第五章 地方再生計画
第二節 国会と地方議会の議員定数と歳費削減
少子化で生産年齢人口(15~64 歳)が減少し、高齢化によって、高齢者人口(65
~74 歳)と超高齢者人口(75 歳~ )の比率がますます増大する中、日本の財政収 入が減少する一方、財政支出の増大に歯止めが掛からない状態が続いている。 こう した状況の下、財政支出を抑えて、人口減少時代を乗り切るために、年金の受給額の 減額、医療費負担の増額、介護施設に対する財政援助の削減及び介護料金の値上げ等、
国民の経済的負担が軒並み増額される中、国会議員や地方議会議員の歳費や待遇は世 界の主要国の中でも、際立って優遇されており、国民に犠牲を強いる前に国民の代表 者として、先ず自ら範を垂れるべきであるという世論が益々高まっている。
一、 日本の選挙制度
(一)国会議員の選挙制度
日本の国会は衆議院と参議院の二院制であり、いずれも全国民の代表とし
て選挙によって選出された議員によって構成される。衆議院の任期は 4 年であるが、
内閣総理大臣に解散権があるため、4 年の満期前に選挙が行われることが多い。
一方参議院議員の任期は 6 年で任期が満了前に解散することはないが、3 年ごとに 定員の半数が改選されるため、3 年毎に選挙が実施される。
衆議院議員選挙は「小選挙区比例代表並立制」79を採用しており全国の 295 小選挙区 の定数は全て1で定員は 295 名であり、そして比例区の方は全国を 11 のブロックに 分けており、拘束名簿式80を採用していて、小選挙区との重複立候補も可能となって
79小選挙区比例代表並立制:有権者が一人 2 票を持ち、総定数のいちぶを小選挙区で、残りを比例代表 区で別々に選挙する制度。有権者は、小選挙区では候補者の名前を、比例代表区では政党名を書いて 投票する。当選者は小選挙区選挙では一位の候補者、比例代表区選挙では政党の届け順に名簿の中か らドント式(d’Hondt method)によって決まる。
80拘束名簿式:有権者は政党名で投票し、各政党があらかじめ届け出た名簿順位に従って、獲得議席の 数だけ当選させる方式。
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いる。
一方、参議院議員選挙は、「非拘束名簿式比例代表制」を採用しており、通常選挙の 方は、全国 47 選挙区の定数は 1~5 であり、当選者総数は 146 名である。又比例区は 全国一区で非拘束名簿式81で、選挙区との重複立候補は認められていない。
衆参両議院の議員選挙において、地方から都市部への人口移動が続き、地方の過疎 地域の人口減少の結果、都市部と地方の選挙区の間に議員定数と有権者の比率に大き なアンバランスが生じ、「一票の格差」82がしばしば問題となり、最高裁で違憲判断が 示される事態にまで及んでいる。
(二)日本の地方議会選挙制度
国会は国権の最高機関であり、唯一の立法機関であると日本国憲法 41 条に規定さ れているが、一方地方自治制度は首長制を採用しており、通常地方議会の議員のみな らず、その首長も住民から直接選挙されるため、地方議会は地方公共団体の最高の機 関ではない。
(三)国会と地方議会の問題点
国会と地方議会に関して、あまりに多くの問題点があり、それらを全て詳しく本論 文で検討分析することは不可能であり、ここでは,本章のタイトルの主旨に沿って、
進行する人口減少による日本の財政危機を乗り切るための有効な対策の一つとして の観点からのみ、この問題を取り上げ分析する。先ず、国会議員の定員の妥当性につ いて検討する。両議院の人員構成は次の通りである。
衆議院議員 475 人 小選挙区 295 人 比例代表 180 人 参議院議員 242 人 選挙区 146 人 比例代表 96 人
ここで、欧米の主要な国の国会議員の定数と日本を次の表から比較してみることに する。
81非拘束名簿式:有権者は政党だけでなく名簿登載者個人にも投票できる上、個人名投票数の多寡によ って開票後に議席配分順位を決める方式。
82一票の格差:最高裁は 2013 年 7 月の参院選について、法の下での平等に照らして」違憲状態にあった」
との判決を下している。同選挙では、議員一人当たりの有権者数が最も少ない鳥取県で約 24 万 1 千人、
最も多い北海道では約 114 万 9 千人で、その格差は 4.77 倍であった。最高裁は又 2012 年の衆院選も最 大 2.43 倍の格差があり,「違憲状態」にあると判決を下している。
96 出所:Yahoo/Japan 筆者一部改編。 http:blogs.yahoo.co.jp/greenshiroshima/62303579.html
上掲の表から読み取れることは、欧州各国の人口に対する議員定数は軒並み日本よ
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表 6-2 国会議員の歳費の国際比較
順位 国名 年間議員報酬 参 照 事 項
1 日本 約 2,200 万 (歳費 129 万 4000✕12 月)期末手当 約 635 万円 2 アメリカ 約 1,570 万 年額 約 1,566 円($1≒90 円換算)
3 カナダ 約 1,260 万 1加$80 円換算 4 ドイツ 約 1,130 万 1 ユーロ 134 円換算 5 イギリス 約 970 万 1 ポンド 150 円換算
6 韓国 約 800 万 月額 940 万ウオン(67 万円)
出所:[高すぎるか?] 国会議員の給料(歳費)を各国で比較―NAVER まとめを筆者一部改編 http://matome.naver.jp/odai/2131739964131468401
上記の日本の国会議員の基本的な年間報酬は他国のものと比較すると断然高いこ とが分かるが、これ以外に 3 人の秘書の給与を公費で賄うことができるなど、基本給 以外にも多額の必要経費が保証されている。その内容は大体次のようになる。
基本給 15,528,000 円
期末手当 6,350,000 円
文書通信交通滞在費 12,000,000 円
立法事務費 7,800,000 円
秘書給与 18,000,000 円~24,000,000 円 合計 59,678,000 円~65,678,000 円
仮に、米国の議員数と対比して、参議院議員の定数を 100 名とし、衆議院議員数を 350 名とすると、参議院議員(142 名)+衆議院議員(130 名)=272 名分の歳費が削減可 能になる。272 名×約 65,700,000 円=17 億 6,704 万円を毎年削減出来るのだ。さて、
国会議員の定数削減は常にマスコミ等で話題になり、最高裁での判決が出るに至って、
現在国会でも渋渋取り組まざるを得ない段階に至っているが、ここでどうしても取り 上げねばならない国会議員に関する重要な問題がもう一つある。それは「政党助成金」
と言う名の奇怪で、その主旨に大きな矛盾を感じる、抜け穴的国会議員報酬の一種で ある。
先ず、総務省のホームページ83のこの制度についての記述から、その要点を絞ると 次のようになる。
(1) 政党助成制度設立の趣旨
83下記のインターネットアドレスで総務省「なるほど!政治資金 政党助成金」にアクセスすれば、日 本の政党助成制度の概略が分かる。http://www.soumu.go.jo/senkyo/seiji_s/seitoujoseihou01.html
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政党助成制度は、議会制民主主義政治における政党の機能の重要性にかんがみ、選 挙制度及び政治資金制度の改革と軌を一にして創設された、国が政党にたいする助成 を行うことにより、政党の政治活動の健全な発達を促進し、もって民主政治の健全な 発展に寄与することを目的とした制度である。(『政党助成法』、1995 年 2 月 4 日公布、
1996 平成 7 年 1 月 1 日施行)
(2) 政党交付金の交付の対象となる政党
政党交付金の交付の対象となる政党は、次のいずれかに該当するものとされている。
① 国会議員 5 人以上を有する政治団体
② 国会議員を有し、かつ、前回の衆議院議員総選挙の小選挙区若しくは比 例代表選挙又は前回若しくは前々回の参議院議員通常選挙の選挙区選挙 若しくは比例代表選挙で得票率が 2%以上の政治団体ただし、法人格を取 得していない政党には交付されない。
(3) 政党交付金の総額
毎年の政党交付金の総額は、人口(直近において官報で公示された国勢調査の結果 による確定数に 250 円を乗じて得た額を基準として予算で定めることとされており、
平成 22 年国勢調査人口により算出すると、約 320 億円となる。
(4) 政党交付金の使途
国は、政党の政治活動の自由を尊重し、政党交付金の交付に当たっては、条件を 付し、又はその使途について制限してはならないとされている。
この政党助成金の矛盾と不純性を訴え、この制度の撤廃を求め、この 20 年間受け 取りを拒否している日本共産党の主張84に賛同し、(念のため、筆者は日本共産党の支 持者ではないが)次に一部を紹介する。
政党助成金は 1995 年、「政治改革」の名のもとに、小選挙区比例代表並列制ととも に導入、施行された。この制度は、国民一人当たり 250 円を負担させ、毎年約 320 億 円もの税金を各党に配分する仕組みである。この 20 年間の政党助成金の総額は、約 6,311 億円に上る。
そもそも、国民は、自らの思想、政治信条に従い、支持政党に寄附する自由と権利 をもっており、政治資金の拠出は、国民の政治参加の権利そのものである。ところが、
税金を政党に配分する政党助成金の仕組みによって、国民は、自ら支持しない政党に 対しても強制的に寄附させられることになる。日本共産党は、このような制度は、「思 想。信条の自由」や「政党支持の自由」を侵す、憲法違反の制度であると指摘し、そ
税金を政党に配分する政党助成金の仕組みによって、国民は、自ら支持しない政党に 対しても強制的に寄附させられることになる。日本共産党は、このような制度は、「思 想。信条の自由」や「政党支持の自由」を侵す、憲法違反の制度であると指摘し、そ