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少子高齢化が年金制度に齎す問題点の一つ世代間格差

第四章 超高齢社会への対策:社会保障制度改革

第一節 年金制度

三、 少子高齢化が年金制度に齎す問題点の一つ世代間格差

2010 年度の年金給付額は約 50 兆円で、社会保障給付総額の約 50%を占めている。

2012 年 8 月 1 日現在の日本の高齢化率は 24.0%であるが、2060 年には 39.9%に達する と予測されている。このように高齢化がハイスピードで進行する情況のもとでは、適 正な給付を行うための充分な財源を確保することは容易なことではない。

特に、現在の年金財政は賦課方式をベースに運営されているので、この方式は、現 役世代の支払う保険料がそのまま引退世代の年金として支払われる。そして、インフ レになっても現役世代の賃金も連動して上昇するため、給付財源の確保には大きな問 題は生じない。しかし、ここで 15 歳から 64 歳までの生産年齢人口何人で 65 歳以上 の引退世代の給付を支えてきたかを見ると、1970 年代は 9 人位で 1 人を支え、1990 年前後は 4 人位、そして現在は 2 人程度になっている。そして、やがて 1 人の現役世 代が 1 人の引退世代を支えなければならなくなる。つまり、現役世代の保険料を増や すことは既に限界に達しているのである。このように、少子高齢化によって、保険料 を支払う現役世代が減少し、給付を受ける引退世代が増加する場合とデフレによって、

現役世代の賃金が減少した場合には財源の確保が極めて困難となり、無理矢理保険料 を上げるか、給付額を削減するか、それともその両方を行うかしか道がなくなる。

そして、賦課方式の年金制度では生まれた世代によって、生涯支払う保険料よりも 受け取る年金額が少なくなるケースも生じてくるのである。更に多くの企業は、労使 が折半負担する厚生年金の保険料(拠出金)を減らし、人件費を削減するために、派 遣労働等による非正規労働者を増やしている。その結果、総務省統計局の「平成 24 年 度就業構造基本調査」によると有業者は 6,442 万 1 千人で、5 年前に比べ 155 万 7 千人 減少し、無業者は 4,639 万 4 千人で 207 万人増加している。54

54 総務省統計局「平成 24 年度就業者構造基本調査」ホームページ URL、

http://www.stat.go.jp/data/shugyou/2012/index.htm の内容を参照。

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図 4-4 出生年別生涯平均厚生年金保険料率

注:縦軸は生涯所得に占める生涯厚生年金保険料の割合

出所:鳥取県生活協同組合「機関紙せいきょう」(2008 年 4 月号)を参照。

又厚生労働省「平成 20 年国民年金被保険者実態調査」によれば、国民年金加入者の 就業状況は自営業が減少し、パート、アルバイト、派遣労働者、業務派遣など非正規 労働者や無職の人が徐々に増加している。

上述の2つの調査から、国民年金の空洞化と共に厚生年金にも空洞化が発 生しており、公的年金への非加入者が拡大しつつあることが窺える。事実、2011 年度の国民年金の納付率は 58.6%と低く、厚生年金保険の未適用事業所は 2011 年度末で 24 万6千に上り、このまま公的年金への未加入者を放置すれば、将来 生活保護費が増大し、財政負担に歯止めが掛からなくなる恐れがある。

四、 マクロ経済スライド制

上述したように公的年金の財源が縮小する現状を改善しようと 2004 年(平成 16 年)

の年金制度改革から『マクロ経済スライド制』55が導入された。これは急速に進行す る少子高齢化の中で増え続ける現役世代の負担に歯止めをかけ、世代間の格差を是正 して、将来にわたり年金制度を安定的に持続できるものとするため、給付と負担のバ ランスを調整出来る新たな年金財政システムを確立しようとする試みである。この改

55 マクロ経済スライド制とはその時の社会情勢(現役人口の減少や平均余命の伸び)に合わせて、年金 の給付水準を自動的に調整する仕組みである。

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