第五章 結論と今後の課題
5.3 今後の課題
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をはっきりする傾向がある。一方、外的要因による「言われのない非難」場面 において、謝罪表現を減少し、原因を詳しく説明し、事前に連絡したことに言 及し、自分の境遇を相手に理解してもらう傾向がある。日本語学習者は日本人 との接触場面における「言われのない非難」の場合、日本人に対して抱いてい るステレオタイプでコミュニケーションをすれば、かえって誤解を解くことが できなくなり、相手に更に不快をさせてしまう可能性がある
よって、教室内の日本語授業では学習者に日本人の言語行動を紹介する時、
特にこのような「言われのない非難」場面は学習教材の例外として教えること ができるだろう。具体的な提案として、学習者に「言われのない非難」場面に おける日本人の言語行動を把握させ、ロールプレイの形式で演習をさせる。こ れにより、日本人との接触の機会が少ない学習者はこれから実際にこのような 状況に遭った時、順調に相手とコミュニケーションが取れると考えられる。
5.3 今後の課題
本研究は「親疎関係」と「上下関係」により日本語母語話者と台湾人日本語 学習者は「言われのない非難」に対する言語行動の異同を明らかにした。しか し、今回の研究に関しては、課題がいくつか残っている。
まず、調査対象について、本調査は「20 代前半の学生」を対象とするデータ 収集して考察したもので、その言語行動の特徴は他の年齢層にも当てはまる訳 ではないと考えられる。そのため、20 代前半の学生ではなく、20 代以上の各 年齢層の社会人も調査対象の範疇に入れ、幅広く考察する必要があると思う。
次に、考察項目について、今回は「JNS と JFL」、「上下差」、「親疎差」しか 考察しなかった。しかし、性別、年齢、社会階層などの社会的要因が言語行動 に影響を与えることがよく言われている。従って、「男女差」や「学生と社会 人」などの項目も考察しなければならないと考える。その上、本研究は「日本
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語母語話者と台湾人日本語学習者との比較」のみ着目し、今後は「日本人と台 湾人との比較」を対象に対照研究を行い、又は、「台湾人日本語学習者と台湾 人非日本語学習者との比較」を通じて、台湾人日本語学習者の言語行動を母語 に影響されるかどうかを考察する必要があると考えられる。
また、本研究における分析方法について、今回は「構成要素(意味公式の組 み合わせ)」によって調査対象者の言語行動を考察した。しかし、このような 方法は調査対象者の話の順番を見落とすことがあると考えられる。例えば、例 30-1「メールも送ったんですけど、乗っていた電車が事故で遅れてしまいまし た。すみません。」と例30-2「申し訳ございません。さっきメールで事情を簡 単に説明しましたけど、ここに来る途中交通事故があったので、遅くなりまし た。」のように、上述の回答例は本研究で【謝罪+原因の説明+事前連絡に言 及】という構成要素となる。意味公式が出現する順番から見ると、例 30-1 の 発話の開始部は【事前連絡に言及】であり、発話の終了部は【謝罪】であるが、
例30-2 の発話の開始部は【謝罪】であり、発話の終了部は【原因の説明】で ある。例30-1 の調査対象は最初に【事前連絡に言及】を使用したのは、自分 が前もって連絡したことを相手を納得させるものが大事であると考えられ、例 30-2 の調査対象は最初に【謝罪】を使用したのは、まずお詫びで相手の怒りを 和らげてから、原因を説明することや事前の連絡に言及した方がいいと考えて いると推測される。意味公式が出現する順番から見れば、それぞれの調査対象 者の発話の中に何が重視されるのかがわかり、調査対象者の言語行動の特徴を より詳しく把握することができる。従って、「意味公式の順序」から考察する 必要があると思われる。
さらに、本研究の調査方法について、今回は談話完成テスト(DCT)でデー タを収集した。DCT は大量なデータを容易に集められるという利点があるが、
伊藤(2004)によると、DCT は調査紙による調査なので、 集められたデータ
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は自然な発話を反映していると言えるのかという疑問があると指摘されてい る。従って、今後はロールプレイや自然発話の観察などの収集方法を増やし、
上述の観点を踏まえて今後の課題としたい。
最後に、外的要因場面における構成要素の使用について、本研究で扱う2 つ のグループの研究対象はともに「再謝罪」を使用している。例えば、「申し訳 ございません。途中に交通事故でバスが動かないことになりまして…先生にメ ールをお送りいたしましたが、遅刻するのは本当に申し訳ございませんでし た。」のように、発話が終了する時もう一度繰り返して謝罪することがある。
使用実態は表64 のように示す。
表64 JNS と JFL の外的要因場面における再謝罪の使用頻度とその割合
相手 「再謝罪」使用回答数/
総回答数 割合
JNS 先生 7/80 8.8%
クラスメート 7/80 8.8%
JFL 先生 30/80 37.5%
クラスメート 19/80 23.8%
表64 によると、JFL は「再謝罪」の使用が際立っているのに対し、JNS の使 用頻度がずっと低いことが見られた。本研究におけるJFL の「再謝罪」の使用 頻度はJNS のより 2 倍以上多いという結果は内山(2006)11の研究と異なる結 果が得られた。今後は場面の種類を増やし、「再謝罪の有無」、「再謝罪の形式」、
「研究対象が再謝罪の使用に対する解釈」などの視点に絞って、研究を進めた い。
11 内山(2006)は「もし借りていた CD をなくしたら、相手にどのように謝罪するか」という場面を 設け、JNS と JFL を対象にし、ロールプレイで調査を行った。研究結果による「再謝罪」に関しては、
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