ついても、ウェブサイト上に記載されている。また、日本市場においてもその内容が 消費者に対するアピールのポイントとなっている。この件について、鈴木弘子、石田 裕(2005)は試験を行っている。その試験結果について、以下に述べる。525
高地栽培バナナの風味の良さを化学成分の面から明らかにする目的で、標高の 異なる土地、すなわち、高地(1,000m)、中地(500m)及び低地(0-20m)で栽 培した3 種類のバナナを収穫後、20℃で追熟させ、各熟度での成分変化を検討し た。
標高の高い土地で栽培されたバナナは、適塾段階において通常の低地栽培バナ ナより甘み、香りが強くなることがわかった。
と結論付けている。研究者が2009 年 11 月にフィリピン・ミンダナオ島を訪れた際に、
526ANI Davao office Manager Mr. Peter Jespersen より、バナナ栽培地の区分けについて 以下のように教わる。
表3-3 バナナ栽培標高区分
( 区分 ) ( 標高:m )
①Lowland Banana : 0 - 200
②Midland Banana : 200 - 800
③Highland Banana : 800 - 1,600
そして、Lowland Banana(低地農園)及び Highland Banana(高地農園)の視察をし た。低地農園では、見渡す限りのバナナで規模の大きさを眼のあたりにし、ただ驚く ばかりであった。また、高地栽培でもその規模に圧倒した。高地栽培で働く人々が若 かったことも印象的である。このバナナ農園について、[別図9-1][別図9-2]を参照 願う。また、灌漑用の水路はない、ただ低地で見かけたものは排水用の灌漑水路であ った。高地農園のMr. Allan527 に確認をすると「ミンダナオ島では一部の地域を除い て、灌漑設備は必要ない。」とのことだった。
525鈴木弘子、石田裕(2005)〈高地栽培バナナの風味に関係する成分の特性〉《日本食品科学工学会誌》
52、p.484
http://www.jstage.jst.go.jp/article/nskkk/52/10/52_479/_article/-char/ja
5262009 年 11 月 18 日から 22 日の日程で、研究者はフィリピン・ミンダナオ島を訪問し、Agri Nurture Inc.
(ANI) CEO Mr. Antonio L. Tiu の協力を得てバナナ農園を視察。
527MUSAHAMAT FARMS INCORPORATED(栽培面積 50ha、従業員 65 名)の責任者。
フィリピン・バナナの生産販売者団体として Pilipino Banana Growers and Exporters Association(以下略称「PBGEA」)が有り、2010 年 9 月現在 18 企業が加盟している。
その内 11 社について、ホームページの掲示が有ったので、内容を確認した。詳細に ついては、[別表6]を参照願う。
3 社で自社ブランドについての記述があった。ラパンダイ・フーズの「Estrella」・
「Aloha」・「Mabuhay」・「Island Sun」、ネーダー&エブラヒムは、A クラスの「Dana」・
「Delmon」・「Diamond」、B クラスの「ai Khaleej」・「K-1」で、トライスターは「フ レンドリーバナナ」528を持っている。
このような自社ブランドは、一部日本でも販売されている。また、品質による「A クラス」・「B クラス」と等級を分けることも生産側は重要なことであり、販売先と品 質とをバランスよく仕分けていることが窺える。
(二)環境への取り組み
国際的に環境問題への関心が強いということもあり、有機栽培を行っていること、
及び外部機関の認証を取得していることがそのホームページ上に掲載されている。529 下記に、台湾同様に消費技術センターが2005 年 12 月~2006 年 1 月にかけてフィリピ ンでおこなった調査結果を記す。
1.フィリピンの農薬管理制度
フィリピンでは、農薬の原材料を輸入し、国内で製剤とした上で販売されて いる。フィリピンで使用される全ての農薬及び保管倉庫は、肥料農薬庁(FPA)
への登録が必要で、農薬の販売店や取扱業者にも免許が必要となっている。
日本の政府開発援助によって、研究施設の建設と農薬分析に必要な機材の調 達が行われた。その後、1997 年から 5 年間にわたって同じく日本の支援による
「農薬モニタリング体制改善計画」で、農薬監視のために日本から農薬分析技 術の移転がなされ、その後、資金面での問題を抱えながらも、作物の残留農薬 分析が行われている。
2.フィリピン・バナナについて
フィリピンにおける輸出用バナナの生産は、世界的な大企業によって行われ、
広大な農地で様々な品種のバナナが生産されている。
528阪神地方で販売されている。
529[別表6]参照願う。
安全性に配慮したバナナ生産のための取組みとして、ある企業では、IPM530を 実施することによって農薬は使わないようにすることを基本としており、袋掛 けには農薬を含んでいないビニール袋を使用していたほか、除草剤を使う代わ りに土壌表面をバームココナッツの皮で覆ってあった。
農薬を使わざるを得ない場合は、同社研究センターの専門家が農薬を選定し、
その指導の下で散布され、経営者の承認なしに農薬が使われることのないシス テムにしているとのこと。しかし、使用農薬のリストを見せてもらえなかった ので、使用実態までは確認できなかった。
肥料についても使用前に土壌を分析し専門家が必要な肥料を選定し、さらに 使用前に肥料に重金属が含まれていないことを確認するとのこと。
契約農家の農園もあり、社内規則、基準を守らせるため、同社の査察員が契 約農家を回ってその作業を高頻度(1 日に 2~3 回)でチェックすることになっ ている。
残留農薬検査はグループ会社のフィリピン国内の研究所と日本国内の両方 で分析してダブルチェックしている。同企業グループの日本会社が定期的にフ ィリピンを訪れて情報交換しており、日本の残留基準やポジティブリスト規制 に合致しているかどうかをチェックしていることと、生産農園を特定できるよ うトレーサビリティを保証できるシステムを構築しているということである。
他の企業でも同様に、IPM を導入して常に害虫数を監視し、化学合成薬をで きるだけ使用しないで生産するという取組みを行っていた。
バナナのパッキングハウスでは、日本向け、中国向け、韓国向けと輸出用バ ナナのパッキングを行っていたが、この中でも日本向けは最も品質の良いもの が仕向けられているとのことである。
と消費技術センター(2006)は報告している。そして、フィリピンに関して、訪問し た工場での聞き取り調査によれば HACCP531などの認証を受けているとの説明だが、
530[Integrated Pest Management]の訳語であり、病害虫の発生予察情報等に基づき、耕種的防除(伝染病 植物除去や輪作等)、生物的防除(天敵やフェロモン等の利用)、化学的防除(農薬散布等)、物理的 防除(粘着版や太陽熱利用消毒等)を組み合わせた防除を実施することにより、病害虫の発生を経 済的被害が生じるレベル以下に抑制し、かつ、その低いレベルを持続させることを目的とする病害 虫管理手法。
同上掲注、独立行政法人農林水産消費技術センター(平成 18、2006)、p.5
531【hazard analysis and critical control points】ハサップ、総合衛生管理製造過程《食品衛生管理手法の一 つ、最終製品を検査するのではなく、製造工程の全工程で必要な検査を行う》
従業員の意識レベルが、日本の同種加工工場と比べるとまだ開きが大きく、日本の消 費者の農産加工品に期待する衛生管理レベルとは隔たりがあると感じられた。また、
ポジティブリスト制度の残留基準(含む暫定基準)リストに含まれていないいくつか の農薬がフィリピンではバナナ・マンゴー・オクラ・パイナップルに使用が認められ ており、ポジティブリスト実施後、残留問題を起こす要因となることが懸念される、
と消費技術センターは指摘している。532