台湾と日本における国会選挙制度改革
の比較研究
―台湾の「単一選挙区二票制」と日本の「小選挙
区比例代表並立制」の政党政治に対する影響
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李 嘉 進
(中華民国総統府国家安全会議諮詢委員)【要約】
国会は民主主権を体現する場である。国会制度改革は国民主権を実 現するアプローチであり、方法でもある。選挙制度改革はその一環に あり、他の関連制度と同じように、政治行動者の理念や価値観、利益、 行動モデルを具現させるものである。選挙行為は民主政治を築き、そ こには、政党、国会議員、一般選挙民の行動モデル、そしてその背後 にある理念の価値と利益の計算がすべて含まれており、多元的な社会 価値と利益を反映できる国会選挙制度が常に期待される。 本来、台湾では日本と韓国と同じ単記非移譲式投票(SNTV)とい う選挙制度が採用されていたが、1995 年に日本において選挙制度改 革が行われ、10 年の時を経て台湾も日本と類似の選挙制度を導入す ることにした。日本と台湾における新選挙制度実施の結果はその後、 ど うなったの であろうか 。その検証 には関連の 比較研究を 行う必 要 が ある。政党 政治を中心 として、派 閥、公共政 策、そして 、金権 政 治 に至るまで 、日本と台 湾の二つの 選挙制度で は一部の成 果も見 ら れたが、解決が難しい課題も浮き彫りになっている。 キーワード:国会選挙制度、政党政治、台湾、日本一 はじめに
国 会議員 選挙 制度は 主に 、①小 選挙 区によ る多 数代表 制、 すなわ ち 、一選挙区 につき一人 を選出する 制度、②一 つの選挙区 で複数 の 議 員を選出す る、大選挙 区による比 例選挙制、 ③多数代表 制と比 例 代表制の結合型の三種類に分けられる。 多 数代表 制は 得票数 によ って候 補者 の当落 を決 める選 挙制 度で、 相 対多数制と 絶対多数制 がある。イ ギリスでは 小選挙区の 相対多 数 制 を採用し、 一つの選挙 区で得票数の多い候補が当選する。フラ ン スでは小選挙区の絶対多数を採用、該当選挙区の有効投票の 1/2 以 上 の票を獲得 した候補が 当選する。 一回目の投 票で決まら ない場 合 は決選投票を行う。 台湾の国会議員選挙においては、2004 年第六期立法委員選挙まで日本、韓国と同じように「複数選挙区(MMD、the multi-number district system)単記非移譲式投票(SNTV、the single nontransferable vote)」 を 採用し、地 方派閥や金 権政治によ る民主政治 基盤の侵食 などマ イ ナスの面も見られた。 同じ問題に直面する日本と台湾の国会は 1995 年と 2004 年にそれ ぞ れ選挙制度 改革に着手 し、二大政 党制の確立 や派閥勢力 の排除 、 公 共政策の健 全化、金権 政治の防止 などのその 基本目標も ほぼ一 致 している。 日本において、1995 年の選挙制度改革以降、五回の国政選挙を経 て 、政党は分 裂再編を繰 り返し、形 式上の二大 政党制は出 来たが 、 実 際の政党政 治は安定的 なものでは ない。自民 党の分裂要 因は政 策 理 念の違いに よるものか 、権力闘争 のためなの か、未だ定 かでは な い。 一方、台湾の選挙制度改革は2004 年に法制化され、新しい選挙制
度は2008 年、2012 年と二度実施され、二大政党制が確立した。二大 政 党制が確立 された一方 、比例代表 制の導入は 小政党の存 在にも 機 会 を与え、こ れにより社 会における 多元的な利 益と価値観 を反映 さ せ ることにな る。新しい 選挙制度の もとで、派 閥の力が有 効にコ ン ト ロールされ るかどうか も公共政策 の議論のテ ーマである 。地方 の 特 殊利益だけ ではなく、 国家全体の 利益を反映 するように するの も 国 会選挙改革 の重点の一 つである。 台湾が新し い国会選挙 制度を 実 施してから、地方派閥の力は多少抑えられたが、地方行政制度改革、 す なわち「五 大都市制度 」によって 直轄五都市 の地位が上 がり、 単 純 に地方の利 益と片付け ることはで きなくなっ た。中央と 地方の 利 益 の線引きは 難しくなり 、そのバラ ンスも国会 選挙改革の 制度設 計 を考える上で欠かせない視点である。 ま た、日 本と 台湾で は政 治家絡 みの 金銭ス キャ ンダル は度 々耳に す るもので、 首相、総統 までかかわ り、国会議 員が公共事 業の口 利 き や便宜を図 る事案もよ くある。選 挙制度だけ では金権政 治を正 す ことはできず、既存の法律体系に見直しを加える必要がある。 な お本文 にお いて日 本の 国会選 挙を 論ずる 際は 主に衆 議院 選挙を 対象とし、台湾の国会は、立法院とその選挙制度を指す。
二 日本の国会議員選挙改革
1 背景 第 一に、 かつ て自民 党は 国会の 多数 を占め 、政 権を維 持す るため に 、かねてか ら選挙制度 改革を目標 として掲げ た。国会に 占める 議 席の最大化を追求することは、政党の理性的な計算結果であり1、日1 Anthony Downs,
本の場合もそうである2。 第二に、60 年代以降、日本経済の形態が変わり、とりわけ、80 年 代 以降のグロ ーバル化の 影響で、農 村人口が都 市に流れ、 選挙民 も 都 会に集中す るため、自 民党は新た に選挙基盤 を探さなけ ればな ら な くなった。 この社会の 構造変化に 対応すべく 、選挙制度 の改革 に 取り組むことになった3。 第 三 に 、 相 次 ぐ 不 透 明 な 政 治 献 金 や 贈 収 賄 の 不 祥 事 に よ り 、 政 府 に対する国民の不満が増幅し、選挙制度改革につながった。 第 四に、 冷戦 の終結 、世 界大国 を目 指す日 本の 政界に おい て選挙 制度改革の必要が主張された4。 2 内容の概要 (1) 衆議院議員選挙制度の改革について ① 中選挙区から「小選挙区比例代表並立制」に変更。 ② 定員:衆議院議員の定員を 511 名から 500 名に減らし、その うち300 名を選挙区、200 名を比例区に振り分ける。2000 年 には比例区の議席を180 名に減らした。 ③ 区割りの変更:中選挙区制時代の全国 129 選挙区に対し、新 制度においては全国300 の小選挙区と 11 の比例区に分けた。 ④ 政党と政治団体の公認:中選挙区の場合、候補者は個人名義 で立候補していたが、新制度においては、小選挙区での立候 補について、「5 名以上の国会議員を擁する」あるいは「直 近の国政選挙の得票率が2% 以上」の政党あるいは政治団体
2 濱本真輔『選挙制度改革による自民党の集権化:議員行動の変容』日本筑波大學博 士論文(2009 年)、43 ページ。 3 高畠通敏『日本政治の構造転換』(三一書房、1994 年)、329 ページ。 4 小沢一郎『日本改造計画』(講談社、1993 年)、65~70 ページ。
の公認を得るか、個人名義で立候補するかのいずれかとなる。 比例区については、「5 名以上の国会議員を擁する」あるい は「直近の国政選挙の得票率が2% 以上」の政党や政治団体 は比例代表の候補者名簿を提出できる。選挙区と比例区の重 複立候補が認められる。 ⑤ 自書式一票制から記号式二票制に変更:中選挙区制の時代に 選挙民は自ら投票用紙に候補者の名前を書いたのに対し、新 制度の場合、選挙区と比例区の投票用紙がそれぞれ配られ、 選挙区用紙に候補者の名前、比例区用紙には印刷された政党 名にマルを付ける。 ⑥ 当選者について:選挙区では有効投票数の 1/6 以上で相対多 数を獲得する候補が当選する。重複候補者は選挙区の当選が 優先される。比例区ごとに候補者名簿が提出され、比例区ご と に 集 計され る 。 ドント 方 式5で 各党 の 獲 得議席 が 計 算さ れ 、 候補者名簿に照らし合わせて当選者を決める。 (2) 政治資金関連の改革 ① すべての政党が法人格をもつこと。政党の成立条件は「5 名 以上の国会議員を擁する」あるいは「直近の総選挙、直近あ るいは前回の参議院選挙において、全国の得票率が2% を超 えた政治団体」とする。 ② 特定政治家にその指定政治資金団体を通じて提供する企業や 団体の政治献金は向こう5 年まで毎年 50 万円とし、5 年を超
5 ドント方式はベルギーの法学者ドントが考え出した議席割り当ての計算方式である。 一、各政党の得票数を1,2,3…の整数で割る。二、一人当たりの得票数が多い順(割 算の答えの大い順)に、各政党の議席が配分される。三、通常、各党の当選者は比 例代表名簿への登載者の上位から決まる。
えて以降、企業や団体の政治献金は政党を対象とするのみと する。 ③ 政治献金の公開について:政党や政治団体に 5 万円以上の政 治献金を提供する場合、公開しなければならない。(旧制度 は政党に1 万円以上、あるいは政治団体に 100 万円以上とさ れていた)。政治資金を集める目的のパーティー券について、 20 万円以上(旧制では 100 万円以上)の場合、公開しなけれ ばならない。 ④ 国費による政党助成金:国民一人 250 円の計算で、政府から 毎年300 億円以上の政党助成金が支出される。議員数と得票 率で各政党に割り当てるが、その助成金は各政党の年間総収 入の2/3 を超えないとする。 ⑤ 規律違反者への処罰:公職選挙法違反の場合、候補者の親族 と直接責任者のほか、政治家の秘書と選挙運動の組織者も連 帯責任を負うこととし、候補者本人の当選を無効にするほか、 5 年以内は立候補できず、罰金もそれまでの 5~30 万円から 20~100 万円まで引き上げられた。政治資金規正法違反の場 合、旧制度は服役期間の公民権停止を定めたが、新制度では、 罰金処分者は 5 年間の公民権停止とし、実刑判決を受ける者 の公民権停止期間は服役期間に加えて 5 年間延長し、贈収賄 者も同じとした。 3 国会選挙制度の政党に対する影響 1995 年の選挙制度改革以降、1996 年小選挙区比例代表並立制総選 挙、2000 年「神の国解散」総選挙、2003 年第一次小泉内閣解散総選 挙、2005 年「郵政解散」総選挙、そして 2009 年総選挙の 5 回の衆議 院議員選挙を経ている。(表 1 を参照)。
2009 年の第 45 回衆議院総選挙では、民主党が自民党、公明党の連 立 政権を倒し 、政権交代 を果たした 。これは一 時の日本新 党など に よる連立政権を除けば、1955 年以来の自民党長期政権を終結させた ことを意味する。1995 年の選挙制度改革をきっかけに日本における 二大政党制の形が見えてきた。 2004 年の参議院選挙において、自民党が 1 議席差で民主党に第一 党 の座を譲っ たが、衆議 院は多数を 維持したた め、時の首 相小泉 純 一 郎は政権の 座を守った 。当時郵政 民営化法案 が参議院で 野党の 抵 抗 に遭ったほ か、自民党 内にも反対 勢力があっ たため、小 泉首相 は 解 散に踏み切 り、「刺客 」を立てる など郵政法 案反対勢力 の落選 を 図り、自民党が大勝した。 (1) 政党と民意 小選挙区制は大政党に有利、小政党に不利とされる。そのため、 比 例代表制を 取り入れる ことによっ て小政党に 道を残し、 均衡を 図 る必要が出てくる。 小 選挙区 制で は相対 多数 制も絶 対多 数制も 小政 党に不 利で あり、 一 選挙区一人 の選出であ るため、大 政党から出 馬する候補 者は当 然 優 勢に立つ。 小政党の候 補者は議席 を確保でき ず、たくさ んの死 票 が生じるため、少数派の利益は議会において代弁されることはない。 イギリスを例にすると、二大政党制の下、第三党の自由民主党は1983、 1987、1992 年三回の下院選挙において、それぞれ 25.3%、22.6%、17.9% の票を獲得したが、議席獲得率は3.5%、3.4%、3.1% にしかならず、 得票率と議席獲得率に相当な乖離が生じた6。1990 年代に入ってから、
6 五十嵐仁『一目でわかる小選挙区比例代表並立制―新しい選挙制度であなたの一票 はどうなる』(労働旬報社、1993 年)、46 ページ。
同国でも比例代表制の導入を検討し始めている7。 比 例代表 制は 政党の 得票 率によ り議 席を振 り分 ける制 度で ある。 この制度は選挙民の政党支持を確実に反映し、死票が少なくなるが、 欠 点は小政党 の乱立や政 局の不安定 などをもた らすことに ある。 戦 後 のイタリア はファシス ト体制への 反省から小 政党の議会 活動を 保 障 するため比 例代表制を 取り入れた が、十数個 の小政党が 政治闘 争 に明け暮れ、連立内閣はすべて短命に終わっている。 (2) 政党の権力構造 政 党の最 大目 標は政 権を 担当す るこ とであ る。 議院内 閣制 の国で は 国会の多数 を占める政 党が組閣権 を握る。選 挙区の候補 者や現 職 議 員にとって 、小選挙区 制のもとで 政党の公認 を得ること は中選 挙 区 制よりさら に重要であ る。政党は 公認をカー ドにして、 候補者 が 党 の指示に従 って動くよ うにするこ とができる 。そのため 、中選 挙 区制と比べ、政党内で中央集権的な構造が形成されやすい。 政 党が選 挙区 の公認 権を 握るほ か、 比例区 の比 例代表 名簿 も作成 する。ドイツ連邦議会で全議席の1/2 を比例代表が占めるのに対し、 日本では3/8 とやや少ない。 比 例代表 制も 様々な 形式 がある 。日 本の参 議院 のよう に全 国を一 つの比例区にするものもあれば、衆議院のように、全国を11 の比例 区 に分けるパ ターンもあ る。一般的 に言えば、 選挙区のサ イズが 大 きいほど死票は少なく、小政党に有利となる。議席の計算方式には、 日本で採用されるドント方式(d' Hondt method)の他、ノルウェー、 スウェーデンなど北欧諸国が採用するサン=ラグ方式(Sainte-Laguë
7 浜中新吾「1990 年代のイスラエル政党の変容-・政策・イデオロギー」『立命館国 際地域研究』第十九號(2002 年 2 月)、165~186 ページ。
method)等もあり、計算方式によって、大小政党にもたらす影響も 若 干異なる。 また、比例 代表名簿に ついては「 拘束名簿式 」と「 非 拘 束名簿式」 があり、「 拘束名簿式 」では登録 される候補 者の順 序 を 変えること はできず、 選挙民が自 由に候補者 を選ぶこと ができ な いため、「候補者が見えない選挙」とも言われる。「非拘束名簿式」 で は、事前に 候補者の順 序を定めず 、選挙民の 投票により 決まる シ ス テムになっ ている。ス イスの場合 、選挙民が 投票の際に 選挙区 の 定 員数の候補 者の名前を 記入した上 で、選挙管 理委員会が 各政党 の 公 認候補の票 数を集計し 、政党の獲 得議席と併 せて個別の 候補者 の 当落をも決定する。日本の選挙制度改革では公職選挙法の第95 条の 二 第四項によ り「拘束名 簿式」を採 用している 。これは政 党の比 例 代表に対するコントロールが強いことを意味する。 小 選挙区 制の 小政党 に対 する不 利や 比例代 表制 による 政治 の不安 定 を勘案し、 日本では二 者の組み合 わせとも言 える小選挙 区比例 代 表並立制が採用された。議席配分は小選挙区が 60%、比例区は 40% である。イタリアにて1992 年から採用されている小選挙区比例代表 並立制では、小選挙区に75% を、比例区に 25%を振り分けている。 な お、その制 度には一票 制と二票制 がある。二 票制では選 挙民の 選 択の幅が相対的に広く、小政党に有利となる。 さ らに、 並立 制と併 用制 の違い もあ る。並 立制 は、小 選挙 区と比 例 代表を分け て票数の集 計を行い、 それぞれの 枠で当選者 を決め る シ ステムであ る。併用制 は、一つの 基準で各政 党の得票率 をもと に 議 席を割り当 てる選挙制 度である。 併用性を取 り入れた西 ドイツ で は 、小選挙区 と比例区で それぞれ半 数の議員を 選出し、投 票の際 に 二 枚の投票用 紙を配布し 、議席の配 分は政党に 投票する二 枚目の 得 票 率によって 割り当て、 各政党の総 獲得議席か ら小選挙区 の当選 者 を 除いた上で 、比例代表 名簿に照ら して比例区 の当選者を 決めて い
く 。言い換え れば、並立 制は大政党 に、併用制 は小政党に 、それ ぞ れ 有利と見ら れる。日本 の選挙制度 が並立制を 採用したう え、全 国 を11 の比例ブロックとするのは、小政党に不利と見られる。 獲 得議席 の最 大化は 政党 の目標 では あるが 、個 別の候 補者 の目標 で はない。小 政党にとっ ては、政権 の座につく 可能性が低 いため 、 比 例代表の議 席を追求す るのが目標 である。小 政党の候補 者にと っ て は選挙区で の勝ち目が 薄いため、 比例代表の 議席獲得に 主眼を 置 く 。政党と個 別の候補者 の求める利 益は異なり 、また大政 党と小 政 党の利益も異なっている8。 (3) 個別候補者に対する影響 大政党の国会議員にとっては、比例代表の公認候補が多いものの、 政 党のコント ロールが強 いため、当 選するかど うかは政党 に委ね ら れ 、 自 分 で は 決 め ら れ な い 。 選 挙 区 の 選 挙 で は 経 路 依 存 (path dependence)という現象によって現職に有利ということになる9。 選 挙はお金がかかるうえ、知名度や人脈、支持母体などが必要なため、 候補者もよく関係者の家族や派閥から人選されることになる。 小 選挙区 は一 選挙区 に一 人の当 選者 なので 党内 の派閥 によ る争い を 減らせるが 、完全には なくすこと はできない 。中選挙区 制と比 べ て 相対的に政 党による指 揮系統は確 かに強くな ると見られ るが、 派 閥 は存在し続 け、派閥政 治と利益の 絡み合いは 依然と続く 。政治 の 腐 敗を排除す るという政 治改革の旗 印のもと、 地方派閥の 解体は 表 向き支持されるが、実際のところ、これら派閥組織は無くならない。
8 濱本真輔、前掲論文、44、51 ページ。 9 浅野正彦『市民社会における制度改革:選挙制度と候補者リクルート』(慶應義塾 大学出版会、2006 年)、20~22 ページ。
選 挙制度 改革 の提唱 者は 小選挙 区制 により 腐敗 を一掃 し、 コスト の かからない 選挙ができ ると唱える が、実際は そうではな い。か つ て の中選挙区 制の場合、 自民党が議 会の過半数 の議席を獲 得する た め には、同じ 選挙区に二 名以上の当 選者が必要 という計算 になる 。 そ うすると、 同党所属の 候補者が同 一選挙区で 争うことに なり、 党 の 地方組織は よく機能す ることがで きなくなる 。政治家は 後援会 を 組織し、選挙運動を行う。後援会の事務所を設置し、会員を世話し、 公 共事業の口 利きなども 後援会が請 け負う。最 も重要なの は、選 挙 資 金集めのた めに自民党 の議員がそ れぞれ各地 でスポンサ ーを探 し た 点にある。 また党内の 派閥に身を 寄せ,領袖 から資金を 受け取 る 代 わりに、そ の領袖を支 える。この ような現象 は一連のス キャン ダ ル につながっ ていく。リ クルート事 件や佐川急 便事件、ゼ ネコン の 贈 収賄事件な ど相次ぐ不 祥事はすべ て政治家の 資金集めと 関連し て いる10。 で は、選 挙制 度改革 はこ の現象 を改 善でき たの であろ うか 。実際 のところ、政治制度と政治の腐敗とはそれほど関係がないといえる。 歴史的に見ると、日本では 1889 年から 1990 年の衆議院議員選挙は 小選挙区制を採用し、1900 年には大選挙区制に変更した。その理由 の一つは「選挙区が狭いと腐敗を引き起こす」点にあった。1919 年 から1924 年まで小選挙区制が復活したが、1925 年には再び小選挙区 制 から中選挙 区制に変更 しており、 その理由は 「競争が激 しいた め 選挙に使う費用がかさむ」からであった11。 例えば、鹿児島県奄美大島において 1953 年から 1992 年まで行わ
10 王新生「日本的選舉制度改革」『日本學刊』1995 年第四期(北京:中國社會科學院日 本研究所、1995 年)、頁 68~69。 11 五十嵐仁、前掲書、29 ページ。
れ ていた衆議 院議員選挙 は一人区の ため、事実 上、小選挙 区であ っ た 。そこでは 競争が激し く、選挙活 動費は当時 の他の複数 定員の 中 選 挙区よりか なり多かっ たという。 毎回選挙後 、必ず運動 員らが 公 職選挙法や政治資金規正法などの違反事件で逮捕された。特に1983 年 以降の選挙 では二大陣 営に分かれ 、すべての 選挙民が買 収され て おり、有権者一人あたりが得た賄賂は2~3 万円が相場であった12。参 議 院議員選挙 の一人区も 同じである 。たとえば 、自民党所 属議員 だ った後藤田正晴が1974 年に参議院選挙に初出馬した際、選挙区は徳 島の一人区で、選挙後、後藤田個人選挙組織のメンバー268 人が買収 の罪に問われて、24 人が逮捕された13。 他 国の例 から 見ても 、選 挙制度 と政 治の腐 敗の 関連性 はあ まり見 られない。小選挙区制を採用するフランスでは、社会党政権で10 名 あまりの閣僚が汚職の罪に問われたが、1993 年に政権の座についた 保 守中道政党 は汚職で罪 に問われる 高官がさら に増え、そ のうち 内 務相を含む3 名の閣僚が辞職に追い込まれた。同じく 1993 年に、比 例 代表制を取 るイタリア では、元大 統領、元首 相、国会議 員を含 め て7,000 人以上が汚職の罪に問われ、3,000 人以上が逮捕された。 腐 敗防止 に役 立つの が小 選挙区 制と いうが 、実 際その よう な効果 は見られない。企業献金の制限に対しては迂回献金の方法がとられ、 期待された金権政治の改善は一向に見られないままであった14。2009 年 3 月、民主党は西松建設による政治献金の事件によりダメージを 受 け、当時の 小沢一郎代 表は代表職 を辞し、鳩 山由紀夫が 後を継 い
12 阪上順夫『小選挙区制が日本をもっと悪くする―腐敗政治・金権選挙・独裁政権 日 本を危険な国にする小選挙区制のワナ』(ごま書房、1994 年)、128 ページ。 13 五十嵐仁、前掲書、31 ページ。 14 柳沢尚武『二大政党制と小選挙区制:アメリカ、イギリスの制度研究』(新日本出 版社、1996 年)、16~19 ページ。
だ。 (4) 政党制度 小 沢一郎 はか つて「 小選 挙区制 度を 導入す れば 、日本 にも 二大政 党 制が生まれ る」と考え た。一部の 世論はその 考え方に賛 同し、 新 進 党や民主党 などが出現 し、最終的 に政権交代 を実現した のはこ の 主 張を裏付け たとも言え る。しかし 、日本には 二大政党制 の伝統 も な ければ、そ の社会的基 礎もない。 ほぼ単一民 族という民 族構成 で あ るうえ、階 級意識もそ れほど強く ない国家、 日本での二 大政党 制 の形成は難しいと指摘されている15。国民は政党の区別がつけられず、 政治に対する関心も高まらない16。 二 大政党 制が 定着し てい る国と して アメリ カの 例を見 てみ たい。 独 立戦争以降 、すぐに二 大政党制の 形が現れ、 南北戦争後 に二大 政 党 制の基礎が 固まった。 最終的に、 大企業の利 益を代弁し 、自由 貿 易 と小さな政 府を主張す る共和党と 、都会の低 収入階級の 利益を 代 弁し、社会福祉を強調する民主党という二大政党の構図が定着した。 も う一つの二 大政党制の 国、イギリ スは、名誉 革命が終わ ってす ぐ に 二大政党が 出現し、後 に企業経営 者と労働者 の対立によ って保 守 党と労働党の対立構造が定着した。 イ タリア とフ ランス では 、小選 挙区 制か比 例代 表制か とい う問題 と 関係なく、 民族文化の 特徴と価値 観の多元化 により、よ り多数 の 政 党が並存し 、政治の安 定さを欠い た状態が続 いている。 イタリ ア では、1992 年に小選挙区比例代表並立制を導入したが、二大政党制 に発展せず、かえって 200 あまりの小政党が誕生することとなり、
15 王新生、前掲書、頁 70~71。 16 柳沢尚武、前掲書、20~21 ページ。
政治の混乱が度を増していった。 経済発展にともない、産業構造が変わり、国民の職種や利益要求、 価 値観などが 益々多元化 し、それぞ れの利益を 代表する政 党も多 元 化 すると、二 大政党制は 社会の潮流 に合わなく なる。日本 の細川 護 熙元首相は「二大政党制は完璧な政治モデルではない。8 から 10 の 政 党は多すぎ るかもしれ ないが、幾 つかの政党 が組む連立 政権は 国 民の多元的価値観を反映する最良な方式である」と述べている17。伝 統 的な二大政 党制国家、 イギリス、 アメリカで もその政治 システ ム は挑戦を受けてきた。80 年代以来、イギリスの第三政党・自由民主 党の勢力が強まり、今や20% の地方議会の議席をもち、下院選挙で は得票率22.6% を得るまで成長した。1992 年のアメリカ大統領選挙 で 独 立 系 候 補 者 の ロ ス ‧ ペロー が 18% の票を獲得したことは記憶 に新しい。 日 本政治 の設 計者、 小沢 一郎に とっ て、二 大政 党制自 体は 真の目 標 ではなく、 強いリーダ ーシップと 効率の高い 意思決定を 求め、 国 会 に多数の議 席を獲得で きる大政党 を求めたの である。小 沢一郎 と 同 郷の大正時 代の政治家 、原敬はあ る程度、小 沢の目指す ものに 近 い ことを成し 遂げたと言 ってよい。 「日本改造 計画」で小 沢は「 原 敬 は政友会を 通じて、政 治(立法) と行政を一 括に掌握す ること を 目 標とし、政 友会に近い 勢力を明治 憲法下、分 立する政治 、行政 機 構 の中に浸透 させ、衆議 院の中で政 友会を絶対 多数派にし 、貴族 院 多 数派の研究 会を親政友 会派に取り 込んだ。行 政機構にお いては 、 内 務省を政友 会化し、陸 海軍と司法 相も親政友 会に取り込 んだ。 原 敬 はこのよう に権力を確 立し、藩閥 と派閥を抑 えて政党政 治を確 立
17 阪上順夫、前掲書、48 ページ。
した。さらに、1920 年代の対米協調路線をひいた」と指摘している18。 表 1 日本の主要政党の歴代衆議院議員選挙における得票率及び議 席獲得数(1996-2009) 党名 自由民主党 民主党 公明党 日本共産党 社会民主党 新進党 選挙 議席 得票率 議席 得票率 議席 得票率 議席 得票率 議席 得票率 議席 得票率 小選挙区 169 38.63% 17 10.62% 2 12.55% 4 2.19% 96 27.97% 比例代表 70 32.76% 35 16.10% 24 12.55% 11 6.38% 60 28.04% 1996 総議席 239 52 26 15 156 小選挙区 177 40.97% 80 27.61% 7 2.02% 0 12.08% 4 3.80% 比例代表 56 28.31% 47 5.18% 24 12.97% 20 11.23% 15 9.36% 2000 総議席 233 127 31 20 19 小選挙区 168 43.85% 105 36.66% 9 1.49% 0 8.13% 1 2.87% 比例代表 69 34.96% 72 37.39% 25 14.78% 9 7.76% 5 5.12% 2003 総議席 237 177 34 9 6 小選挙区 219 47.77% 52 36.44% 8 1.44% 0 7.25% 1 1.46% 比例代表 77 38.18% 61 31.02% 23 13.25% 9 7.25% 6 5.49% 2005 総議席 296 113 31 9 7 小選挙区 64 38.60% 221 47.40% 0 1.10% 0 4.20% 3 1.90% 比例代表 55 26.70% 87 42.40% 21 11.40% 9 7.00% 4 4.20% 2009 総議席 119 308 21 9 7 (出典)日本総務省選挙管理委員会ウェブサイト資料より筆者作成、 http://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/links/senkan/index.html. (注)公明党は1964 年に創立し、1994 年には解散。のちに公明新党と公明に分党。同 年、公明新党と新進党が合流。1998 年に新進党から分かれた新党平和と黎明クラ ブが公明と小沢派自由党の一部とともに公明党を再結成した。 日本史上初の本格的政党内閣(1918-1921 年)の総理大臣として、 原敬は選挙制度改革にも取り組んだ。当時、政友会は衆議院 381 議 席中、半数以下の 165 議席しか持っていなかった。局面を変えるた
18 『朝日新聞』、1993 年 8 月 11 日。
め、原敬は大選挙区制を小選挙区制に変更し、結果として 464 議席 中、政友会が276 議席を獲得し、安定的多数の掌握に成功した。 小 沢一郎の戦 略は選挙制 度改革を通 じて社会党 と中道政党 を潰し 、 自 民党を分裂 させて、日 本を政治大 国に押し上 げられる新 しい大 き な 保守政党を 作るという ものであっ たが、彼の 豪腕ぶりが その目 標 達成を阻むこととなった。2012 年 7 月、小沢は野田内閣の消費税増 税 法案に反対 し、民主党 を出て新党 「国民の生 活が第一」 を設立 し た。 4 まとめ 政 治の腐 敗を 正すに は厳 格な法 律を 作り、 確実 に執行 する ことが 肝要である。イギリスの場合、早くも1883 年に腐敗防止法を制定し、 そ の違反者を 厳罰を処す ることとし た。その影 響もあって 、政治 の 腐 敗には歯止 めがかかっ たように見 受けられる 。日本でも 公職選 挙 法 と政治資金 規正法があ るが、「ザ ル法」と称 されるよう になか な か有効に機能できていない。金丸信が佐川急便から 5 億円の政治資 金 を提供され ても、収賄 罪には問わ れず、政治 資金規正法 違反扱 い で罰金20 万円で済んでいる(その直後に金丸は脱税の疑いで逮捕さ れ た)。議員 周辺の側近 やスタッフ 、関係者が 公職選挙法 や政治 資 金 規正法違反 で逮捕され ても、政治 家本人は知 らないと言 えば、 議 員 の資格を失 う可能性が あるものの 、罪から逃 れることが できる の で ある。日本 では裁判の 期間が比較 的長く、有 罪とみられ る当事 者 に 対しても直 ちにその政 治活動を停 止させるわ けにはいか ず、ロ ッ キ ード事件当 事者の田中 角栄は裁判 中に何度も 当選し、国 会議員 と して政界に君臨し続けた。 日 本の新 選挙 制度の 関連 規定は やは り政治 腐敗 や政治 資金 関連の 不祥事を防ぐのに力不足である。連座制とはいえ、「事前了解要り」
と いう付随約 款が付き、 「政党助成 法」が政治 腐敗防止に 役に立 つ
かどうかも疑問が残る。イタリアでは1993 年に政党公費助成法を廃
止し、ドイツでは公費による選挙の助成を制限している。
三 台湾の国会議員選挙制度
台湾では2008 年の第七期立法委員選挙まで「複数選挙区(MMD、
the multi-number district system)単記非譲渡投票法(SNTV、the single nontransferable vote)」が採用されていた。この選挙制度は過去に日 本と韓国でしか使われることはなかった。 学 者の間 では 、この 選挙 制度は 政党 得票率 と議 席獲得 率に 「比例 性」(proportionality)があり、大政党の過剰代表(over-representation) の 現象が起こ らないと見 られている 。小政党と 無所属候補 にも国 会 進 出の機会が 与えられ、 彼らの代表 する利益を 反映するこ とが可 能 で ある。同時 に、派閥乱 立、党紀の 乱れ、候補 者の暴走、 選挙風 紀 の 悪化(買収 、暴力)な ど欠点も多 く、これら は立法委員 の素質 低 下、国会議事効率低下、金権政治に左右される政治運営19等につなが る。同様の制度を採用していた韓国、日本もそれぞれ1988 年と 1994 年 に選挙制度 改革に着手 し、「単一 選挙区」と 「政党比例 代表制 」 を 合わせた選 挙制度を取 り入れた。 台湾でもか ねて国会選 挙制度 改 革 を求める声 が強かった 。その背景 をまとめる と、以下の とおり で ある。 (1) 地方派閥 SNTV 選挙制度の場合、同一選挙区内に複数の議席が振り分けら れ 、政党は国 会の多数を 確保するた め、多くの 候補を立て る。党 内
19 謝復生『政黨比例代表制』(台北:理論與政策雜誌社、1992 年)、頁 21。
競争が熾烈になり、党内組織の派閥化や派閥の勢力強化につながる20。 (2) 公共政策 候 補者中 心の 政策な き選 挙では 、候 補者が 特定 の選挙 民、 団体と の つながりや 利益を重視 しがちで、 相対的に政 党と政策を 重要視 し ないため、政策論争を中心とする政党政治が実現しにくい21。 (3) 金権政治 候 補者の 選挙 戦略は 主に 特定の 選挙 民との つな がりや 利益 に着眼 し 、暴力、金 権政治と贈 収賄の風潮 を助長する 。国会議員 は法律 を 制 定すること など本来の 責務より、 地元選挙民 へのサービ スに力 を 入れる傾向がある22。 (4) 政党政治 SNTV 選挙制度のもと、政党は派閥を安定させる役割を果たし、 資源の分配を司り、金権政治をさらに悪化させる23。2004 年の国会 選 挙制度改革 は国民党と 民進党の二 大政党に支 持された。 その新 制 度 は二大政党 制の安定的 な発展に寄 与し、その 政治運営の 基礎を 築 い た。その中 で、民進党 などの推し 進めた公民 投票制度が 成立し た こ とによって 、公民の複 決権(法令 の可否を投 票で決める 権利) も
20 黄德福「我國立法委員為何選擇並立式混合選舉制度?2004 年選舉制度改革之觀察」 『政治學報』第47 期(2009 年 6 月)、頁 9。 21 劉義周「國民黨責任區輔選活動之參與觀察研究」『政治大學學報』第 64 期(國立政 治大學、1992 年)、頁 209~233。 22 黄秀端『選區服務:立法委員心目中連任之基礎』(台北:唐山、1994 年)、頁 49~50。
23 Jih-Wen Lin, “The Politics of Reform in Japan and Taiwan,” Journal of Democracy, Vol. 17,
確立された。 1 選挙制度改革の要点 2004 年 8 月、立法院において「国会改革」関連の第七次憲法増修 条 文修正案が 可決し、憲 法の規定に より告示六 ヶ月後に任 務型国 民 大会にて再議、可決された。2005 年 5 月、任務型国民代表選挙が行 わ れ、憲法改 正案に賛成 する国民党 、民進党は 総議席の八 割にあ た る 249 議席を獲得した。同年 6 月に国、民二大政党主導の任務型国 民 大 会 に お い て 第 七 次 憲 法 増 修 条 文 が 可 決 さ れ 、「 単 一 選 挙 区 二 票 制」を中心とする国会選挙制度が完成した。 第七次憲法増修条文第四条は「立法委員は第七期から 113 人とす る とともに、 単一選挙区 と政党比例 代表の混合 式選挙制度 を導入 す る 」とある。 いわゆる「 単一選挙区 二票制」は 台湾の政党 政治を 二 大 政党による 競争政治に 導いた。こ れは国、民 二大政党が 党利を 考 慮した上でのベストな選択であった24。 こ の「単 一選 挙区二 票制 」は国 によ り比例 代表 の割合 が異 なる。 日本の衆議院議員選挙では3/8、ドイツ連邦議員選挙では 1/2 である。 台湾は30% で日本に近く、比例代表を通じて議会をコントロールす る 力はドイツ ほど強くな い。ドイツ の場合は、 まず政党の 得票率 で 獲 得議席を決 めた上で、 選挙区の獲 得議席を差 し引いた残 りの議 席 を 比例代表に 割り当てる 。各政党の 総獲得議席 の割合はそ れぞれ の 政党得票率とおよそ一致し、小政党も 5% の得票率を超えれば、そ の 得票率にあ わせた議席 を獲得でき る。選挙区 で全滅して もその 議 席配分の権利に影響せず、小政党にも生き残る道が開かれる25。台湾
24 黄德福、前掲論文、頁 11~12。 25 陳俊昇「細談速食文化移植中的單一選區兩票制」『壹號人物雜誌』2008 年第二期、
の 比例代表制 度は日本の 制度に近い ものの、比 例代表の議 席獲得 に 必要な最低得票率を日本の 3% ではなく、ドイツと同じ 5% の高い ハードルを設けている。 立法委員の定数は 113 人とし、任期満了までの 3 ケ月以内に選挙 によって選ばれる。その関連規定は次の通りである: ①自由地区直轄市、県市で73 人。県市ごとに最低一人。 ②自由地区平地原住民と山地原住民で各3 人。 ③全国比例区と海外在住国民で計 34 人。 ①については、各直轄市、県市の人口比で議席を割り当てたうえ、 選 挙区を画定 する。③に ついては政 党比例代表 名簿のもと で選ぶ 。 5% 以上の得票率を確保する政党にその得票率に応じて議席を割り 当てる。だだし、各比例区の党当選者において女性は 2 分の 1 を下 回らないこととする。 こうして2008 年の第七期立法委員選挙から、定数半減の上、「小 選 挙区、原住 民選挙区と 政党比例代 表二票並立 制」(略称 :「単 一 選 挙区二票制 」)を導入 した。選挙 民一人につ き二枚の投 票用紙 が 配 布され、選 挙区の候補 者と政党に それぞれ一 票を入れる 。選挙 区 で は、最多票 を獲得した ものが当選 する。政党 比例代表で は、政 党 の 総 得 票 数 を も と に 議 席 配 分 を 決 め 、 全 国 政 党 比 例 総 得 票 数 の 5% 以 上を獲得し た政党に相 応の議席を 割り当てる 。ただし厳 密に言 う な らば台湾の 選挙制度は 「単一選挙 区二票制」 とは若干異 なって い る26。
(2008 年)、頁 36。 26 謝相慶「我國第 7 屆立法委員新選舉制度及其可能效應」發表於「制度、治理與秩序」 學術研討會(台北:中國政治學會年會、2007 年 9 月 29 日)。
2 国会選挙制度改革の政党に対する影響 新 国会選 挙制 度は第 七期 立法委 員選 挙から 実施 された 。複 数選挙 区単記非讓渡投票法(SNTV)から小選挙区、原住民選挙区と政党比 例 代表二票並 立制へ変更 され、この 制度は混合 制の一種で あり、 単 純 多数決(小選挙区)と比例代表制が取り入れられている。比例代 表 制では併用 制と並立制 に分かれる 。併用制の 代表格はド イツで あ る 。台湾は日 本に近い並 立制を導入 している。 単一選挙区 二票並 立 制 は政党得票 率によって 各党の政党 比例代表選 出議席が決 まる。 こ れ は各政党の 選挙区にお ける獲得議 席とは関係 なく、政党 比例代 表 と選挙区の議席は別々に計算される27。単一選挙区二票制を採用する 国 は、日本、 韓国、ロシ ア、ハンガ リー、アル ゼバイジャ ン、ク ロ アチア、リトアニア、ウクライナなどがある。 選挙制度改革によって立法委員の議席は 113 席と半減され、その うち、選挙区が73 議席、山地、平地原住民が各 3 議席、比例区が 34 議 席となり、 これは既存 政党と二大 政党に有利 で、新興政 党には 不 利になる。これにより、台湾の二大政党制に向かう環境が整った。 (1) 政党と民意 比 例代表 制は 政党内 部に おける 候補 者のコ ント ロール が容 易であ る のに対し、 単純多数決 を取る単一 選挙区では 政党より地 元の派 閥 の 影響力の方 が強くなる 傾向がある 。台湾で過 去に採用し た複数 選 挙 区単記非讓 渡投票法で は、複数選 挙区のもと で実施され 、単一 選 挙 区における 単純多数決 と比例代表 制の中間に ある。学者 の一部 で は 、単記非讓 渡投票法を 半比例制と も呼ぶ。こ の選挙制度 では、 小
27 謝相慶「淺談立法委員選舉制度改革-單一選區兩票制」『今日生活』第 363 期(2002 年3 月)、頁 50~52。
政党は単一選挙区より生き残る可能性が高い28。台湾では第七期立法 委 員選挙から 単一選挙区 相対多数決 方式が取り 入れられ、 小政党 は 生 存空間を圧 縮され、政 党の公認を 得ていない 候補者の当 選が難 し くなった。2001 年 12 月、第五期立法委員選挙においては、新党と台 湾 団結連盟が 全国比例区 と海外在住 枠を除き、 選挙区では 、それ ぞ れ32 名と 39 名の候補者を立てた。第七期立法委員選挙に至っては、 こ れら小政党 は選挙区で は候補擁立 をかなり減 らし、比例 の政党 票 に期待するしかなかった。国民党、民進党を除く勢力は 5 議席しか 確保できず、無党団結連盟が3 議席、無所属とその他 1 議席、そし て親民党1 議席を、それぞれ獲得したが、政党票では、得票率 5%の ラ インを超え た小政党は なく、二大 政党制がま すます定着 してい く こととなった(表 2 を参照)。単一選挙区のもと、単純多数決が政党 組 織の力を弱 める一方、 二つの大政 党の争いに 化していく 。選挙 民 は 投票の際に 自分の票を 無駄にしな いようにす る傾向があ る。候 補 者 は当選しや すいように 政党のお墨 付きを求め る。一選挙 区一人 選 出 のため、政 党が公認候 補を決める 際、党本部 と地方が協 議し、 相 応 しい候補者 を選び出す 。このため 、党本部と 地方のやり とりが 頻 繁になり、政党の連結には強い組織が必要となる。 (2) 政党の権力構造 台 湾にお ける 新選挙 制度 実施以 降の 政党の 権力 構造を 見る と、従 来 は複数選挙 区において 政党公認の 候補者が得 た政党得票 率によ り 各 党の議席数 を決定して いたが、新 制度実施後 は、小選挙 区・平 地 原 住民・産地 原住民など における得 票数順の他 、政党投票 により 、 比 例代表制に おける各政 党の獲得議 席を決定す る。また、 旧制度 で
28 楊泰順『選舉』(台北:永然圖書公司、1991 年)、頁 32~36。
は 全国比例区 と海外在住 国民による 立法委員の 議席数は国 会の総 議 席の約20% にすぎなかったが、新制度における政党投票数にて議席 がきまる比例代表制度により決定する議席数は30% となり、議席の 比 率が増加し ただけでな く、政党が 比例代表制 における候 補者の 公 認 権を握って いるため、 新制度下で は、より中 央集権的に なった と いえる。 (3) 候補者に対する影響 選 挙区の 広さ は政党 の候 補者に 影響 を与え る一 大要素 であ る。台 湾 の立法委員 選挙におい て、選挙区 の画定は政 党間協議の 重要な テ ー マである。 その画定状 況によって 政党の選挙 区における 影響力 が 左 右される。 各選挙区で は一人ずつ 選出するの で、政党の ラベル と 大 量の行政手 段によるサ ポートを得 られない候 補者は選挙 を勝ち 抜 く ことが難し い。なお、 全国比例区 と海外在住 枠について は、候 補 者 には政党の 公認や推薦 が欠かせな い。政党の 公認や推薦 で当選 し た立法委員こそが立法院内で一目を置かれる立場になりうる。 (4) 政党制度 選 挙制度 が政 党体系 に与 える影 響は 大きい 。単 一選挙 区二 票制は 二 大政党制に 向かわせる 。比例代表 制は多党性 に向かわせ る。国 会 の 選挙におい て、定員削 減と、制度 の変更は、 どのように 政党体 系 に影響を及ぼすのか、以下のように分析を試みた: ① 政党間競争:一人区の選挙区では、相対多数決を用いるため、 「勝者がすべてを取る」ゼロサムゲームの様相である。各政 党の獲得議席と得票数に比例関係は薄い。なお、単一定員選 挙区では、政党の選挙態勢がとても重要である。選挙区にお いて、国民党あるいは民進党は公認候補の人選調整がうまく
まとまらなければ、劣勢に転じかねない29。 小政党にとって、一人区の選挙区における議席獲得が難しい が、できるだけ多くの候補者を擁立することによって、多く の政党票を狙おうとする。なお、比例代表の候補者選びに最 善を期すため、二大政党に属しない社会的影響力のある、知 名度の高いオピニオンリーダーを比例代表の候補に立てる。 ② 政党システムの変化:選挙区で一人しか選ばれないため、選 挙民は自分の一票を無駄するのを嫌い、勝ち馬に乗る傾向が あるとされる。これは「戦略的投票」、あるいは、台湾で「棄 保」効果と呼ばれるものである。二大政党の公認候補の一騎 打ちになる場合が多い。二大政党制が定着した国では、相対 多数決は新政党の誕生を妨げ、政党数も減る30。 台湾の政治においては、国民党を中心とする青陣営と民進 党を中心とする緑陣営による対抗は定番になっている。政党 政治は二大政党制に向かいつつある。全国選挙区は比例代表 制を取り入れるが、定員は30% と少ない上、比例議席獲得に 最低得票率5% というラインを設け、小政党の乱立にブレー キをかけている。選挙結果を見ると、「二大政党制」の様相を 呈し、小政党は泡沫化せずとも、影響力は限られる。 ③ 国会の構造 (1) 世界各国で採用される選挙制度は大政党に有利、小政党 に不利なものが多い。 (2) 国会に過半数の議席を占める政党は大抵、過半数の得票
29 謝相慶、前掲「我國第 7 屆立法委員新選舉制度及其可能效應」。
30 Giovanni Sartori, Comparative constitutional Engineering: An Inquiry into Structures,
率を獲得できない。それは選挙制度による「作られた過 半数」(manufactured majority)という31。 台湾の立法委員選挙では、政党比例代表の定員は全議席の 30%し か ないため、 選挙区で多 く票を獲得 できれば、 過半数の議 席を確 保 する可能性が高い。2008 年第七期立法委員選挙の結果によると、選 挙区で国民党は 61 議席を、比例区と海外在住枠では 20 議席をそれ ぞれ獲得、立法院過半数の議席を確保することができた。2012 年第 八期立法委員選挙では、選挙区において国民党の得票率は 48.18%、 民進党は43.80% で、政権与党の国民党は過半数の 64 議席を獲得し、 民進党は40 議席を、そして台湾団結連盟、親民党がそれぞれ 3 席を 取った。そのほか、無党団結連盟は2 議席、無所属は 1 議席だった。 台 連と親民党 は単一選挙 区二票制を 導入して以 来、はじめ て最低 得 票 率のライン を超えて全 国比例代表 の議席獲得 となった。 前回の 立 法 委員選挙と 比べ民進党 は議席を増 やし、国民 党は減らし たが、 全 体では、やはり青陣営が緑陣営に勝った。 2008 年の立法委員選挙の結果によると、国民党と民進党の選挙区、 比例区の得票率はそれぞれ53.5%、51.23% と 38.17%、36.91% とあ る が、 議席数 はそ れぞれ 81 議席と 27 議席であった。その割合は 71.68% と 23.89% であり、この数字を見ると、政党の得票数と獲得 議席には明確な乖離が生じている32。一方で、2012 年立法委員選挙 の 結果を見る と、国民党 の得票率が 選挙区と比 例区におい てそれ ぞ れ48.18%、44.55% とあるのに対して、民進党は同 43.80% と 34.62%
31 謝相慶「選舉制度與選舉結果不比例性之比較研究」國立政治大學政治學系博士論文 (1996 年)、頁 343。 32 陳俊昇、前掲論文、頁 37。
であった。議席数は国民党が64 議席を、民進党は 40 議席をそれぞ
れ確保した。その割合は56.64% と 35.40% であり、明らかな乖離が
あるようには見受けられない。現行の選挙制度は勝者総取り(Winner
takes the all)という小選挙区制と政党得票率に連動する比例代表制 の 組み合わせ であるから 、二大政党 が接戦の場 合には選挙 区の得 票 率 と獲得議席 に乖離が生 じかねない 。これは制 度設計によ るもの で は ない。この 組み合わせ はすでに比 例代表制の 取り入れに よって 選 挙区における乖離現象の中和を図っている。 台 湾の選 挙制 度改革 にお いて政 治献 金に関 わる 規制を 設け ること は な か っ たが 、 行 政 機関 情 報 公 開法 (Sunshine Law)や政治献金法
(Political Donations Act)、立法委員職権行使法など関連法によって
す でに規制を かけている ので、これ らは広い意 味での台湾 におけ る 国会制度改革の一環とも言えよう。
四 終わりに
第一に、日本の新国会選挙制度は1995 年からすでに五回の総選挙 に 適用され、 台湾の新選 挙制度より 成熟してい ると言える 。民主 党 と 自民党の二 大政党の構 図が見られ るが、小政 党もそれな りに勝 ち 残 っている。 比例代表制 によって社 会の多元的 な価値観が 反映さ れ る面がある。一方、台湾では2008 年の新選挙制度の実施が始まって 以 来、二度の 立法委員選 挙しか経て おらず、比 例代表の議 席獲得 に 日本より高いハードルを設けたこともあって、2008 年の選挙結果は 完全に二大政党の構図となった。小政党はなかなか勝てず、2012 年 の 選挙では何 とか踏ん張 ったが、キ ャスティン グボートを 握れる ま で 成長できる かどうかは 未知数であ る。小政党 が生き残る 道をつ く る ために、ド イツのよう に比例代表 の議席獲得 に設けられ るハー ド ルを5% から 3% へと下げる方向での検討も可能であろう。小 選挙区 制は 二大政 党制 の確立 に、 比例代 表制 は多党 制に つなが る といわれる 。イギリス は二大政党 制国家の典 型と見なさ れてき た が 、ドイツが 比例代表制 を導入した 影響に加え て、イギリ ス社会 に おける価値観とイデオロギーの多元化により、1990 年代から同国で も比例代表制の導入を検討しはじめている33。このような点では、日 本 と台湾が比 例代表制を 取り入れた ことはかな り先駆的な 動きで あ ったと言える。 第 二に、 政党 にとっ て選 挙制度 改革 の最大 の意 義は獲 得議 席の最 大 化にある。 だが、これ は政権を取 る力を持ち 合わせた大 政党の 立 場 である。小 政党は生存 空間を求め るだけで、 政権を取る ことは ま ず ない。候補 者を立てる 戦略におい ても、小政 党は当選よ りも政 党 の 得票数を増 やすことに 主眼を置き 、その制度 に対する要 求は大 政 党 とは異なる 。大政党所 属の候補者 と小政党所 属の候補者 がそれ ぞ れ 求める利益 も異なる。 大政党の候 補者にとっ ては、小選 挙区制 の 方 が当選に有 利で、政党 の公認によ る縛りも少 ない。一方 で、小 政 党の候補にとっては、比例代表の方が好まれるのである。 第三に、金権政治と公共政策は表裏一体の関係にある。金権政治 が なくなれば 、公共政策 は少数の関 係者ではな く、多数の 人々に 利 益 をもたらす ことになる 。だが、新 しい選挙制 度が金権政 治を一 掃 す ることはで きなかった 。新しい選 挙制度を導 入しても、 違法の 政 治 献金や贈収 賄事件など は度々起こ っている。 金権政治を 根本的 に 正 すためには 、選挙制度 改革に期待 するだけで は無理なの であり 、 議 員の財産申 告を義務付 ける情報公 開法の制定 なども必要 である 。 台湾では、日本とは異なり、1995 年に国会改革法案が提出された際 に 国会改革の 推進に沿っ て選挙制度 改革法案の ほか一連の 「情報 公
33 浜中新吾、前掲書、165~186 ページ。
開 法」を制定 したが、台 湾のこれら の「情報公 開法」は広 義的に 見 ると、国会改革の一環であるといえる。 第 四に、 派閥 の問題 であ る。新 国会 選挙制 度を 実施し 、小 選挙区 制 を採用して から、確か に派閥間の 悪性的な競 争が減った 。比例 代 表 制では、そ の公認名簿 は政党によ って作成、 決定される 。政党 は 30%(台湾)あるいは 3/8(日本)の議席のコントロールが可能なた め 、地方派閥 による地元 利益重視の 偏りを牽制 し、全国民 の利益 に 資 する公共政 策を取るよ うに仕向け ることが可 能である。 また、 そ の アプローチ を通じて、 政権獲得の ために全国 の有権者に アピー ル することができる。 表 2 台湾の主要政党の歴代立法委員選挙における得票率及び議席 配分一覽表 党名 中国国民党 民主進歩党 親民党 無所属 団結聯盟 台湾 団結聯盟 新党 選挙 議席 得票率 議席 得票率 議席 得票率 議席 得票率 議席 得票率 議席 得票率 小選挙区 57 53.48% 13 38.65% 0 0.02% 2 2.25% 0 0.96% -- -- 比例代表 20 51.23% 14 36.91% 0 0.00% 0 0.70% 0 3.53% 0 3.95% 原住民議席 4 0 0 1 0 0 2008 総議席 81 27 1 3 0 0 小選挙区 44 48.12% 27 44.45% 0 1.12% 1 1.08% -- -- 0 0.08% 比例代表 16 44.55% 13 34.62% 2 5.49% -- -- 3 8.96% 0 1.49% 原住民議席 4 0 1 1 0 0 2012 総議席 64 40 3 2 3 0 (出典)中央選挙委員會ウェブサイトより筆者作成、http://web.cec.gov.tw/bin/home.php。 (注)1. 2008 年、親民党が比例代表に候補を立てた。親民党と新党の候補者の多数は 国民党籍で出馬。 2. 比例代表議席には全国比例区と海外在住枠が含まれる。 3. 小選挙区の得票率は原住民選挙区(原住民の部分は複数定員を維持、平地と 山地にそれぞれ三議席)を除く。
小選挙区の実施は、二大政党制を定着させるほか、「世襲政治」と 「 派閥継承」 の傾向も多 く見られる ようになる 。これが民 主政治 に お ける参政権 の平等原則 に反するか どうかは、 引き続き検 証すべ き 課題であるといえる。
台日國會選舉制度改革的比較研究
―台灣「單一選區兩票制」與日本
「小選區比例代表並立制」對政黨政治之影響―
李 嘉 進
(中華民國總統府國家安全會議諮詢委員)【摘要】
國 會是 國民主 權的 體現, 國會 制度的 改革 則是實 現國 民主權 的步 驟 與方法,選 舉制度只是 改革的一環 。選舉制度 如同其他制 度一樣 體 現 了政治行動 者的理念、 價值、利益 與行為模式 ,也架構了 民主政 治 中 最常見的選 舉行為。這 其中包含了 政黨、國會 議員以及一 般選民 的 行 為模式以及 其背後的理 念價值與利 益計算,最 終則是期望 建立一 個 能夠充分體現社會多元價值及利益的國會選舉制度。 台灣原本與日本、南韓一樣採行SNTV 的選舉制度,1995 年日本 改 革選舉制度 之後,經歷 了十年,台 灣也採行了 與日本類似 的新選 舉 制 度,兩個選 舉制度實施 之後的成效 如何?進行 比較研究似 乎是一 個 必然的趨勢,以政黨政治為核心,旁及派系、公共政策與金權政治等, 兩個選舉制度都呈現了部分成果,也留下一些難以解決的問題。 關鍵字:國會選舉制度、政黨政治、台灣、日本A Comparative Study of the Parliament
Electoral System Reform in Taiwan and Japan:
The Potential Influence on Party Politics
of the Mixed-Member Majoritarian System
in Taiwan and Japan
Chia-Chin Lee
Senior Advisor, National Security Council, Taiwan, R.O.C.
【Abstract】
Parliament is the symbol of the political rights of national citizens. The reform of parliament institutions is necessary to materialize political rights, and the reform of the electoral system is one important part of parliament institution reforms. As well as other democratic procedures, the electoral system serves to fulfill the beliefs, values and interests of different political actors, formulate their patterns of behavior and affect their voting preferences. Therefore a well-designed electoral system has to consider various factors, including behavior patterns, beliefs, values and interests of political parties, legislators and the electorate. The ultimate goal is to build up a parliament electoral system that reflects the different values and interests of a pluralistic society.
Taiwan used to adopt the SNTV (Single Non-Transferable Vote) electoral system, the same system as Japan and South Korean adopted before 1994. However, following Japan’s step to reform its parliament electoral system in 1995, Taiwan also implemented a new electoral system referring to Japan’s reform design in 2004. Did these reforms achieve the desired outcome? To answer the question, this article will engage in a comparative research regarding the electoral reforms carried out in Japan and Taiwan. The focus will be put on party politics and elaborate further on issues of factions, public policy and money politics. The attempt is to point out that even though the electoral reform did bring about good effects to some extent, it leaves further obstacles and difficulties as well.
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