(同等以上の大縮尺地形図がある場 合はこれを用いてもよい)を用い,以下の二つの条件を勘案する。
①地形・地質条件
・地滑りしている区域又は地滑りするおそれのある区域(図Ⅰ-2.1 参照)として,地滑り地 形を呈している箇所,又は地滑りの徴候(き裂,陥没,隆起等)が見られる箇所(以下「地 滑り地形を呈している箇所等」とする)を抽出する。
②社会条件
・地滑り地形を呈している箇所等及びその周辺に人家等が存在する箇所(以下「人家等の ある地滑り地形を呈している箇所」という)。
・現在「人家等がある地滑り区域」ではないが,現況の土地利用状況や開発計画等の社会 条件により人家等の立地が予想される箇所(以下「人家等のない地滑り地形を呈してい る箇所」という)。
解 説
(1)調査対象箇所の抽出方針
調査対象箇所は,地すべり防止区域※1や地すべり危険箇所※2のほか,農林水産省(林野 庁,農村振興局)所管の危険箇所を基本とする。
ただし,「地すべり防止区域」は,次ページ参考資料のように「重要な公共施設」や「公 共建物」,「人家 10 戸以上」等に被害を及ぼすおそれのあるものを指定対象としており,「地 すべり危険箇所」についても,調査対象を,「地すべりの発生するおそれのある箇所で,地 すべり等防止法第 51 条に基づく建設大臣(国土交通大臣)所管になりうるものとする。」 としているため,土砂災害防止法で対象とする調査箇所のすべてを網羅しているわけでは ない。このため,上記箇所以外においても,対象となりうる箇所は存在しうる。このため,
上記箇所を基本とするが,これまでに地滑り災害が発生した箇所等が把握されれば,調査 対象とする。
なお,「地すべり防止区域」や「地すべり危険箇所」は広い範囲で指定され,一般に複数 の地滑りブロックより構成されているが,土砂災害防止法の趣旨から,人家等が存在せず,
人家等の立地が予想されない場所に位置する地滑りブロックは対象外とする。
※1:地すべり防止区域
(「地すべり等防止法 平成 26 年 6 月 13 日 政令第 69 号」により指定)
※2:地すべり危険箇所
(「地すべり危険箇所調査要領 平成 8 年 10 月」により指定)
参考資料
地すべり防止区域指定基準について(昭和 33 年 7 月 11 日 建河発第 490 号)
地すべり等防止法第 51 条に基づく所管区分
1.法第 3 条の規定による指定は地すべり地域の面積が 5ha 〔市街化区域(市街化区域 及び市街化調整区域に関する都市計画が定められていない都市計画区域にあっては用途 地域)にあっては 2ha〕 以上のもので次の各号の 1 に該当するものについて行うものと する。
(1) 多量の崩土が渓流又は河川に流入し下流河川 (但し,準用河川以上の河川及びこれ に準ずる規模の河川) に被害を及ぼすおそれのあるもの
(2)鉄道(私鉄を含む。) 都道府県道(指定都市の市道を含む。) 以上の道路又は迂回路 のない市町道, その他公共施設のうち重要なものに被害を及ぼすおそれのあるもの (3) 官公署, 学校又は病院等の公共建物のうち 重要なものに被害を及ぼすおそれのある
もの
(4) 貯水量 3 万 m 以上のため池 関係面積 100ha 以上の 用排水施設若しくは農道 又は利 用区域面積 500ha 以上の林道に被害を及ぼすおそれのあるもの
(5) 人家 10 戸以上に 被害を及ぼすおそれのあるもの
(6) 農地 10ha 以上に被害を及ぼすおそれのあるもの (農地 5ha 以上 10ha 未満であって 当該地域に存する人家の被害を合せ考慮し, それが農地 10ha 以上の被害に相当する ものと認められるものを含む。)
2.前項の基準に該当しないが, 家屋の移転を行うため, 特に必要がある場合には指 定することができる。
(1) 国土交通大臣・・・・砂防法による砂防指定地 (これに準ずる土地を含む)の存する地 すべり地域。
(2) 農林水産大臣・・・・・・・・森林法による保安林及び保安林施設指定地 (これに準ずる土 地を含む)の存する地すべり地域。
(3)
農林水産大臣・・・・(1)及び(2)に該当しないが, 土地改良法による土地改良事業施行 地域及び同事業計画の決定している地域 (土地改良法の手続によらなくても公益上 農地の改良, 造成,保全又は復旧を目的とする事業が施行された及び施行される地 域ならびにそれらの事業の施行される必要が認められる地域を含む。) に存する地す べり地域。(2)調査対象箇所の抽出に用いる図面等
調査対象箇所の抽出にあたっては,以下の条件を満たす地形図及び資料を用いる。
①1/25,000 地形図(同等以上の大縮尺地形図がある場合は,これを用いてもよい)
②地すべり危険箇所調査報告書(最新のもの)
③該当地区の空中写真
④1/50,000 地質図(同等以上の大縮尺地質図がある場合は,これを用いてもよい)
対象箇所の抽出にあたって,その地形条件は 1/25,000 地形図から判断することが基本と なるが,実際の基礎調査や区域設定においては,1/2,500 地形図程度より大縮尺の地形図 を用いる必要がある。このため,地形条件の判読や確認において,1/25,000 地形図で判読 しきれない地形も多く存在することから,1/25,000 地形図で調査に該当する可能性のある 地域を概査したのちに,大縮尺の地形図(1/2,500 地形図等)や空中写真で地形条件を確 認し,1/50,000 地質図を用いて該当区域の地質状況および地質構造を調査しておく必要が ある。
調査対象エリア
(1)過疎地域
「過疎地域自立促進特別措置法」による過疎地域の要件を満たす地域においては,人家 等のみを対象とした地滑りの抽出を行い,人家等のない地滑りの抽出は行わない。
過疎地域の要件を満たす地域は人口の減少が著しく,高齢者比率が高く,若年者比率が 低い傾向がある。したがって,過疎地域では人家等のある地滑りは抽出するが,人家等の ない地滑りは,将来人家等の立地の可能性が低いため抽出しないこととする。
表Ⅲ-1.1 広島県の過疎地域一覧(平成 26 年 4 月 1 日現在)
2条1項 33条1項 33条2項 広島県 呉市 旧下蒲刈町、旧倉橋町、旧蒲刈町、旧豊浜町、旧豊町の区域 ○
(16) 三原市 旧久井町、旧大和町の区域 ○
尾道市 旧御調町、旧瀬戸田町の区域 ○
福山市 旧内海町の区域 ○
府中市 ○
三次市 ○
庄原市 ○
東広島市 旧福富町、旧豊栄町、旧河内町の区域 ○
廿日市市 旧吉和村、旧宮島町の区域 ○
安芸高田市 ○
江田島市 ○
山県郡 安芸太田町 ○
北広島町 ○
豊田郡 大崎上島町 ○
世羅郡 世羅町 ○
神石郡 神石高原町 ○
都道府県名 郡市名 町村 ・ 区域名 適用条文
出典)総務省 HP
図Ⅲ-1.2 広島県の過疎地域
(2)都市計画区域
「都市計画法」第 5 条により指定された区域で,市街化区域,市街化調整区域,非線引 き区域,用途地域等からなる。これらの区分は以下の通りである。
・市 街 化 区 域:既に市街地を形成している区域及び概ね 10 年以内に優先的かつ計画 的に市街化を図るべき区域
・市街化調整区域:市街化を抑制すべき区域
・非 線 引 き 区 域:区域区分(市街化区域と市街化調整区域)が定められていない区域
・用 途 地 域:都市機能及び都市環境の維持増進を図るため,建築物の用途・形態・
容積等について守るべき最低限のルールが定められた区域で 12 種 類存在する。市街化区域は用途地域が定められている。
市街化区域では新規建物の建築を促進していることから,既存人家及び開発可能地を含 めた抽出を行う。また,市街化区域内の農地(田畑)は,市街地農地と言われ簡易な手続 きのみで転用可能であることから,市街化区域内においては開発可能地に農地を含めるこ ととする。
市街化調整区域は市街化を抑制すべき区域となっているが,平成 12 年の法改正に伴い,
地域の実情に応じた開発をすすめる条例が広島県でも制定された。これにより市街化調整 区域においても,一定の条件を満たせば開発が可能な土地となるため,当区域内において も既存人家及び開発可能地を含めた抽出を行う。
非線引き区域及び用途地域は市街化を抑制するような制限はなく,指定されている地域 が県内でも地方都市に該当することから,新規建物の立地が見込めるものとして,市街化 調整区域と同様に既存人家及び開発可能地を含めた抽出を行う。
図Ⅲ-1.3 広島県の都市計画区域
1-2 地形・地質条件
地滑りしている区域又は地滑りするおそれのある区域は,地滑り地形を呈している箇所,
又は地滑りの徴候(き裂,陥没,隆起等)が見られる箇所(以下「地滑り地形を呈している 箇所等」とする)。
地滑り地形の特徴は,河岸段丘,海岸段丘,溶岩台地,火砕流堆積物によって堆積した 地形と誤りやすいので注意する必要がある。また,周辺に崩壊や地滑りの多発している箇
地滑り地形の特徴は,河岸段丘,海岸段丘,溶岩台地,火砕流堆積物によって堆積した 地形と誤りやすいので注意する必要がある。また,周辺に崩壊や地滑りの多発している箇