第四章 分析結果と考察
4.4 日本語母語話者と台湾人日本語学習者の比較
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20-2 「待たせてごめんね。さっきメールしたけど、来る途中で事故に遭って 怖かったの。だからこんなに遅くなっちゃって。」
このように、JFL は外的要因場面における対先生と対クラスメートの場合で は、両者とも主に【謝罪+原因の説明+事前連絡に言及】という組み合わせを 使う傾向が見られた。おそらく、外的要因による遅刻の場面において、JFL は 先生に対してもクラスメートに対しても、お詫びの気持ちを伝えることと事実 をきちんと相手に説明することを通じて、自分の境遇を相手に理解してもらい たいのかもしれない。
4.4 日本語母語話者と台湾人日本語学習者の比較
本節では、相手誤解場面・外的要因場面における日本語母語話者(JNS)と 台湾人日本語学習者(JFL)それぞれ意味公式の選択と構成要素の使用を比較 し、分析していく。
4.4.1 相手誤解場面
JNS と JFL が相手誤解場面における親しい・親しくない先生と親しい・親し くないクラスメートに対する場合の意味公式の選択と構成要素の使用状況を 述べる。
親しい先生に対する場合における意味公式の選択について、表 29 と図 25 のように示す。
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「責任の所在」について、JNS は主に【責任否定•追及】を使っており、【責任 所在の曖昧化】の使用も少なくないのに対し、JFL は主に【責任所在の曖昧化】
の使用が集中している。また、【謝罪】と【相手の攻撃弱化】の使用割合につ いて、JFL は JNS より 2 倍近く多いという結果がある。
親しい先生に対する場合における構成要素の使用について、表 30 と図 26 の ように示す。
表30 相手誤解場面における親しい先生に対する構成要素の使用頻度とその割合
構成要素 JNS JFL
頻度 割合 頻度 割合
責任否定•追及 12 30.0% 1 2.5%
責任所在の曖昧化 6 15.0% 2 5.0%
謝罪+責任否定•追及 3 7.5% 2 5.0%
謝罪+責任所在の曖昧化 3 7.5% 12 30.0%
謝罪+責任承認 2 5.0% 1 2.5%
感情表出+責任所在の曖昧化 4 10.0% 3 7.5%
感情表出+責任否定•追及 2 5.0% 4 10.0%
呼びかけ+責任所在の曖昧化 2 5.0% 1 2.5%
呼びかけ+責任否定•追及 2 5.0% 0 0.0%
呼びかけ+謝罪+責任所在の曖昧化 0 0.0% 3 7.5%
感情表出+謝罪+責任所在の曖昧化 0 0.0% 4 10.0%
謝罪+責任所在の曖昧化+相手の攻撃弱化 0 0.0% 5 12.5%
その他 4 10.0% 2 5.0%
合計 40 100.0% 40 100.0%
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図26 相手誤解場面における親しい先生に対する構成要素の割合
表30 と図 26 によると、JNS は最も多く使用する構成要素は【責任否定•追 及】(30%)を単独で出現するパターンであり、二番目に多くのは【責任所在の 曖昧化】(15%)を単独で使用するパターンである。JFL は最も多く使用する構 成要素は【謝罪+責任所在の曖昧化】(30%)である。その次には、【謝罪+責 任所在の曖昧化+相手の攻撃弱化】の組み合わせであり、割合が12.5%となっ ている。以下は実際の回答例である。
例22.JNS が最も多く用いるパターン【責任否定・追及】
22-1 「先生 2 時半って言いましたよ!」
22-2 「確かに 2 時半に約束しましたよ!」
0% 5% 10% 15% 20% 25% 30%
その他 謝罪+責任所在の曖昧化+
相手の攻撃弱化 感情表出+謝罪+責任所在の曖昧化 呼びかけ+謝罪+責任所在の曖昧化 呼びかけ+責任否定•追及 呼びかけ+責任所在の曖昧化 感情表出+責任否定•追及 感情表出+責任所在の曖昧化 謝罪+責任承認 謝罪+責任所在の曖昧化 謝罪+責任否定•追及 責任所在の曖昧化 責任否定•追及 JNS
JFL
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例23.JFL が最も多く用いるパターン【謝罪+責任所在の曖昧化】
「確かに2 時半にと約束しましたと思いますが、もしかして私が間違 えてしまったかもしれません。ごめんなさい。」
このように、相手誤解場面における親しい先生に対する時、JNS は直接的に 約束の時間を相手に教えることや相手の責任を追及することが多く、積極的に 誤解を解こうとする傾向があるのに対し、JFL は謝ったり、断定を避ける表現 で正しい時間を伝えたりして、明言しなく婉曲な表現で責任の所在を主張する 傾向が見られた。
親しくない先生に対する場合における意味公式の選択について、表 31 と図 27 のように示す。
表31 相手誤解場面における親しくない先生に対する意味公式の使用頻度とその割合
意味公式 JNS JFL
頻度 割合 頻度 割合 1. 謝罪 23 35.4% 45 46.9%
2. 責任承認 5 7.7% 5 5.2%
3. 責任所在の曖昧化 12 18.5% 26 27.1%
4. 責任否定•追及 16 24.6% 2 2.1%
5. 原因の説明 0 0.0% 0 0.0%
6. 事前連絡に言及 0 0.0% 0 0.0%
7. 相手の攻撃弱化 4 6.2% 10 10.4%
8. 感情表出 4 6.2% 3 3.1%
9. 配慮 0 0.0% 1 1.0%
10.呼びかけ 1 1.5% 4 4.2%
11.その他 0 0.0% 0 0.0%
合計 65 100.0% 96 100.0%
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図27 相手誤解場面における親しくない先生に対する意味公式の割合
表31 と図 27 のように、JNS は一番多く使用する意味公式は【謝罪】であり、
割合が 35.4%となっている。二番目と三番目に多いのは【責任否定•追及】
(24.6%)と【責任所在の曖昧化】(18.5%)である。JFL は一番多く使用する 意味公式は【謝罪】であり、割合が46.9%を占めている。二番目と三番目に多 いのは【責任所在の曖昧化】(27.1%)と【相手の攻撃弱化】(10.5%)である。
この結果から、相手誤解場面における親しくない先生から言われのない非難 を受けた時、JNS と JFL が両者とも「謝罪」を優先的に選択する傾向が見られ た。また、「責任の所在」に関しては、JNS は【責任否定•追及】の使用もあれ ば、【責任所在の曖昧化】の使用もある。しかし、【責任否定•追及】の使用頻 度は【責任所在の曖昧化】のはより多い。一方、JFL は【責任所在の曖昧化】
の使用がかなりの部分を占めている。また、【相手の攻撃弱化】の使用頻度に 関して、JFL は JNS より 2 倍以上多いという結果がある。
親しくない先生に対する場合における構成要素の使用について、表 32 と図 28 のように示す。
0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35% 40% 45% 50%
その他 呼びかけ 配慮 感情表出 相手の攻撃弱化 事前連絡に言及 原因の説明 責任否定•追及 責任所在の曖昧化 責任承認
謝罪 JNS
JFL
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表32 相手誤解場面における親しくない先生に対する構成要素の使用頻度とその割合
構成要素 JNS JFL
頻度 割合 頻度 割合
謝罪 6 15.0% 3 7.5%
責任否定•追及 5 12.5% 0 0.0%
責任所在の曖昧化 5 12.5% 0 0.0%
責任承認 1 2.5% 0 0.0%
謝罪+責任否定•追及 7 17.5% 1 2.5%
謝罪+責任所在の曖昧化 5 12.5% 15 37.5%
謝罪+責任承認 4 10.0% 5 12.5%
謝罪+相手の攻撃弱化 1 2.5% 5 12.5%
感情表出+責任否定•追及 3 7.5% 1 2.5%
謝罪+責任所在の曖昧化+相手の攻撃弱化 0 0.0% 4 10.0%
呼びかけ+謝罪+責任所在の曖昧化 0 0.0% 3 7.5%
その他 3 7.5% 3 7.5%
合計 40 100.0% 40 100.0%
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図28 相手誤解場面における親しくない先生に対する構成要素の割合
表32 と図 28 で示されるように、JNS は一番多く用いる構成要素は【謝罪+
責任否定•追及】(17.5%)であり、二番目に多くのは【謝罪】(15%)を単独で 用いるパターンである。JFL は最も多く用いるのは【謝罪+責任所在の曖昧化】
で、割合が37.5%を占めている。その次には、【謝罪+責任承認】と【謝罪+
相手の攻撃弱化】、両者とも12.5%である。以下は実際の回答例である。
例24.JNS が最も多く用いるパターン【謝罪+責任否定•追及】
「申し訳ありませんが、遅れてないと思います。」
例25.JFL が最も多く用いるパターン【謝罪+責任所在の曖昧化】
「本当にすみませんでした。でも約束の時間は2 時半で覚えてるんで
0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35% 40%
その他 呼びかけ+謝罪+責任所在の曖昧化 謝罪+責任所在の曖昧化+相手の攻撃
弱化
感情表出+責任否定•追及 謝罪+相手の攻撃弱化 謝罪+責任承認 謝罪+責任所在の曖昧化 謝罪+責任否定•追及 責任承認 責任所在の曖昧化 責任否定•追及 JNS 謝罪
JFL
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すけど…。」
このように、相手誤解場面における親しくない先生に対する時、JNS と JFL がともに、謝罪の気持ちを伝えようとする姿勢を示す傾向がある。しかし、そ の続き「責任の所在」に関して、JNS は積極的に自分の立場を相手に伝えるの に対し、JFL は文末に言いさし表現をたくさん使い、約束した時間を婉曲に伝 える傾向が見られた。
親しいクラスメートに対する場合における意味公式の選択について、表 33 と図29 のように示す。
表33 相手誤解場面における親しいクラスメートに対する意味公式の使用頻度とその割 合
意味公式 JNS JFL
頻度 割合 頻度 割合
1. 謝罪 4 6.2% 8 9.9%
2. 責任承認 1 1.5% 0 0.0%
3. 責任所在の曖昧化 17 26.2% 26 32.1%
4. 責任否定•追及 21 32.3% 12 14.8%
5. 原因の説明 0 0.0% 0 0.0%
6. 事前連絡に言及 0 0.0% 0 0.0%
7. 相手の攻撃弱化 2 3.1% 6 7.4%
8. 感情表出 19 29.2% 28 34.6%
9. 配慮 1 1.5% 0 0.0%
10.呼びかけ 0 0.0% 0 0.0%
11.その他 0 0.0% 1 1.2%
合計 66 100.0% 81 100.0%
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図29 相手誤解場面における親しいクラスメートに対する意味公式の割合
表33 と図 29 に示すように、JNS は【責任否定•追及】を最も多く用い、割 合が32.3%となっている。その次には、【感情表出】(29.2%)、【責任所在の曖 昧化】(26.2%)となっている。JFL は【感情表出】の使用が最多数であり、割 合が 34.6%を占めている。以下続いては【責任所在の曖昧化】(32.1%)、【責 任否定•追及】(14.8%)となっている。
調査結果から見ると、相手誤解による親しいクラスメートから非難を受けた 時、意味公式の選択における「責任の所在」について、JNS は主に【責任否定
•追及】を使っており、【責任所在の曖昧化】の使用も少なくないのに対し、JFL は主に【責任所在の曖昧化】を使っている。そして、両者とも【感情表出】を よく使う特徴が見られた。
親しいクラスメートに対する場合における構成要素の使用について、表 34 と図30 のように示す。
0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35% 40%
その他 呼びかけ 配慮 感情表出 相手の攻撃弱化 事前連絡に言及 原因の説明 責任否定•追及 責任所在の曖昧化 責任承認
謝罪 JNS
JFL
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否定•追及】(25%)である。以下は実際の回答例である。
否定•追及】(25%)である。以下は実際の回答例である。