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TPP 日米農産物マーケットアクセス 交渉の研究―日本農産物市場開放戦略―

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TPP 日米農産物マーケットアクセス

交渉の研究

―日本農産物市場開放戦略

*

耀 庭

(台湾.淡江大学日本政経研究所所長)

【要約】

2016 年 2 月に 12 ヶ国が TPP 協定に署名した。その協定によると、 日本の商品マーケットアクセスを示す自由化比率は95%(9,321 課税 項目)、農林水産品の自由化比率は 82%(2,594 課税項目)である。 と りわけ、米 、小麦、砂 糖、牛肉と 豚肉、乳製 品等五大重 要農産 物 の自由化率は29%にとどまる。高い自由化水準を標榜する TPP 交渉 に おいて、何 故日本はこ のような結 果を得られ たのか。日 米農産 物 市場アクセス交渉の合意は、TPP 商品市場アクセス交渉の合意を達 成する礎である。本研究はTPP 日米農産物市場開放交渉の経過と合 意 の内容を分 析し、三つ の日本商品 市場開放戦 略、五つの 日本農 産 物 市場開放戦 略をまとめ 、そしてそ の政策的な 意味合いと 、台湾 に 対するインプリケーションを探った。 キーワード:TPP、従価税、非関税貿易障壁、関税割当て、特別セー フガード

* 2016 年 7 月、東京大学農業資源経済学研究室、本間正義教授、斉藤勝宏教授、張采 瑜教授のご指導に感謝いたします。本論文の責任は著者にあるものとする。

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一 はじめに

1 アジア経済統合とTPP

21 世紀に入り、自由貿易協定(Free Trade Agreement, FTA)締結の 動 きが加速す る中、アジ アの経済統 合は戦後の 多国間主義 から二 国 間(FTA)、地域国間(Regional Trade Agreement, RTA)と多国間(World Trade Organization, WTO)の三つが並行して進められる形へと変化し た 。欧米諸国 に比べ、二 国間/地域 間貿易協定 の締結に遅 れをと っ て いるアジア 諸国は、こ のところド ミノ効果に より経済統 合を積 極 化させている。 2008 年 に 米 国 が 環 太 平 洋 戦 略 的 経 済 連 携 協 定 ( Trans-Pacific Partnership, TPP)交渉に参加すると、アジア地域の貿易協定は 2 つ の地域統合枠組みにより発展することになった。1 つはアジア域内諸 国の統合で、東アジア地域包括的経済連携(Regional Comprehensive

Economic Partnership, RCEP)がその代表である。もう 1 つはアジア と 域外諸国と の統合で、 アジア太平 洋地域の経 済協力枠組 みであ る

環太平洋経済連携協定(TPP)がその代表である。TPP はシンガポー

ル、ブルネイ、ニュージーランドとチリの4 カ国が 2005 年に締結し

た P4 に始まり、2008 年に米国が参加表明以降は、アジア太平洋経

済協力(Asia-Pacific Economic Cooperation, APEC)のメンバーエコノ

ミーを包括するFTA 構想が徐々に形成されていった。米国の参加は 米国がTPP をリバランス政策の経済的支柱に据えようとしているだ けではなく、21 世紀の世界の新しい貿易ルール作りをリードすると と もに、その 経済的影響 力をアジア における新 たな経済統 合にも 及 ぼそうとしていることを意味する。一方、2014 年 11 月に北京で APEC 閣僚会議が開催された際、中国の習近平国家主席は米国主導の TPP と のバランス をとるため 、ホスト国 としてアジ ア太平洋自 由貿易 圏

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(FTAAP)構想の実現を呼びかけた。 TPP 交渉に参加している 12 カ国は 2015 年 10 月 5 日にアトランタ で大筋合意に至り、2016 年 2 月 4 日にニュージーランドのオークラ ンド市で12 カ国の大臣により署名された。アジアにおける重要な経 済実体である台湾もTPP 加盟に意欲を示している。 2 文献考察と研究の目的 近 年は高い水 準の自由貿 易協定を目 指す傾向に あり、二国 間或い は 地 域間協定に かかわらず 、商品、サ ービス市場 の開放のほ か、人 の 移 動、労働、 投資、知的 財産、競争 政策、電子 商取引、政 府調達 、 技 術協力、貿 易救済、環 境、紛争解 決など、広 範囲の分野 で議論 が な されている 。しかし、 自由貿易協 定の貿易創 出効果は基 本的に 、 商 品、サービ ス貿易、投 資の自由化 、つまり関 税および非 関税貿 易 障壁(Non-Tariff Barriers, NTBs)の撤廃によりもたらされる。 21 世紀以降特に農産物、サービス貿易および投資の自由化が、自 由 貿易協定に おいて貿易 創出効果、 動態的効果 を生み出す として 焦 点になっている。Niven Winchester はニュージーランドに対して実証 研究を行い、ニュージーランドが締結したFTA の商品貿易自由化改 革 がもたらす 経済効果の うちに、非 関税貿易障 壁撤廃の効 果は関 税 削減効果を上回ると試算している1。早川和伸(Kazunobu Hayakawa) と木村福成(Fukunari Kimura)は実証研究で、FTA を締結した国に は 関税削減と 非関税貿易 障壁撤廃が もたらす自 由化の経済 効果が 生 じ 、このうち 非関税貿易 障壁撤廃の 効果は関税 削減より大 きいと 試

1 Niven Winchester, “Is There a Dirty Little Secret? Non-tariff Barriers and the Gains from

Tarde,” Economics Discussion Paper No. 0801, University of Otago, January 2008, pp. 17-19, http://citeseerx.ist.psu.edu/viewdoc/download?doi=10.1.1.521.3677&rep=rep1&type= pdf.

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算している2。川崎研一(Kenichi Kawasaki)は、アジア経済統合の枠 組みであるTPP、RCEP と FTAAP の経済効果を研究し、自由化の経 済効果はどのEPA であっても非関税貿易障壁の撤廃効果が関税削減 効果を上回ると試算した3。また、ピーター・ペトリ(Peter A. Petri) とマイケル・プラマ(Michael G. Plummer)が 2015 年の TPP 協定締 結内容をもとに行った実証研究によると、TPP が創出する経済効果 は 商品貿易、 サービス貿 易、投資な どにおける 障壁撤廃を 含む、 非 関税障壁の撤廃によるものが最も大きいとされている4。 商品の中で 農産物の平 均関税率と 非関税貿易 障壁が比較 的高い こ とから、農産物市場の開放がTPP 交渉の焦点の一つとなっている。 TPP 商品市場アクセス交渉の焦点は日米交渉であり、日米商品市場 ア クセス交渉 の鍵となる のは農産物 市場の開放 である。本 研究の 目 的はTPP 日米農産物市場開放交渉の経過、合意内容、戦略および意 味 合いを検討 し、特に自 由化の視点 から観察と 分析を行い 、とり わ け 日本の攻防 戦略におい て今後台湾 が交渉に参 加する際の 参考に し たい。

2 Kazunobu Hayakawa, Fukunari Kimura, “How Do Free Trade Agreements Reduce Tariff

Rates and Non-tariff Barriers?” IDE Discussion Paper 446, INSTITUTE OF DEVELOPING ECONOMIES (IDE), JETRO, February 2014, pp. 7-9, https://ir.ide.go.jp/dspace/bitstream/ 2344/1300/1/ARRIDE_Discussion_No. 446_hayakawa.pdf.

3 Kenichi Kawasaki, “The Relative Significance of EPAs in Asia-Pacific,” RIETI Discussion Paper Series 14-E-009, January 2014, pp. 10-13, http://www.rieti.go.jp/jp/publications/dp/

14e009.pdf.

4 Peter A. Petri, and Michael G. Plummer, “THE ECONOMIC EFFECTS OF THE TPP: NEW

ESTIMATES,” in Jeffrey J. Schott and Cathleen Cimino-Isaacs eds., ASSESSING THE

TRANS-PACIFIC PARTNERSHIP, VOLUME 1: MARKET ACCESS AND SECTORAL ISSUES, CHAPTER 1, (the Peterson Institute for International Economics, 2016), pp. 13-20,

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TPP 交渉

TPP 交渉の経過 TPP 協定を締結した 12 カ国の経済規模は、2015 年の GDP で 3 兆 ドル、世界の約40%を占め、人口は約 8 億人と世界の 10%を占めて いる。TPP は 21 世紀に入って世界で初めて合意に至ったメガ FTA に よ る経済統合 であり、そ の高い水準 の貿易自由 化から新世 紀の貿 易 モデルとされ、締結には大きな意義がある。 5 年半にわたった TPP 交渉は全体会合と二国間協議を並行して進 める形で行われていた。全体会合は2010 年 3 月に豪州のメルボルン で第1 回会合が行われてから 2016 年 2 月にニュージーランドのオー クランドで署名式が開かれるまで、30 回近く開催された。第 1 回お よび第2 回会合には米国、シンガポール、ブルネイ、チリ、ペルー、 豪州、ニュージーランド、ベトナムの 8 カ国(TPP8)が参加し、第 1 回は 2010 年 3 月にメルボルンで、第 2 回は 2010 年 6 月にサンフラ ンシスコでそれぞれ行われた。第 3 回会合からはマレーシアが参加 しTPP9 となった。その後、第 15 回会合からはカナダとメキシコが 参加し TPP11 となり、第 18 回会合からは日本が参加し TPP12 とな った。2015 年 10 月 5 日、米国アトランタで開催された TPP 閣僚会 合においてTPP 協定は大筋合意に至り、2016 年 2 月 4 日、ニュージ ーランド・オークランドで開催された TPP 署名式において、TPP 協 定が署名された。 TPP 協定交渉は 21 分野にわたって議論が行われた(表 1 を参照)。 2015 年以前は交渉にあまり進展がなく、日本が参加した 2013 年 8 月の第19 回会合で交渉が終了し決議されたのは、協力とキャパシテ

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ィビルディング分野のみであった5。その後、2015 年になってようや く交渉に明らかな進展が見られるようになった。2015 年 10 月にアト ランタで開催された会合に先立ち、交渉21 分野中、税関当局及び貿 易円滑化、電子商取引、食品安全検査と衛生植物検疫措置(SPS)な どの10 分野は既に大筋で合意に達しており、原産地規則、政府調達、 越境サービスなどの 7 分野も合意間近となっていた。しかし、商品 市場アクセス(日米交渉)、知的財産(新薬のデータ保護期間をめぐ り対立)、競争政策(国有企業の不公正な競争)および環境の4 つの 分野で膠着状態に陥っていた。 表1 TPP 交渉の 21 分野 1.物品市場アクセス 12.金融サービス 2.原産地規則 13.電気通信サービス 3.税関当局及び貿易円滑化 14.電子商取引 4.食品安全検査と衛生植物検疫措置 (SPS) 15.投資 5.貿易の技術的障害(TBT) 16.環境 6.貿易救済 17.労働 7.政府調達 18.法的・制度的事項 8.知的財産 19.紛争解決 9.競争政策・国有企業 20.協力・キャパシティ ビルディング 10.越境サービス 21.分野横断的事項 11.ビジネス関係者の一時的な入国 出典:筆者作成。 商品市場ア クセスとは 物品やサー ビスの貿易 に関して関 税や非 関 税 障壁を撤廃 し、事務処 理や通関手 続きを簡素 化して投資 や貿易 を

5 「TPP、年内妥結に暗雲 各分野の決着半数超が先送り 大筋合意に固執」『朝日新聞 digital』、2013 年 9 月 23 日、http://digital.asahi.com/articles/TKY201309220357.html?ref= comkiji_txt_end_s_kjid_TKY201309220357。

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より活発にすることを目指すもので、TPP における核心議題の一つ である。TPP では参加国に商品貿易を自由化し、工業、農業等の商 品貿易のうち少なくとも95%で関税撤廃することを求めている。 日本の農産 物、とりわ け、米、小 麦、砂糖、 牛肉と豚肉 、乳製 品 等の五大重要農産物のタリフライン594 品目(HS2012)はこれまで 一 度 も 市 場 開 放 し た こ と が な く 、 こ れ は 日 本 が 輸 入 し て い る 9,321 品目の6.4%を占める。つまり、もし日本がこのまま重要農産物を自 由化しない方針を貫き通せば、その自由化率は最大でも 93.5%にと どまる。日本は以前締結した FTA の物品貿易の自由化率も 84%~ 88%程度と低かった。日本がこれまでと同じく農業保護政策をとれ ば、TPP が目指す自由化率 95%を達成するのはほぼ不可能である。 また、TPP は農業分野と鉱工業分野で発効から原則 10 年以内にほ ぼ100%の関税撤廃を目指している。しかし、交渉参加国は特に農産 物 においてこ の目標を達 成すること は極めて困 難であるこ とも承 知 している。米国は以前、たとえ20 年以上の時間をかけても日本の重 要 農産物市場 の開放を実 現したいと 述べたこと がある。ま た、貿 易 救 済措置であ る特別セー フガードも 農産物市場 開放交渉の もう一 つ の焦点であり、日本は米国などほかの交渉参加11 カ国が日本が特別 セ ーフガード の発動を農 産物市場開 放の条件に することに 同意し て くれることを期待している。 2 TPP 日米農産物マーケットアクセス交渉 TPP 商品市場アクセス交渉の焦点は日米の二国間協議である。日 米 の商品市場 アクセス交 渉における 議題は主に 、日本が米 国へ輸 出 す る自動車と 関連部品等 の工業製品 、および米 国が日本へ 輸出す る 農産物の関税譲許と非関税貿易障壁の撤廃である。 日米商品市 場アクセス 交渉が注目 されている 理由は二つ ある。 一

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つは日米の2015 年の GDP 合計が TPP 参加 12 カ国の 7 割近くを占め ることである。日米が合意に至るかどうかはTPP 全体の行く末にも 影 響する。二 つ目は農産 物市場の開 放はデリケ ートな問題 を伴う か ら である。農 業分野の日 米交渉は、 当事国であ る日本の国 策が農 業 保 護であると いうこと以 外に、以下 の四つの点 で世界の注 目を集 め ている。まず、農業分野における TPP 交渉では、農産物市場アクセ ス交渉だけではなく、貿易救済、衛生植物検疫(SPS)、貿易の技術 的障害(TBT)、知的財産等の新たな貿易規定を含む、農産物市場ア ク セスに関連 したルール 作りがさら に重要とな るからであ る。こ れ ら の貿易関連 事項は全て 非関税貿易 障壁と関係 がある。次 に、世 界 貿易機関(WTO)ドーハ・ラウンド交渉では農産物市場開放につい て合意を達成できなかったが、TPP の農産物関税削減や非関税貿易 障 壁撤廃とい った市場開 放や貿易に 関する新た なルールな どの具 体 的な成果はWTO プラスのモデルとなるからである。三つ目は、農産 物 輸出大国の 米国と輸入 大国の日本 の合意内容 は、世界の 農産物 貿 易 自由化の十 分な指標に なり得るこ と、四つ目 は、日本の 対応策 は 農産物輸出国が今後日本と FTA 交渉を行う際の交渉カードにでき、 さらには、将来TPP 交渉に参加したいアジア諸国、特に農産物輸入 国が参加する際の参考になるからである。 安倍首相が2013 年に開始した新しい経済政策において、TPP は規 制緩和の重要な柱として位置付けられたが、2012 年の衆議院総選挙 では、自民党はTPP 交渉参加に反対することを公約に掲げていた。 TPP 交渉に参加し、国内の農産物市場を開放すれば、国内の農業団 体の信用を失い苦しい立場となる。安倍首相は2013 年 2 月に訪米し、 オバマ大統領と会談した際、米国がTPP に求めている市場開放に対 す る考えを理 解した。そ れは、原則 的には高い 自由化の水 準を求 め て いるものの 、現実的に は交渉国の 経済事情を 考慮し、米 国も一 方

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的 に日本に農 産物市場の 全面的な開 放を要求す るつもりで はない と いうことである。そこで、安倍首相は帰国後の 3 月 15 日、日本が TPP 交渉に正式に参加することを表明した6。その後、4 月 18 日と 19 日 に参議院と 衆議院で、 米、小麦、 砂糖、牛肉 と豚肉、乳 製品の 五 大重 要農産物は 市場開放交 渉の除外品 とすること などが決議 された 。 日本は2013 年 7 月の TPP マレーシア会合から正式に交渉に参加し た が、前述し たように交 渉はあまり 進んでいな かった。し かし、 進 展 の遅さは後 から交渉に 参加した日 本にとって はかえって 有利に 働 き 、日本の主 張を述べて 話し合う機 会が得られ た。ただ、 日本国 内 で は五大重要 農畜産物市 場の保護を 主張する農 業団体や農 林水産 省 内 部などの間 で、日本は 「牛歩戦術 」をとるべ きで、急い で国内 市 場を開放する必要はないとの考えで一致していた7 このような 状況の中、 日米マーケ ットアクセ ス交渉は、 日本が 農 産 物の輸入関 税撤廃を拒 み続ける一 方で、米国 も自動車の 輸入関 税 撤廃を拒否し続け、両国は膠着状態に陥っていた8。日本の強みが自 動 車であるこ とから、米 国は日本か らの輸入車 と関連部品 の関税 撤 廃 期間をでき るだけ長く したいと考 えていた。 一方で、日 本の弱 み が農産物であることから、日本は表 2 で示したように重要農産物に 対 し高い関税 と非関税貿 易障壁を設 けた保護政 策を実施し ている 。

6 「平成 25 年 3 月 15 日安倍内閣総理大臣記者会見」日本首相官邸、2013 年 3 月 15 日、 http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/statement/2013/0315kaiken.html。 7 特に農産品貿易の自由化について、アメリカの態度は積極的だが、日本、オースト ラリアは国内選挙の圧力によって消極的な態度である。「TPP、年内妥結に暗雲 各分 野の決着、半数超が先送り 大筋合意に固執」『朝日新聞 digital』2013 年 9 月 23 日、 http://digital.asahi.com/articles/TKY201309220357.html?ref=comkiji_txt_end_s_kjid_TKY 201309220357。 8 「TPP、年明け再協議 閣僚会合が共同声明」『日本経済新聞社』2013 年 12 月 10 日、 http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS1004F_Q3A211C1MM8000/?dg=1。

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従って、日本は当然重要農産物の関税削減をできるだけ遅らせるか、 引 下げにかけ る期間を長 くしたいと 考えていた 。しかし、 米国は 日 本 の農業保護 政策、とり わけ非関税 貿易障壁に 同意せず、 日本の 重 要農産物市場の早期開放を期待していた。 表2 日本の五大重要農産物の現行輸入税率 品目 従価税率 従量税(円/kg) 米 778%(換算値) 341 円/kg(関税枠外) 小麦 252%(換算値) 55 円/kg(関税枠外) 砂糖 379%(換算値) 103.10 円/kg 牛肉 38.5%(50%換算値) 豚肉 4.3%(120~380%換算値) 482 円/kg(差額関税分岐点価格) 乳製品 脱脂粉乳:218%(換算値) 21.3%+396 円/kg(枠外税率) 出典:本間正義『現代日本農業の政策過程』(東京:慶應義塾大学、2010 年)、表 5-7、 232 ページ。 2014 年 4 月に訪日したオバマ大統領は、日本の豚肉に対する差額 関 税について 、安倍首相 との銀座の 鮨屋での晩 餐会の席で 、安い 価 格帯の豚肉が対象の関税を1 キロ当たり 50 円に下げることを提案し た9。同年9 月に行われた日米閣僚協議で双方は再び牛肉と豚肉の関 税 撤廃に関し て協議を行 った。そこ で日本は牛 肉の関税と 豚肉の 差 額 関税を下げ る代わりに 、日本国内 の畜産業者 が輸入品の 急増に よ り 受ける損失 被害を抑え るため、特 別セーフガ ード発動要 件の緩 和 に 対し同意を 求めた。こ れに対し米 国も、日本 に米の輸入 量を増 や し 、乳製品の 関税を削減 するよう要 求した。日 米農産物市 場アク セ ス 交渉は、双 方が市場開 放は特別セ ーフガード と抱き合わ せで行 う こ とに同意し たことで、 ようやく出 口が見えて きた。続い て日米 は

9 「今だから明かす TPP 交渉の舞台裏」『NHK』2015 年 10 月 28 日、http://www3.nhk. or.jp/news/imasaratpp/2015_1028.html。

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各 製品に対す る特別セー フガードの 発動要件を めぐり激し い攻防 戦 を繰り広げていった10。 2015 年に起きた二つの出来事により米国の態度に変化が現れた。 一つは2015 年 1 月に日本・豪州経済連携協定(日豪 EPA)が発効し たことである。日豪EPA における商品市場アクセスは特に牛肉や乳 製 品などの農 産物分野が 中心となっ た。牛肉に ついては、 冷凍牛 肉 の現行税率38.5%を 19 年かけて段階的に 19.5%まで削減し、冷蔵牛 肉の現行税率 38.5%は 16 年かけて段階的に 23.5%まで削減すること に 日本が同意 した。一方 で、輸入量 が発動基準 数量を超え た場合 に は 特別セーフ ガードが発 動できるこ とに豪州が 同意した。 これに よ り 、豪州はハ ンバーガー 向けなど、 低価格な加 工用牛肉の 日本の 主 な 調達先とな る可能性が あり、日本 市場におけ る米国産牛 肉のシ ェ ア に大きな影 響を及ぼす ことは必至 である。乳 製品につい ては、 ナ チュラルチーズの関税割当てを20 年かけて 4,000 トンから 20,000 ト ン に拡大し、 枠内は一定 比率での国 産品の使用 を条件に無 税とす る こ とに日本が 同意した。 もう一つの 出来事はア メリカで貿 易促進 権

限法(Trade Promotion Authority, TPA)が成立したことである。

2015 年 1 月 14 日から 16 日にかけて東京で開催された日米実務者 協 議において 、日本は米 国産の米の 輸入枠拡大 、豚肉の差 額関税 の 一部撤廃、牛肉関税の引き下げを提案した。牛肉関税は 38.5%から 20%に引き下げ、その後も段階的に引き下げ続ける。現行の豚肉の 差 額関税制度 については 、輸入の影 響が比較的 小さい高価 格帯の 従 価税 4.3%を撤廃し、低価格帯の従価税も大幅に削減する11。米国は

10 「TPP、牛豚肉で再び攻防 日米閣僚協議」『日本経済新聞』2014 年 9 月 25 日。 11 「TPP 日米実務者協議終了 農産物で合意へ前進」『日本経済新聞』2015 年 1 月 16 日。「日本豚肉関税を一部撤廃 牛肉はまず 20%に TPP 米が要求緩和交渉加速」 『日本経済新聞』2015 年 1 月 25 日。

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も ともと農産 物の関税の 完全撤廃を 求めていた が、日本の 譲歩に そ の 態度を緩め 始め、日本 車の安全・ 環境基準に 対する厳し い要求 も 持 ち出さなく なった。日 米農産物関 連協議にお ける課題は 残り製 品 別 の特別セー フガード発 動要件のみ となった。 自動車関連 協議の 課 題 も残りは日 本に何らか の協定違反 があった場 合に、米国 が撤廃 し た自動車関税を元の2.5%水準に戻す際の紛争解決手続きに関する細 部の調整のみとなった12 2015 年 2 月、日米はワシントンで事務レベル協議を開催し、牛肉 と 豚肉市場の 自由化に関 して、米国 産牛肉の関 税と豚肉の 差額関 税 を10 年以上かけて削減していくという日本側の提案についてさらに 協 議を進めた 。主食用の 米の輸入拡 大について は、米国側 の日本 政 府 に対する強 い働きかけ により、国 内生産者へ の影響を最 小限に 抑 えるという前提の下で、新しい輸入枠として年間7 万~8 万トンの関 税割当枠を設けることで合意した13。しかし、米国市場における日本 車 の輸入関税 については 、米国の関 税引き下げ に関する具 体的な 承 諾は得られなかった。 すでに触れた通り、2015 年 6 月に貿易促進権限(TPA)法案とそ

の支援策である貿易調整援助法(Trade Adjustment Assistance, TAA) が 米国の上下 両院で可決 されたこと も、米国の 交渉環境に 変化を も たらした。米国の市場アクセス交渉の決定権は議会にあるため、TPA を 大統領に委 任しなけれ ば、行政部 門と外国政 府との合意 が議会 に よ り完全に修 正される可 能性もある 。そうなれ ば外国政府 も安心 し て 米国と協議 を進めるこ とができな い。また、 合意内容に よって は

12 「TPP あと数カ月での合意を期待 USTR 代表」『日本経済新聞』2015 年 1 月 28 日。 13 「TPP コメ輸入枠拡大焦点に」『NHK』2015 年 1 月 30 日、http://www3.nhk.or.jp/news/ html/20150130/k10015076841000.html。

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輸入競争産業や就業者が損失を被る恐れもあるが、TAA があれば産 業 の足並み調 整をサポー トでき外部 交渉を進め るのに有利 となる 。 オバマ大統領の尽力によりTPA と TAA は共に辛うじて可決され、こ れにより米国政府のTPP 締結に向けた態度はより積極的になった。 そしてTPP 交渉もここから最終段階へと入っていった。 2015 年 7 月にハワイで TPP 閣僚会合が行われた。各国は合意に大 き な期待を寄 せていたが 、米国は最 後の最後で 影響力を発 揮して 各 国 に互いに譲 歩し合い大 局的見地に 立つよう促 すことがで きず、 最 終 的には合意 に至らなか った。しか し、ハワイ 会合では実 質的な 成 果が蓄積された。 ハワイの全体会合で行われた21 分野に関する協議では、最終的に 締結されるTPP 協定の 30 章(表 3)のうち、税関当局及び貿易円滑 化など、既に17 章で合意が得られていた。規制の整合性や運用及び 制 度に関する 規定も、あ と一息で完 成というと ころまでき ていた 。 閣 僚判断やさ らに高度な 政治的判断 が必要な章 は、内国民 待遇及 び 物 品の市場ア クセス(2 章)の農産物貿易の自由化、知的財産(18 章)の新薬のデータ保護期間、国有企業及び指定独占企業(17 章)、 国 際投資で投 資受入国の 制度変更に より投資家 が受けた損 害の救 済 を国際仲裁機関に要請する制度の構築(9 章、Investor-State Dispute Settlement, ISDS)の僅か 4 章であった。このほか、特定の分野には TPP ルールを適用しない14という問題もあった15。

14 例えばカナダはテレビ、映画などの文化領域は不適用と主張している。 15 「TPP 日米豚肉の関税などで最終調整」『NHK』2015 年 7 月 28 日、http://www3. nhk.or.jp/news/html/20150728/k10010168751000.html。「TPP、電子商取引.金融も決着 へ8 割の分野にメド」『日本経済新聞電子版』2015 年 7 月 4 日、http://www.nikkei.com/ article/DGXLASFS03H4Y_T00C15A7EA2000/。

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3 TPP 協定内容(30 章) 1.冒頭の規定及び一般的定義 16.競争政策 2.内国民待遇及び物品の市場アクセス 17.国有企業及び指定独占企業 3.原産地規則及び原産地手続 18.知的財産 4.繊維及び繊維製品 19.労働 5.税関当局及び貿易円滑化 20 環境 6.貿易上の救済 21.協力及び能力開発 7.食品安全検査と衛生植物検疫措置 (SPS) 22.競争力及びビジネスの円滑化 8.貿易の技術的障害(TBT) 23.開発 9.投資 24.中小企業 10.国境を越えるサービスの貿易 25.規制の整合性 11.金融サービス 26.透明性及び腐敗行為の防止 12.ビジネス関係者の一時的な入国 27.運用及び制度に関する規定 13.電気通信 28.紛争解決 14.電子商取引 29.例外及び一般規定 15.政府調達 30.最終規定 出典:「TPP 協定摘要 中譯」PDF、中華民國外交部、http://www.mofa.gov.tw/Upload/ WebArchive/1829/。 一方、日米 二国間協議 の進展と残 りの争点は 以下の通り である 。 ま ず、日本が 合意した主 食用の米の 新しい輸入 枠の規模に ついて 、 米国側が年間17 万 5,000 トン増やすよう求めているのに対し、日本 側は年間7 万~8 万トンが限度とし、ぎりぎりの駆け引きが行われて い た。しかし 、牛肉、豚 肉協議では 実質的な進 展が見られ た。牛 肉 の関税は、15 年以内に現行税率の 38.5%から段階的に 10%に引き下 げ。豚肉の差額関税は、10 年以内に安い価格帯の肉 1 キロ当たり、 最大482 円の関税を 50 円に引き下げることで日本が合意した。これ に 対し米国は 日本側が提 案した輸入 の急増によ る損失被害 を抑え る た めの特別セ ーフガード の導入を条 件とするこ とに合意し 、双方 は 特 別セーフガ ード発動要 件について の実質的な 協議に入っ た。米 国 市場での日本車関連の関税撤廃に関しては、300 品目の部品の関税は

(15)

即時又は 5 年以内に撤廃することで米国が合意した。しかし、日本 製 と米国製が 競合しやす いエンジン 、ギアボッ クス、パワ ーステ ア リングなどでは、撤廃までの期間を10 年以上とするよう求めた。こ のほか、セーフガードの発動要件については双方折り合いがつかず、 政治的な解決が待たれることとなった。 ハワイ会合 では合意に 至らず世界 各国を大い に失望させ た。し か し、続いて2015 年 9 月 30 日から 10 月 1 日に米国アトランタで開催 されたTPP 閣僚会合では、日米が協力して積極的に主導し、当初の 日程を 2 日延長して交渉を続け、知的財産の新薬データ保護期間を め ぐる協議や 乳製品市場 アクセスに ついては閣 僚級による 折衝が 行 われた後、現地時間の10 月 4 日、TPP 協定はついに大筋合意に至っ た16

三 日本の

TPP 交渉における農産物市場開放と経済効果

2016 年 2 月に TPP 協定が署名された。その協定内容には物品の貿 易 に関して、 譲許表に従 い関税を引 き下げるこ とに加え、 内国民 待 遇、輸出入の制限、再製造品の取扱い、輸出入許可手続きの透明性、 行 政上の手数 料及び手続 き、輸出税 など、非関 税貿易障壁 に関す る 基本的なルールも明記されている。 農産品の貿 易に関して は、輸出補 助金、輸出 制限、貿易 救済、 遺 伝 子組換え作 物に関する 情報交換等 について規 定している 。この う ち 、輸入国側 の食糧安全 保障に関わ る食料の輸 出制限につ いては 、 その適用期間を原則6 カ月間とすることなど、WTO 協定には定めら れ ていない規 定が設けら れた。加工 品の原産地 規則には完 全累積 制

16 「TPP、4 日まで再延長 甘利氏『再々延長はしない』」『日本経済新聞』2015 年 10 月 4 日、http://www.nikkei.com/article/DGXLASFK03H3U_T01C15A0000000/。

(16)

度が採用された17。貿易上の救済には、輸入急増による国内産業への 重 大な損害を 防止するた め、経過的 セーフガー ド措置をと ること が で きる旨を規 定しており 、締約国は 一定の経過 期間の間、 関税譲 許 を 一時的に停 止するか、 一定の水準 まで関税を 引き上げる ことが で き る。なお、 経過的セー フガード措 置について は、締約国 による 濫 用 を抑制する ため、同一 産品に対す る二回以上 の発動を禁 止する な ど 、WTO 協定にはない内容が規定されている。SPS 措置の章には WTO・SPS 協定の内容を上回る規定として、人、動物又は植物の生 命 又は健康を 保護しつつ 、貿易に対 する不当な 障害をもた らすこ と の ないように 、科学的な 原則、国際 的な基準を 考慮するこ とや、 危 険 性の分析、 輸入検査、 証明、透明 性などに関 する規定が 明記さ れ て い る 。 貿 易 の 技 術 的 障 害 (TBT)の章には、商品規格及び適合性 評 価手続きの 導入に際し 、他の締約 国の利害関 係者の参加 及び意 見 提出の機会を与えること(意見を提出する期間は通常 60 日間)、国 際 規格に適合 的な措置で あっても貿 易に著しい 影響を与え る場合 は WTO に通報することなどを規定している。このうち、日本が求める 遺 伝子組み換 え食品表示 は削除され ていない。 投資の章に は、投 資 家 の内国民待 遇及び最恵 国待遇、投 資家に対す る投資受入 国の付 帯 条 件(現地調 達、技術移 転、ライセ ンスの授権 ・移転又は 特定の ロ イ ヤルティ率 等)の強要 禁止、濫訴 抑制につな がる規定を 含む投 資 家と国との間の紛争の解決(ISDS)などに関する規定が置かれてい る 。国有企業 及び指定独 占企業の章 には物品又 はサービス の売買 を 行 う際、商業 的考慮に従 い行動する こと、他の 締約国の企 業に対 し て 無差別の待 遇を与える ことを確保 すること、 国有企業へ の非商 業 的 援助を通じ て他の締約 国の利益に 悪影響を及 ぼしてはな らない こ

17 その中で車は付加価値基準は 55%、車の部品の付加価値基準は 45-50%。

(17)

となどを規定している。知的財産章の規定は地理的表示(Geographic Indications, GIs)の保護又は認定の取消しなどである。また、環境の 章 では相互に 補完的な貿 易及び環境 に関するル ール、漁業 の保存 及 び 持続可能な 管理に関す るルール、 野生動植物 の違法な採 捕及び 取 引に対処するためのルールなどについて規定している。 1 日本のTPP 商品マーケットアクセス交渉における五大重要農産 物市場の開放 日 本 が 合 意 し た TPP 商 品マーケッ トアクセス 交渉の内容 は、 全 9,321 品目のうち、関税撤廃の対象とならないものが 459 品目で、そ の自由化比率は 95.07%である。国際的な品目分類 HS2012 において 1 類~24 類、44 類及び 46 類に分類される農林水産物では、全 2,594 品目のうち、関税撤廃の対象とならないものは 459 品目あり、その 自由化比率は 82.31%である18。五大重要農産物 594 品目のうち、関 税撤廃の対象とならないものは424 品目で、その自由化率は 28.62% である。 日本の五大 重要農産物 協議の結果 は日米の商 品市場アク セス交 渉 の合意を促した。その重要 5 品目である米、小麦、砂糖、牛肉と豚 肉、乳製品の合意内容は以下の通りである19

18 他国 TTP 加盟 11 カ国と異なり、日本の農林水産品項目に酒・タバコ類は含まれない。 「TPP における農林水産物関税の最終結果(HS2012 版)」日本農林水産省、2016 年 3 月、http://www.maff.go.jp/j/kokusai/tpp/pdf/1_kousyou_kekka_hs2012.pdf。 19 以下の内容は、「TPP における重要 5 品目等の交渉結果」日本農林水産省、2015 年 11 月、http://www.maff.go.jp/j/kokusai/tpp/pdf/2-1_5hinmoku_kekka.pdf。「TPP 農林水産物 市場アクセス交渉の結果」日本農林水産省、2015 年 11 月、http://www.maff.go.jp/j/ kokusai/tpp/pdf/tpp_1.pdf。「TPP 交渉農林水産分野の大筋合意の概要」日本農林水産省、 2015 年 11 月、http://www.maff.go.jp/j/kokusai/tpp/pdf/tpp_2.pdfからまとめた。

(18)

(1) 米と米製品

1. 現行の国家貿易制度を維持する。

2. 既存の WTO 枠(77 万玄米トン)に加え、SBS(Simultaneous Buy and Sell)方式、つまり売買同時入札の国別枠を設定、米国とは 協定の発効時に年間5 万トン、13 年目以降 7 万トンまで増やし、 豪州とは発効時に年間 6,000 トン、13 年目以降 8,400 トンとす ることで合意した。両国の新たな輸入枠を合わせると7 万 8,400 トンになり、これは日本の消費量の約1%に当たる。同枠内では 無関税となるが、枠外税率(41 円/kg)を維持する。

3. 既存の WTO 枠のミニマムアクセス(Minimum Access)内で、中

粒種と加工用に限定した6 万トンを SBS 方式に変更する。 (2) 小麦と小麦製品 1. 現行の国家貿易制度を維持する。 2. 枠外税率(55 円/kg)を維持する。 3. 米国、豪州、カナダに SBS 方式の国別枠を新設し、協定発効時 は合わせて19 万 2,000 トン、7 年目以降は 25 万 3,000 トンまで 増やす。 4. 既存の WTO 枠内のマークアップ(政府が輸入の際に徴収する差 益)を 9 年目までに 45%削減し、新設する国別枠内のマークア ップも同じ水準に設定する。国別枠内に限り、主要 5 銘柄以外 の小麦を輸入する場合にはマークアップを 50%削減した水準に 設定する。 5. 小麦製品は国家貿易制度を維持する。TPP 枠又は国別枠を 4 万 5,000 トン新設し、6 年目以降は 6 万トンまで増やす。また、マ カロニ、スパゲティは関税を9 年目までに 60%削減する。

(19)

(3) 豚肉 1. 従価税と従量税を組み合わせた現行の豚肉の差額関税制度を維 持す るとともに 、輸入豚肉 に課される 従価税の分 岐点価格(gate price) 524 円/kg を維持する。 2. 現行の従量税 482 円/kg を協定発効時に 125 円/kg に、その後、 発効10 年目以降には 50 円/kg に段階的に引き下げる。また、従 価税の関税率4.3%は協定発効時 2.2%に、その後段階的に引き下 げ、発効10 年目以降は撤廃する。 3. 協定発効 11 年目までは従価税を 4.0%~2.2%に、従量税を 100 ~70 円/kg に戻すセーフガード措置(数量ベース又は価格ベー ス )を とるこ とが 可能と なっ ている 。豚 肉の特 別セ ーフガ ード 発動要件は2 つある。1 つは輸入量が基準値を越えた場合、もう 1 つはソーセージの生産量の半分を越えた場合(原料は安価な輸 入豚肉が大半)、その年の年末までに発動できる。1 つ目の要件 である発動基準数量の計算方法は、過去 3 年間の輸入量の最高 値に、1~2 年目は 112%、3~6 年目は 116%、7~11 年目は 119% を乗じた値で、輸入量は 4 年目までは全輸入量、5 年目以降は 399 円/kg 以上の輸入量としている。 (4) 牛肉 1. 現行の 38.5%関税を協定発効時に 27.5%に削減、その後段階的に 削減し10 年目に 20%、16 年目以降は 9%とする。また、特別セ ーフガードも導入した。 2. 特別セーフガードは発動基準数量を設定し、期限は設けていな い。発動数量は年間で初年度 59 万トン、10 年目に 69 万 6,000 トン、16 年目は 73 万 8,000 トン(日本の過去最大の輸入量)と する。関税が20%を切る 11 年目以降の 5 年間は、四半期ごとの

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発動数量も設定する。セーフガード発動時の税率は、3 年目まで 38.5%、4 年目から 10 年目まで 30%、11~14 年目まで 20%、15 年目18%となる。16 年目以降は毎年 1%ずつ削減し、4 年間発動 がなければ廃止される。 (5) 鶏肉 1. 鶏肉、鶏卵、卵製品については、段階的に 13 年目に関税を撤廃 する。 2. 現行の関税率は 8.5%、11.9%で、段階的に 11 年目に撤廃する。 ただし、冷蔵丸鶏と冷凍鶏肉については、段階的に 6 年目に撤 廃する。鶏肉調製品の現行関税率は 6%、21.3%であるが、牛肉 と豚肉を含むものについては、段階的に11 年目に撤廃、含まな いものは発効時に 20%削減し、2 年目から段階的に引き下げ 6 年目に撤廃する。 (6) 乳製品 1. 脱脂粉乳やバターは、現行の国家貿易制度を維持するとともに、 枠外税率(脱脂粉乳 21.3%+396 円/kg 等、バター29.8%+985 円/kg 等)を維持する。既存の WTO 枠に加え TPP 枠を設定する。脱 脂粉乳は生乳換算にて、1 年目 2 万 659 トンの輸入枠を 6 年目に 2 万 4,102 トンに増やす。枠内税率は 1 年目「25%、35%+130 円 /kg」を 11 年目に「25%、35%」にする。バターは生乳換算にて、 1 年目 3 万 9,341 トンの TPP 枠を 6 年目に 4 万 5,898 トンに増や す。枠内税率は1 年目「35%+290 円/kg」を 11 年目に 35%にす る。 2. ホエイ(たんぱく質含有量 25~45%)は、最も長い 21 年目まで の 関 税 撤 廃 期 間 を 確 保 し た 。 現 行 の ホ エ イ の 2 次 税 率

(21)

「29.8%+425 円/kg、687 円/kg」を、協定発効時に「25%、35%+40 円/kg」に、その後毎年引き下げ 21 年目に撤廃する。特別セー フ ガー ドは発 動基 準数量 を設 け、実 施期 限はな い。 発動基 準数 量は、協定発効時は 4,500 トン、10 年目に 7,000 トンにし、そ の後13 年目まで毎年 750 トンずつ、14~20 年目までは毎年 1,000 トンずつ増やしていき、20 年目に 1 万 6,250 トン(国産脱脂粉 乳の1 割強の水準)にする。セーフガード税率は TPP 発効年か ら5 年目が「29.8%+120 円/kg」、6 年目から 10 年目が「23.8%+105 円/kg」、11 年目から 15 年目が「19.4%+90 円/kg」、16 年目から 20 年目が「12.4%+75 円/kg」と、段階的に引き下げる。21 年目 以降の税率は毎年「1.9%+10.7 円/kg」ずつ削減し、発動されれ ば削減幅が半減、4 年間発動がなければ終了する。 3. 豪州産、ニュージーランド産、米国産のプロセスチーズに輸入 枠を新設し、1 年目に 100 トンの輸入枠を設け 11 年目に 150 ト ンに増やす。枠内税率40%は段階的に削減し 11 年目に撤廃する。

チーズ原料用チーズ(cream cheese、blue cheese、cheddar cheese、 gouda cheese)の輸入関税 29.8%は段階的に 16 年目に撤廃する。 ただし、製造過程で国産原料1 に対し輸入原料 2.5 の割合で使用 す るこ とを条 件に 、無税 輸入 を認め る抱 き合わ せ制 度を維 持す る。 (7) 砂糖と加糖調製品 1. 現行の糖価調整制度を維持する。高糖度(糖度 98.5 度以上 99.3 度未満)精製用原料糖に限り、調整金を現行の「21.5 円/kg+42.4 円/kg」から「0 円/kg+39.0 円/kg」に削減する。ただし、99.3 度 以 上の 高糖度 原料 糖につ いて は関税 を維 持する 。こ のほか 、新 商 品開 発用の 試験 輸入に 限定 して、 既存 の枠組 みを 活用し た無

(22)

税・無調整金での輸入(粗糖・精製糖で500 トン)を認める。 2. 加糖ココア粉、ココア調製品、砂糖と粉乳等を混ぜたもの、チ ョコレート菓子などの加糖調製品については、計 6 万トンの輸 入枠を設け、6 年目から 11 年目まで品目別に枠を拡大し、11 年 目に9 万 6,000 トンにする。 2 TPP の経済効果と日本への影響

ピーターソン国際経済研究所(the Peterson Institute for International Economics)と日本政府(内閣官房)が TPP の経済効果についての研

究報告を発表している。まず、2016 年 2 月、同研究所がピーター・

ペトリ(Peter A. Petri)とマイケル・プラマ(Michael G. Plummer)

の研究結果を発表した。2 人は TPP 協定発効から 2030 年まで、合意

内 容 が完 全に 履 行さ れた 前 提の 下、 計 算可 能な 一 般均 衡(CGE)モ

デルを用いて、TPP の経済効果を試算した。その結果に基づき、TPP

参 加 12 カ国と非参加国の実質所得、輸出、外国直接投資(Inward

Foreign Direct Investment, IFDI)などと、2015 年の数値を比較し、そ

の変化について検討を行う20 (1) 実質所得 TPP の発効により 2030 年までに世界の実質年間所得が 4,920 億ド ル(GDP の 0.4%)押し上げられると見込まれている。このうち、TPP 交渉参加12 カ国の実質年間所得は 4,650 億ドル(+1.1%)、非参加国

20 以下の内容は、Peter A. Petri, and Michael G. Plummer, “THE ECONOMIC EFFECTS OF

THE TPP: NEW ESTIMATES,” in Jeffrey J. Schott and Cathleen Cimino-Isaacs eds.,

ASSESSING THE TRANS-PACIFIC PARTNERSHIP, VOLUME 1: MARKET ACCESS AND SECTORAL ISSUES, CHAPTER 1, (the Peterson Institute for International Economics,

(23)

は270 億ドル(+0.0%)である。 TPP 交渉参加 12 カ国の実質年間所得の内訳は、米国が 1,310 億ド ル増(+0.5%)で第一位。二位は日本で 1250 億ドル増(+2.5%)、三 位はマレーシアで 520 億ドル増(+7.6%)、四位はベトナムで 410 億 ドル増(+8.1%)と試算された。 非 TPP 交渉参加国の内訳は、欧州連合が 480 億ドル増(+0.2%) で最も多い。中国は 180 億ドル減(-0.1%)、インドは 50 億ドル減 (-0.1%)、韓国は 80 億ドル減(-0.3%)、台湾は 10 億ドル増(+0.2%) と試算された。 (2) 輸出 TPP の発効により 2030 年までに世界の年間輸出額が 1 兆 1,060 億 ドル(輸出額の3.1%)押し上げられると見込まれている。このうち、 TPP 交渉参加 12 カ国の年間輸出額は 1 万 250 億ドル(+11.5%)、非 参加国は810 億(+0.3%)である。 TPP 参加 12 カ国の年間輸出額の内訳は、米国が 3,570 億ドル増 (+9.1%)で第一位。二位は日本で 2760 億ドル増(+23.2%)、三位は ベトナムで1,070 億ドル増(+30.1%)、四位はマレーシアで 990 億ド ル増(+20.1%)、五位は豪州で 290 億ドル増(+4.9%)と試算された。 非参加国の内訳は、欧州連合が490 億ドル増(+0.5%)と最も多く、 中国は90 億ドル増(+0.9%)、インドは 10 億ドル増(+0.1%)、韓国 は 110 億ドル減(-1.0%)、台湾は 40 億ドル増(+0.8%)と試算され た。 (3) 海外直接投資(IFDI) TPP の発効により 2030 年までに世界の IFDI が 5,470 億ドル(GDP の 0.8%)押し上げられると見込まれている。内訳は TPP 交渉参加

(24)

12 カ国の IFDI が 4,460 億ドル(+3.5%)、非参加国が 1,010 億ドル (+0.2%)である。 TPP 参加 12 カ国の IFDI の内訳は、米国が 1,280 億ドル増(+1.9%) で第一位。二位は日本で920 億ドル増(+29.8%)、三位はマレーシア で480 億ドル増(+17.2%)、四位はベトナムで 160 億ドル増(+14.4%)、 五位は豪州で100 億ドル増(+0.9%)と試算された。 非参加国の内訳は、欧州連合が 480 億ドル増(+0.2%)で第一位。 中国は190 億ドル増(+0.2%)、インドは 50 億ドル増(+0.8%)、韓国 は10 億ドル増(+0.2%)、台湾は 1 億ドル弱増(+0.7%)と、プラス の効果が期待されている。 (4) TPP 経済効果の要因 上述 したピ ータ ー・ペ トリ (Peter A. Petri)とマイケル・プラマ (Michael G. Plummer)の研究によると、TPP 発効による加盟 12 カ 国 の実質所得 の増加の要 因は、その 寄与度の高 い順に、物 品貿易 の 非関税貿易障壁の削減(寄与分43%)、サービス市場の非関税貿易障 壁の削減(25%)、投資障壁の削減(20%)、物品の関税貿易障壁の削 減(12%)の四つが挙げられる21TPP の経済効果は物品貿易、サー ビ ス貿易、投 資の障壁な どを含む非 関税障壁の 撤廃による 効果が 最 も大きく、その寄与分は 88%に上る。物品貿易自由化が寄与する分 は全体の半分以上(55%)に上り、これも非関税貿易障壁の撤廃(43%) が中心である。

21 Peter A. Petri, and Michael G. Plummer, “THE ECONOMIC EFFECTS OF THE TPP: NEW

ESTIMATES,” in Jeffrey J. Schott and Cathleen Cimino-Isaacs eds., ASSESSING THE

TRANS-PACIFIC PARTNERSHIP, VOLUME 1: MARKET ACCESS AND SECTORAL ISSUES, CHAPTER 1, (the Peterson Institute for International Economics, 2016), p. 20,

(25)

(5) TPP の日本経済への影響 日本の内閣官房 TPP 政府対策本部が 2015 年末に提出した TPP 協 定の経済効果に関する分析によると、日本の実質GDP 水準は 2.59% 増、2014 年度の GDP524 兆 7000 億円を用いて換算すると、13 兆 6,000 億円の拡大効果が見込まれる。その内訳は輸出が 0.6%(3 兆 1,000 億円)増、民間消費が1.59%(8 兆 3,000 億円)増、投資が 0.57%(3 兆円)増、政府消費が2.3%(4,300 億円)増、そして輸入が 0.61%(3 兆2,000 億円)減となる。また、労働供給は 1.25%、79 万 5000 人増 と見込まれている22。この試算には計算可能な一般均衡(CGE)モデ ル を用い、外 生変化は関 税率引き下 げに加え、 非関税障壁 撤廃と 貿 易 円滑化効果 も考慮し、 内生変化は 資本蓄積、 生産性向上 、労働 供 給の変化などを考慮している。この試算が想定するTPP が経済を動 か す内生的な 成長メカニ ズムは、ま ず関税を引 き下げ、非 関税障 壁 と 投資障壁を 撤廃するこ とで、貿易 にかかるコ ストの低減 が見込 ま れ る 。 こ れに よ り 、 ①輸出入拡大→貿易開放度上昇→生産性上昇、 ② 生 産 性 上 昇→実 質 賃 金 率 上 昇 →労 働 供 給 増 、 ③ 実 質 所 得 増 →貯 蓄 ・ 投 資 増→資本ストック増→生産力拡大という三段階の循環効果 が生まれるというものである。GDP 成長率 2.59%という日本政府の 試算結果は、世界銀行が2016 年の初めに公表した「Global Economic Prospects」の中で、TPP が 2030 年までに日本の GDP を 2.7%押し上 げると試算した分析結果と近い数字となっている23。

22 内閣官房 TPP 政府対策本部「TPP 協定の経済効果分析について」内閣官房、2015 年 12 月 25 日、http://www.cas.go.jp/jp/tpp/kouka/pdf/151224/151224_tpp_keizaikoukabunnseki 01.pdf。

23 Global Economic Prospects Spillover amid Weak Growth, (Washington: World Bank, 2016),

p. 227, http://pubdocs.worldbank.org/pubdocs/publicdoc/2016/1/697191452035053704/ Global-Economic-Prospects-January-2016-Spillovers-amid-weak-growth.pdf.

(26)

(6) TPP の日本の農業への影響 日本農林水産省は2015 年末、TPP 協定における日本の農産物の市 場 開放が日本 の農林水産 物の生産額 に与える影 響について 試算ま と めた。それによると、2026 年の農林水産物の生産額は、全体の 1.9% ~3.1%に当たる 1,300 億~2,100 億円減少するため、生産額の合計は 6 兆 8,000 億円になる。食料自給率への影響はカロリーベースで 39%、 生産額ベースで64%となっている24。日本の重要農産物の生産額への 影響は、▽米、減少なし(生産額 1 兆 9,555 億円)▽小麦、62 億円 減(394 億円)▽牛肉、311 億円~625 億円減(6,819 億円)▽豚肉、 169 億円~332 億円減(5,631 億円)▽牛乳乳製品、198 億円~291 億 円減(6,887 億円)▽鶏肉、19 億円~36 億円減(4,600 億円)▽鶏卵、 26 億円~53 億円減(4,937 億円)──と試算されている。米の生産額 が影響を受けない理由は、新設する国別枠は全てSBS 方式を採用し、 ま たその新設 した国別枠 の輸入量に 相当する国 産米を政府 が備蓄 米 と して買い入 れると仮定 して試算し ているため である。こ の試算 か ら 、農林水産 省は、日本 の米市場の 生産額、生 産量や農家 所得へ の 影響はないと見込んでいる。 農林水産省が2015 年末に公表した試算結果によると、TPP が日本 の農 業生産や食 料自給率に 与える影響 は限定的で あるように 見える 。 この結果は二つの方向から検討することができる。一つは試算方法、 もう一つは日本の農業分野における交渉戦略である。 農林水産省の試算方法は、まず、関税率 10%以上かつ国内生産額 10 億円以上の品目である 19 品目の農産物および 14 品目の林水産物

24 「農林水産物の生産額への影響について」日本農林水産省、2015 年 12 月、p. 1、 http://www.cas.go.jp/jp/tpp/kouka/pdf/151224/151224_tpp_keizaikoukabunnseki03.pdf。

(27)

を 試算対象と した。次に 、体質強化 対策や経営 安定対策の 実施に よ り 、生産コス トの低減や 品質向上が 見込まれる という前提 の下、 農 家 所 得 や 生 産 量 が 維 持 さ れ る も の と 仮 定 し て 行 っ た 。 従 っ て 、TPP 協 定締結によ る関税削減 の影響は、 価格低下に よる生産額 の減少 が 生 じる程度、 つまり、生 産額への影 響は主に価 格変動の影 響であ る と している。 価格変動の 算出は、コ ストや品質 で競合する 製品は 関 税 削減相当分 の価格が低 下し、競合 しない製品 は競合する 製品の 価 格低下率(関税削減相当分÷国産品価格)の 1/2 で計算している。こ の 試算結果は 参考値には なるものの 、保守的で 楽観的過ぎ るとの 批 判もある。

四 日本の農業分野における

TPP 交渉戦略

TPP 商品マーケットアクセス交渉の合意内容は表 4 のように、TPP 交渉参加12 カ国全ての自由化率が最終的に 95%以上と、当初の目標 を達成した。米国、豪州、ニュージーランド、シンガポール、チリ、 マレーシア、ベトナム、ブルネイは100%、カナダ、メキシコ、ペル ーは 99%、日本は最も低い 95%である。日本はこれまで農産物重要 5 品目を聖域として関税維持を譲らず、その他の輸入品に関しても関 税撤廃率は最大で 93.5%にとどまっていた。このため自由化率 95% は歴史的な一歩を踏み出したと言える。他の参加11 カ国にとっては 小 さな一歩か もしれない が、日本に とっては貿 易史上大き な一歩 で あり、農業分野の TPP 交渉において、日本の聖域と呼ばれる農産物 5 品目の貿易障壁が少なくとも 1/4 近く削減された。 ただ、農林水産物の合意内容は農産物市場の自由化率を引き上げ、 加 盟国の貿易 を拡大させ るものの、 自由貿易と 呼ぶには十 分では な い。12 カ国は農産物の貿易障壁撤廃を目指していたが、表 4 から分 か るように、 完全な自由 化を達成し た国は、農 業分野で輸 出競争 力

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4 T P P 協 定 に お け る 日 本 の 商 品 関 税 撤 廃 率 ( H S 2 0 1 2 ) 国 日本 米国 カナダ 豪州 NZ シ ン ガ ポール メ キ シ コ チリ ペルー マ レ ー シア ベ ト ナ ム ブ ル ネ イ 全品目 95% 100% 99% 100% 100% 100% 99% 100% 99% 100% 100% 100% 農林水 産物 82% 99.20% 94.60% 100% 100% 100% 96.60% 98.10% 96.50% 99.60% 99.30% 100% 出典:「TPP における農林水産物関税の最終結果(HS2012 版)」日本農林水産省、2016 年3 月、http://www.maff.go.jp/i/kokusai/tpp/pdf/1_kousyou_kekka_hs2012.pdf。 注:日本の農林水産物には酒・たばこ類が含まれていないが、日本以外のTPP11 カ国に は含まれる。 を 備える豪州 とニュージ ーランドの ほか、農業 基盤のない シンガ ポ ールとブルネイの 4 カ国のみで、その他の参加国は▽マレーシア、 99.6%▽チリ、98.1%▽ベトナム、99.3%▽メキシコ、96.6%▽ペルー、 96.5%▽米国、99.2%▽カナダ 94.6%──と、100%に達しておらず、日 本に至っては82.3%と最も低くなっている。 農業分野の 交渉は、デ リケートな 品目に対し ては二国間 協議を 行 う 交 換 枠 組 み が 主 軸 と な り 、 多 国 間 で 統 一 さ れ た 貿 易 障 壁 譲 許

(uniform cross-the-board reduction)モデルの下に協議を行った結果

ではない。また、TPP 参加国の農産物の保護戦略は基本的に関税割

当て(tariff-rate quota, TRQ)と従価税(ad valorem tariff)という政

策手段をとっている25

25 Cullen Hendrix and Barbara Kotschwar, “AGRICULTURE,” n Jeffrey J. Schott and Cathleen

Cimino-Isaacs eds., ASSESSING THE TRANS-PACIFIC PARTNERSHIP, VOLUME 1:

MARKET ACCESS AND SECTORAL ISSUES, CHAPTER 3, (the Peterson Institute for

International Economics, 2016), p. 42, http://www.piie.com/publications/briefings/piieb16-1. pdf.

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日本はTPP 交渉で最終的に農産物市場の開放、とりわけ米、小麦、 砂糖、牛肉と豚肉、乳製品等五大重要農産物市場の開放を譲歩した。 しかし、表 5 から分かるように、五大重要農産物の自由化率は 29% にとどまる。ただ、重要 5 品目以外で関税撤廃したことがない 307 品目の自由化率は 90%に達しており、こんにゃく、しいたけなどに 対しては引き続き高い関税か課されることになっている。 表5 TPP 協定における日本の農林水産物の自由化(HS2012) 総ライン数 関税を残す ライン 自由化比率 備考 (残存品目) 全品目 9321 459 95.07% 農林水産物 2594 459 82.31% 関税撤廃したこ とがないもの 901 455 49.50% うち重要5 品目 594 424 28.62% 重要5 品目以外 307 31 89.90% 雑豆、こんに ゃく、しいた け、海藻 関税撤廃したこ とがあるもの 1494 4 ひじき・わか め 出典:「TPP における農林水産物関税の最終結果(HS2012 版)」日本農林水産省、2016 年3 月、http://www.maff.go.jp/i/kokusai/tpp/pdf/1_kousyou_kekka_hs2012.pdf。 注:日本の農林水産物には酒・たばこ類が含まれていない。自由化比率は筆者計算。 前述したように、自民党は 2012 年の衆議院総選挙で勝利した際、 政権公約に TPP 交渉不参加を掲げていた。2013 年に安倍新政権が TPP 交渉参加を宣言した後は、同年 4 月に採択された農産物重要 5 品 目は市場開 放を行わな いという国 会決議のプ レッシャー を抱え る こととなった。日本が合意した五大重要農産物の自由化率 29%は低 い 水準ではあ るものの、 それでもこ の国会決議 には反して いる。 こ れが野党が安倍政権の TPP 合意内容を批判する主な理由の一つであ

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る。また、TPP が秘密交渉でブラックボックス状態であることも批 判 の対象とな っている。 つまり、日 本政府はデ リケートな 農産物 を 関 税引き下げ の対象から 除外するこ とができず 、自由化の 例外と し て 扱 う 代 替 モ デ ル を 妥 協 し て 選 択 す る し か な か っ た 。 安 倍 政 権 は TPP 交渉で五大重要農産物を例外として扱うことには合意が得られ たものの、国会決議である除外を実現することはできなかった。 高い自由化水準を標榜するTPP 交渉、とりわけ米国との交渉プロ セ スにおいて 、日本が農 産物の自由 化率を比較 的低水準に 抑える こ と ができたこ とは容易な ことではな い。日本は なぜこのよ うな結 果 を 得られたの か。本研究 は交渉の原 則、運用し た政策手段 、主要 な 戦 略から、日 本の農産物 のマーケッ トアクセス 交渉の戦略 を分析 す る。 1 日本の農産物マーケットアクセス交渉の戦略的原則 日米農産物市場アクセス交渉の合意内容は、TPP 商品市場アクセ ス 交渉の合意 にも影響を 及ぼすため 、日本は交 渉参加に向 け戦略 的 な 考えがあっ た。その日 米農産物マ ーケットア クセス交渉 におけ る 日本の戦略は、5 つにまとめることができる。 (1) TPP 交渉に参加し米国と新世紀の貿易ルール作りを主導する 農産物市場 開放は関税 撤廃だけで なく、非関 税貿易障壁 の撤廃 が より重要になる。TPP 農産物マーケットアクセス交渉の焦点は、と り わけ後者に 係るルール 作りであり 、これは新 しい時代の 新興貿 易 の課題に対して新たな貿易ルールを策定するものである。 TPP 市場アクセス交渉における市場開放の議題の中で、物品市場 の 開放は農産 物市場に集 約され、非 物品市場の 開放はサー ビス市 場 と資本市場、つまり投資の自由化に集約される。TPP 農産物市場ア

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ク セス交渉の 焦点は二つ ある。市場 開放とそれ に関連する ルール 作 りである。そして、ルール作りは大きく以下の二つのに分けられる。 一つは内国民待遇及び物品の市場アクセス(第 2 章)に関するルー ルの規定で、これには輸出税(第2.16 条)、輸出補助金(第 2.23 条)、 輸出制限―食糧安全保障(第 2.26 条)、農業セーフガード(第 2.28 条)、現代のバイオテクノロジーによる生産品の貿易(第2.29 条)、 協 議(譲許表 )などのル ールが含ま れる。二つ 目は農産物 市場ア ク セス関連の課題、原産地規則及び原産地手続(第4 章)、税関当局及 び貿易円滑化(第5 章)、衛生植物検疫(SPS)措置(第 6 章)、貿易 の技術的障害(TBT)(第 7 章)、貿易救済(第 8 章)、知的財産(第 18 章)、環境(第 20 章)などの貿易自由化関連ルールの規定である。 これ らの協議項 目の品目は ほとんどが 非関税貿易 障壁に属し ている 。 安倍政権はある崇高な使命目標を持って TPP 交渉に参加した。そ れは21 世紀型の新たな貿易ルール、とりわけ非関税貿易障壁の撤廃 につながるルールを構築することである。TPP 日米交渉は両国の対 立 ではなく、 重要なのは 貿易ルール の新モデル を協力して 作り上 げ る ことであり 、日米の協 力は新たな 貿易ルール 作りをリー ドする 役 割を果たす。例えば、SPS に関して日米は、科学的根拠を満たすだ け ではなく、 同時にその 実務性も重 視し、執行 可能なルー ルが必 要 だ と主張して いる。各貿 易制度や規 制緩和は効 率性を求め るだけ で はなく、透明性と無差別待遇原則に配慮し、TPP 加盟国が人、動物 又 は植物の生 命又は健康 を保護し共 通の利益を 促進させる もので な ければならない。また、農産物の地理的表示(GIs)について TPP で は 、商標だけ ではなく知 的財産権に 係る問題で もあるため 、その 保 護又は認定の取消しに関しては知的財産章に規定すべきとした。TPP 日 米交渉で双 方の関係が 緊迫化する ことはあっ たものの、 日本は そ の 交渉プロセ スにおいて 米国と対立 するのでは なく、新し い貿易 に

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関 する多くの 議題で、交 渉参加国や 米国、新興 国の間の調 整役を 務 めた。 (2) 食 料 安 全 保 障 の 確 保 に 基 づ き 輸 入 と 国 内 生 産 の バ ラ ン ス を 考 慮する 経済自由化 の時代にお いて、食料 安全保障も 外国からの 輸入に 依 存 するだけで は維持する ことができ ない。世界 の主要な食 料農産 物 の 生産と貿易 が独占的に 行われ、そ こに過度な 流動性が加 われば 、 農 産物先物市 場の金融投 機や貿易制 限政策など 、人為的で 恣意的 な 操 作を招くこ とになりか ねない。こ のような環 境の下での 国の食 料 安 全保障は、 国内生産、 輸入、バッ ファースト ックの三つ を並行 し て進めることで初めて十分に維持できる。TPP 参加国の穀物と畜産 物の貿易量は世界の 3 割を占める。TPP 農産物自由化交渉の対応策 と して、日本 は輸入と国 内生産を互 いに補い合 う形で両立 させて 初 め て食料安全 保障を確保 することが でき、これ こそが真の 自由化 で もある。 (3) 国内生産者と消費者の利益バランスを図る 21 世紀の食料農業農村政策を考える際、日本が生産者中心から生 産 者と消費者 の利益を同 等に重んず る方向へと 転換を図る ことは 、 消 費者主権の 台頭という 新しい時代 の流れにお いて必然で ある。 日 本 政府は消費 者主権の台 頭に目を向 け、政策面 で消費者の 権益に 配 慮 する必要が ある。貿易 政策は生産 者と消費者 の経済的利 益の両 面 を考慮しなければならない。 (4) 製品の比較優位と競争力を考慮し保護の程度を決定する 日 本の五大重 要農産物は 基本的に競 争力の弱い 品目に属し ている 。

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関 税削減や非 関税貿易障 壁の撤廃の 幅が大き過 ぎたり、急 過ぎた り す ると、国内 市場は輸入 の急激な増 加により市 場価格が急 落し、 国 内 生産者の利 益と生存に 打撃を与え るのは必至 である。と りわけ 価 格 の低い輸入 米、小麦、 豚肉、乳製 品などは国 内生産者に 極めて 深 刻 な影響を及 ぼしかねな い。貿易自 由化政策は 、国内生産 者が市 場 開 放に対応す る調整能力 とスピード を考慮し、 漸進的に自 由化を 進 める必要がある。 (5) 時間を空間に換えて生産者の体質強化を支援する 経済自由化 の潮流にあ って、競争 力不足の製 品は保護貿 易に頼 っ て 救うことは できない。 国境措置は 数量、価格 、品質のコ ントロ ー ル を通して、 短期間で輸 入の衝撃を 緩和するし かない。生 産業者 が 市 場開放とい う外国との 競争に立ち 向かうには 、自立して 努力し 、 自己の体質・競争力強化を図ることに加え、日本政府も米国の TAA の ような業者 の競争力強 化をサポー トする構造 改革や強化 方案を 準 備 しなければ ならない。 市場アクセ ス交渉の目 標の一つは 生産業 者 が 体質を強化 し、競争力 を高め、生 き残るため の空間を確 保する 十 分な機会と時間を勝ち取ることである。 2 日本の農産物マーケットアクセス交渉における政策ツールの運用

交渉過程で、他のTPP 参加国が関税割当て(Tariff Rate Quota, TRQ)

と従価税(ad valorem tax)を採用する一方、日本はその戦略目標の

実 現に向けて 、さまざま な政策手段 を幅広く戦 略的に運用 した。 日 本 が五大重要 農産物市場 開放の交渉 で戦略的に 運用した政 策手段 に は 、 国 家 貿 易 制 度 、 売 買 同 時 契 約 方 式 (Simultaneous Buy and Sell, SBS)、関税割当て(Tariff Rate Quota, TRQ)、TPP 関税割当て、従価 税(ad valorem tax)、従量税(specific duty)、混合税(combined duty)、

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経過期間(Time Period)、セーフガード(Safeguard)、豚肉の差額関 税制度(Gate Price System)、糖価調整制度、政府備蓄米(TPP 国別

枠)、ローカルコンテント要求(Local Content Requirements)などが

ある。 (1) 従価税(ad valorem tax):輸入品の価格に比例して税率が定 められている租税。 (2) 従量税(specific duty):輸入品の数量を標準として税率を決 定する租税。 (3) 混合税(combined duty):従価税と従量税を組み合わせたも の。

(4) 関税割当て(Tariff Rate Quota, TRQ):WTO で許容されてい

る関税徴収の範囲だが、国内産業に対する保護措置であることから、 非 関税貿易障 壁の一つと 見なされて いる。関税 率を二重の 基準で 定 め 、特定の商 品を保護す る手段であ る。国内産 業構造のニ ーズに 基 づ き、一定数 量内の輸入 品に限り、 無税又は低 税率の関税 を適用 す る 一方、この 一定数量を 超える輸入 分について は高税率の 関税を 適 用 することに よって、輸 入品の流入 による国内 産業への損 害を抑 制 す る。一定数 量内の輸入 品を完全に 無税又は低 税率にする ことは 、 消 費者の利益 を向上させ 、また、市 場開放要求 にも応える ことが で き る。一方で 、一定数量 を超える輸 入分に高税 率をかける ことは 国 内 生産者を保 護でき、消 費者と生産 者の双方の 利益のバラ ンスを 図 る ことができ る。つまり は一定数量 を無税又は 低税率にす ること と 引 き換えに、 世界にその 他の部分を 高税率で保 護すること を認め て も らうという ものである 。無税又は 低税率の数 量は世界の すべて の 国 又は交渉を 通して特定 の輸出国に 枠として与 えることが できる 。 TPP 交渉で合意した国別枠がつまり TPP 枠である。関税は通常、効 果 的に貿易量 を制限する ことはでき ないが、枠 は実際のニ ーズ応 じ

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て 制限したい 貿易量を実 現すること ができる。 関税割当て は関税 と 枠の二つの手段を組み合わせた保護措置である。 (5) セーフガード(Safeguard):一般セーフガード(Safeguard, SG) と特別セーフガード(Special Safeguard, SSG)に分かれる。一般セー フガードはGATT 第 19 条および WTO セーフガード協定に基づき、 輸 入品の急増 により輸入 国の国内産 業に深刻な 被害を与え ている 場 合 に政府に発 動を要請す ることがで きる。対象 品目は鉱工 業品と 農 林 水産物、措 置内容は関 税の引き上 げ又は輸入 量制限、発 動期間 は 原則4年以内(最長 8 年)である。特別セーフガードと併用できな い。一方、特別セーフガードはWTO 農業協定(AA)第 5 条に基づ き 、輸入量が 輸入基準数 量を超えた 場合、又は 輸入価格が 発動基 準 価 格を下回っ た場合、自 動で措置が 発動される 。対象品目 はウル グ ア イ・ラウン ド合意によ り関税化さ れた農産物 であり、措 置内容 は 関 税の引き上 げ。発動期 間は数量ベ ースだと翌 々月から当 該年度 末 ま で、価格ベ ースだと要 件を満たし た船荷ごと の単発であ る。一 般 セーフガードと併用できない。 (6) 国家貿易制度:政府や政府から指定された機関によって行われ る 貿易の制度 である。輸 入国家貿易 と輸出国家 貿易に分か れる。 輸 入 国家貿易は 主に国内市 場と価格に 影響力を及 ぼし、輸出 国家貿 易 は 国際市場と 価格に影響 力を及ぼす 。輸出国家 貿易の数量 制限や 差 別 価格は農産 物輸入国の 食料安全保 障や国際貿 易の公平性 にも影 響 す る。日本で は現在、農 産物が主に 輸入国家貿 易であり、 農林水 産 省 が米と麦の 、農業産業 振興事業団 が指定乳製 品と生糸の 輸入国 家 貿易を行っている。

(7) 売買同時契約方式(Simultaneous Buy and Sell, SBS):主に

国 家貿易制度 の下、輸入 業者が政府 に売り、国 内の実需者 が政府 か ら 買う交易を 同時に行う 方式である 。政府の管 理の下、買 い手と 売

數據

表 3  TPP 協定内容(30 章)  1.冒頭の規定及び一般的定義 16.競争政策  2.内国民待遇及び物品の市場アクセス 17.国有企業及び指定独占企業  3.原産地規則及び原産地手続 18.知的財産  4.繊維及び繊維製品 19.労働  5.税関当局及び貿易円滑化 20 環境  6.貿易上の救済 21.協力及び能力開発  7.食品安全検査と衛生植物検疫措置 ( SPS)  22.競争力及びビジネスの円滑化  8.貿易の技術的障害(TBT) 23.開発  9.投資 24.中小企業  10.国境を越える
表 4   T P P 協 定 に お け る 日 本 の 商 品 関 税 撤 廃 率 ( H S 2 0 1 2 )  国 日本   米国  カナダ   豪州  NZ  シ ン ガ ポール メ キ シコ チリ ペルー マ レ ーシア ベ ト ナム ブ ル ネイ 全品目   95% 100% 99% 100% 100% 100% 99% 100% 99% 100% 100% 100%  農林水 産物 82% 99.20% 94.60% 100% 100% 100% 96.60% 98.10% 96.50%
表 6  TPP 日本重要農産物の市場開放戦略  関税  ステージン グ期間  TPP 関税割当て  特別セーフガード 国家貿易 SBS 特有の貿易制度 その他  従価税  従量税  混合税  米  TPP 枠 13 年 米国、豪州に 新設  V V   TPP 枠増設分を政府が備蓄米と し一元的に管理  小麦  TPP 枠 7 年、差額関 税削減 9 年 米国、豪州、カナダに新設   V  V  差額関税 45%削減  豚肉  無税  引き下げ    従量税と従 価税各 10 年   V  差額関税制度
表 7  WTO 加盟後の台湾の重要農産物市場開放戦略  関税 関税割当て ( WTO、FTA)  特別セーフガード 国家貿易 SBS その他 従価税   従量税  米 枠外関税は 高額、 45 元 /kg  米、豪、タイ、エジプト V V  V  政府輸入米は公共穀物として管理。 SSG 発動基準:数量 ベースと価格ベー ス。保証価格買上、 輸入損害救済、休耕 等の支援策  豚肉 V(台湾・パナマ FTA 発効後、パナ マ枠を設定) V   SSG 発動基準:数量ベースと価格ベース 液体ミルク (牛乳とそ

參考文獻

相關文件

http://www.taichung.gov.tw/ct.asp?xItem= 2573 &CtNode= 736 &mp= 100010 圖二: 2016 年 3 月 1 日下載自. https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Taichung_Park- 1 .JPG 圖三:

此外,除了刑罰外,為了預防 犯罪,保護社會安寧,對有危 險性的犯人,可以施以「保安 處分」 。例如:新聞中報導藝

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