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第三章 調査概要

3.3 対応傾向

表 3-5 から、中国語では形容詞に属する 151 語は日本語において、形容詞の 用法が見られるグループと見られないグループに分けられる。前者は【A】~【I】

の 9 タイプを持ち、後者は【J】【K】の 2 タイプを持っていることが分かった。

形容詞の用法が見られるグループにおいては、村木新次郎(2012)が提示し た形容詞の分類の(Ⅱ)第二形容詞、(Ⅲ)第三形容詞、(Ⅳ)第二形容詞/第三形容 詞、(Ⅴ)規定用法のみの形容詞の【A】【C】【E】【H】4 タイプがある。そして名 詞を兼ねる【B】【D】【F】3 タイプもある。また、【G】タイプは唯一三つの品詞 を有するタイプであり、【I】タイプは(Ⅴ)規定用法のみの形容詞・動詞のタイ プで、「複合」1 語のみある。

語数から見ると、【A】【B】【E】【F】の 4 タイプは他のタイプより語例を比較 的多く有し、全体を占める率がいずれも 10%を超えている。その中で(Ⅳ)第二 形容詞/第三形容詞・名詞に属する【F】タイプは数が最も多く、33 語ある。た だし、一般に名詞と扱われてきた(Ⅴ)規定用法のみの形容詞の【H】タイプも 15 語あり、1 割近くを占めていることは見逃してはならない。

一方、形容詞の用法が見られないグループにおいては、日本語において名詞 に属する【J】と動詞・名詞に属する【K】の 2 タイプがあるが、前者より後者 の方が有している語例が大幅に上回っていることが分かった。すなわち、中国 語では形容詞に属するものは日本語において品詞のズレが生じる際、名詞にな る場合より動詞・名詞になる場合の方が多いということが言えるだろう。

林姿里(1982)の調査結果により、中国語の形容詞が日本語において品詞の ズレが最も生じやすいパターンは、中国語の形容詞から日本語の名詞になるこ とが見受けられる。しかし本研究では、従来名詞と扱われてきた(Ⅲ)第三形容 詞や(Ⅴ)規定用法のみの形容詞の観点を調査に入れて考察してみると、中日両 言語の品詞対応にズレが最も生じやすいパターンは日本語の名詞になるのでは なく、動詞になるということが、今回の調査を通して得られた重要な成果であ

ると言えるだろう。

第四章では表 3-5 に従い、中国語では形容詞に属する 151 語は日本語におい て、形容詞の用法が見られるグループと見られないグループ分け、それぞれが 持つタイプにおける語例の傾向や特徴、品詞転換におけるズレの有無の原因を 検討し、具体的な分析を行いたい。