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用語彙概念構造(LCS)來說明kakeru構文的用法 ―ACT和BECOME擁有的成立點― - 政大學術集成

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Academic year: 2021

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(1)國立政治大學日本語文學系 碩士論文. 指導教授:吉田妙子. 立. 政 治 大. ‧ 國. 學 ‧. 語彙概念構造を用いたカケル構文の解釈. n. al. er. io. sit. y. Nat. ―ACT と BECOME が持つ成立点―. Ch. engchi. 研究生:城戸秀則. i n U. 撰. 中華民國一○四年六月. v.

(2) 謝辞 本 論 文 の 作 成 に当 た り 、多 くの 方 々 に ご 支 援 と ご 指 導 をい た だ い た こ と 、心 よ り 感謝 申 し 上 げ ま す 。 そし て こ の 感 謝 の 気 持 ちを 、誰 よ り も 先 ず 、指 導 教授 の 吉 田 妙 子 先 生 に お 伝え 申 し 上 げ ま す。私 が 政 治 大 学 日 本 語 文 学 系 の 院 生と し て 入 っ た の は、ち ょ う ど 先 生 が 退 官な さ る 1 年 前 で し た の で 、ご指 導 い た だ け た のは 1 年 間 だ け で し た 。し か し 、こ の 短 い 間 に 、先 生 のそ れ ま で の 教 授 経 験・人 生 経 験 を 凝 縮 し た よ う な 、密 度 の 濃 い ご 講 義 を 拝聴 で き た お か げ で、こ の 論 文 を 書 き 上 げる こ と が で き た と 言 っ て も 過 言で は あ り ま せ ん 。. 治 政 蘇 文 郎 先 生、文 献 や 論 文 の 多 読 に より 、そ の 読 大み 方 や 批判 の 仕 方 を 教 え 立、日 本 語 に お け る 敬 語 表 現 の 面白 さ や 奥 深 さ を て く だ さ っ た 王淑 琴 先 生 ま た 、日本 語 学 や 認 知 言 語 学 の 知 識を 基 礎 か ら 叩 き 込 んで く だ さ っ た. ‧ 國. 學. 説 い て く だ さ った 蔡 瓊 芳 先 生 に も 、 心 か ら お 礼 を 申 し 上げ ま す 。 そ し て 、院 生 で は 唯 一 の 外 国 人 で あっ た 私 を い つ も 気 にか け て く だ さ っ た 主 任 の 徐 翔生 先 生 、学 生 生活 で 困 っ た こ と が あ る 度に 、い ろ い ろ 相. ‧. 談 に 乗 っ て 、サ ポ ー ト し て く だ さ った 頼 庭 筠 さ ん 、徐欣 瑜 さ ん に も 、厚. y. Nat. く お 礼 を 申 し 上げ ま す 。. sit. さ ら に 、た びた び 論 文 を 見 直 し 、適 格 且 つ 貴 重 な ア ド バイ ス を く だ さ. al. er. io. っ た 姜 鈞 傑 先 輩、台 湾 に つ い て い ろい ろ と 教 え て く だ さっ た 陳 冠 甫 先 輩、 共 に 切 磋 琢 磨 した 戴 秀 容 先 輩 、陳 祥 さ ん 、邱 姿 維 さ ん 、劉 徳 駿 君 、洪 依. n. v i n 帆 さ ん と い う 良き 学 友 が いC た か ら こそ 、楽 し く 学 問 研 究 に 励 む こ と が で hengchi U き た の だ と 思 いま す 。 政 治 大 学 日 本 語文 学 系 の 102 期 生 とし て 入 学 で き、本 当 に 良 か っ た と. 思 い ま す 。こ の 年 に 入 学 で き た か らこ そ 、こ の よ うな 素 晴 ら し い 先 生 方 や 仲 間 に 出 会 えた の で す か ら 。こ の 論 文 は 、政 治 大学 日 本 語 文 学 系 の 皆 様 に 支 え ら れ たお か げ で 、 完 成 し た も の な の で す 。 最 後 に 、い つも 私 の わ が ま ま を 許 し 、自 由 に や り た い こと を さ せ て く れ る 両 親 に、感 謝 の 意 を 述 べ た い と思 い ま す 。本 当に あ り が と う ご ざ い ます。.

(3) 用語彙概念構造 (LCS)來 說明 kakeru 構文 的用法 ― ACT 和 BECOME 擁 有的成立點― 摘要 到 目 前 為 止,針 對 出 現 在 kakeru 構 文 中 的 意 義 解 釋 上 的差 異,在 現 有 的 研 究 中 並 沒 有做 出 明 確 的 探 討。本論 文 的 目 的,是 利用 LCS,有 系 統 性 地 統 一 掌 握 該 差異,並 給 予 明 確 的 說 明。在 過 去 的 研 究 裡, 說 明 了 藉 由 動 詞 的 aspect 來 確 定 kakeru 構 文 的 解 釋 是「 動 作 開 始 前的 用 法 」或 是「 動 作. 治 政 說 明。即 使 試 著 做 整 體 性 的 說 明,卻 還 是 會 產 生大 矛 盾。因 此,在 本 論 文 中 , 立 kakeru 構 文 的 研 究 , 藉 此 來客 觀 整 理 每 個 動 詞 首 次 嘗 試將 LCS 理 論 導入 發 生 途 中 的 用 法 」。 但 該 動 詞 分 類 的 基 準 不 明 確 , 同 時 又 侷 限 了 對 解 釋 的. ‧ 國. 釋 帶 來 何 種 影 響, 做 出 系 統 性 的 論 述。. 學. 所 擁 有 的 成 立 點( 語 彙 上 的 aspect), 並 將 該 成 立 點 會 對 kakeru 構 文 的 解 本 稿 共 分 為 六 章。 在 諸 論 , 說 明 本 論文 的 目 的 和 動 機 、 方法 、 架 構 、. ‧. 以 及 研 究 範 圍。在 第 一 章,舉 出 過 去 的 研 究,並 指 出 其 問 題 點。在 第 二 章 ,. y. Nat. 用 LCS 來 探 討 Vendler 四 分 類 的 動 詞 擁 有 什 麼 樣 的 成 立 點之 後 ,將 本 論 文. al. achievement 、 及 第 五 章 的. er. activity 、 第 四 章 的. io. 如 在 第 三 章 的. sit. 的 主 張 做 出 整 理,並 提 出 理 論。從 第 三 章 以 後,根 據 第 二 章 所 提 出 的 理 論, accomplishment, 根 據 過 去 的 研 究 , 將 各 個 動 詞 再 做 更 細 部 的 分 類 , 並 舉. n. v i n 出 用 例 , 來 證 明其 理 論 的 有C 效 性 。 最後 在 第 六 章 做 出 結 論。 he gchi U 從 以 上 論 述,可 將 kakeru 構 文n 的 意 義 總 結 為「 動 詞( 句)表 示 的 動 作 未 到 達 成 立 點」,由 此 根 據 文 脈,導 出「 将 動 相」「 将 変 相」的 解 釋 並 做 出 結論。 關 鍵 詞: kakeru 構 文 , Vendler 四 分 類 , LCS, 成 立 點 , Incremental Theme.

(4) 語彙概念構造を用いたカケル構文の解釈 ― ACT と BECOME が 持つ成立点― 要旨 本 論 の 目 的 は、こ れ ま で の 研 究 で は明 ら か に さ れ て こ なか っ た 、カ ケ ル 構 文 に 現 れ る 意 味 解 釈 の 異 な り を 、 語 彙 概 念 構 造 ( LCS) を 用 い る こ とによって、体系的・統一的に捉え、明確な説明を与えることである。 従 来 の 研 究 で は、動 詞 の 語 彙 的 ア スペ ク ト に よ り 、カ ケ ル 構 文 の 解 釈 が 「 開 始 前 読 み 」か「 途 中 読 み 」か が 決 ま る と さ れ て き た が 、 そ の 動 詞 分. 治 政 一 的 に 説 明 を 与え よ う と す る と、ど う し て も 矛 大盾 が 生 じる 箇 所 が 出 て し 立が 現 状 で ある 。 そ こ で 、本 論 で は 、カ ケ ル 構 文 ま う と い う 問 題が あ る の 類 の 基 準 が 曖 昧 で あ っ た り 、解釈 に 対 す る 説 明 が 局 所 的で あ る た め 、統. ‧ 國. 學. の 研 究に LCS の 理 論 を 導 入 す る とい う 初 の 試 み に よ り 、そ れ ぞ れ の 動 詞 が持つ成立点(語彙的アスペクト)を客観的に整理し、その成立点が、 カ ケ ル 構 文 の 解釈 に 影 響 を 与 え て いる と い う こ と を 体 系的 に 論 じ る 。. ‧. 本 稿 は 、 全 6 章 か ら な る 。 序 章 では 、 研 究 の 目 的 と 動機 、 研 究 方 法、. y. Nat. 構 成 、研 究 範 囲 に つ い て 述 べ る 。第 1 章 で は 、先 行 研 究 を 挙 げ 、そ の 問. sit. 題 点 を 指 摘 す る。 第 2 章 で は 、 LCS を 用 い て 、 Vendler の 4 分 類 に お け. al. er. io. る そ れ ぞ れ の 動詞 が 、ど のよ う な 成 立 点 を 有 す る の か を明 ら か に し た 後、 本 論 の 主 張 を 理論 化 し た も の を 提 示す る 。第 3 章 以降 で は 、第 2 章 で 掲. n. v i n げ た 理 論 を も とに 、第 3 章C で は 活 動動 詞 、第 4 章 で は到 達 動 詞 、第 5 章 he gchi U で は 達 成 動 詞 とい う よ う に 、それn ぞ れ 動 詞 を 、先 行研 究 を も と に 更 に 細 か く 分 類 し た 後、実 例 を 挙 げ な が ら、 理 論 の 妥 当 性 を 証明 し て い く 。第 6 章では結論を述べる。 以 上 の こ と か ら 、 カ ケ ル 構 文 の 意 味 が 、「 動 詞 ( 句 ) の 動 き が 表 す 成 立 点 に 至 ら な い 」 と い う こ と に 一 本 化 さ れ 、 そ こ か ら 文 脈 に よ り 、「 将 動 相」「 将 変 相 」 の 解 釈 が 導 か れ ると い う 結 論 に 至 る 。. キ ー ワ ー ド : カケ ル 構 文 、 Vendler の 動 詞 の 四 分 類 、 語彙 概 念 構 造 、 成 立 点 、 Incremental Theme( 漸 増 的 変 化 対 象 ).

(5) 目次 序. 章. はじめに. 第1節. 研 究 の 目 的 と 動 機 ―1. 第2節. 研 究 方 法 ―2. 第3節. 構成 ―2. 第4節. 研究範囲 ―3. 第1章. 先行研究とその問題点. 第1節 第2節. 治 政 姫 野 ( 1999) ― 5 大 立カ ケ ル 」 ― 5 「継続動詞+ 金 田 一 ( 1976b) ― 4. ‧. ‧ 國. 學. 2.1 2.2 「 瞬 間 動 詞 + カ ケ ル 」 ― 6 第 3 節 岸 本 ( 2000) ― 8 第 4 節 宮 腰 ( 2009a) ―9 第 5 節 Tujimura and Iida( 1999)、三 原( 2004)、高 見・久 野( 2006)、. sit. y. n. al. Ch. er. 活動動詞とカケル構文. io. 第2章. Nat. 村 尾 ( 2009) ― 12. i n U. v. 第1節. Vendler の 動 詞 の 4 分 類 ― 14. 第2節. 活 動 動 詞 の 成 立 点 ―15. 第3節. 到 達 動 詞 の 成 立 点 ―17. 第4節. 達 成 動 詞 の 成 立 点 ―17. 第5節. 動 詞 の タ イ プ に よ る 成 立 点 と カ ケ ル 構 文 の 解 釈 ― 20. 第3章. engchi. 活動動詞とカケル構文. 第1節. ヲ 格 名 詞 句 が 持 つ IT 成 立 点 ―26. 1.1 ヲ 格 名 詞 句 が 定 名 詞 句 で あ る 場 合 ―27 1.2 ヲ 格 名 詞 句 が 定 名 詞 句 で な い 場 合 ―31 1.3 「 Incremental Theme( 漸 増 的 変 化 対 象 )」 ―34.

(6) 第2節. 活 動 動 詞 の 分 類 ― 36. 2.1 活 動 動 詞 に お け る 先 行 研 究 ― 36 2.2 他 動 詞 と し て の 活 動 動 詞 ― 40 2.3 自 動 詞 と し て の 活 動 動 詞 ― 43 第 3 節 「 読 む 」「 言 う 」「 飲 む 」 の 両 義 的 解 釈 の 原 因 ―43 第 4 節 カ ケ ル 構 文 に 用 い ら れ た 例 ―47 第4章. 到達動詞とカケル構文. 政 治 大. 「 冷 え る 」「 温 ま る 」 が 持 つ LCS と ア ス ペ ク ト ― 64. 立. 英 語 と 日 本 語 に お け る 構 造 上 の 差 異 ―66. 學. ナ ル ― 67. ナ ル が 表 す 変 化 ― 「 瞬 間 変 化 」 と 「 段 階 変 化 」 ― ― 67. ‧. 「 相 対 的 成 立 点 」 と 「 絶 対 的 成 立 点 」 ― 69 瞬 間 変 変 化 と 段 階 変 化 の 違 い ―71 ガ 格 名 詞 句 と BECOME ― 73. n. al. 状 態 変 化 を 表 す 場 合 ―77. Ch. 位 置 変 化 を 表 す 場 合 ―79. engchi. y er. カ ケ ル 構 文 に 用 い ら れ た 例 ―77. sit. 移 動 動 詞 ― 75. io. 第5章. 到 達 動 詞 に お け る 先 行 研 究 ― 56 cool が 持 つ LCS と ア ス ペ ク ト ― 61. Nat. 1.1 1.2 1.3 1.4 第2節 2.1 2.2 2.3 2.4 第3節 第4節 4.1 4.2. BECOME と MOVE ―56. ‧ 國. 第1節. i n U. v. 達成動詞とカケル構文. 第1節. 達 成 動 詞 に お け る 先 行 研 究 ―85. 第2節. カ ケ ル 構 文 に 用 い ら れ た 例 ―88. 2.1 状 態 変 化 ・ 位 置 変 化 の 使 役 動 詞 の タ イ プ ― 89 2.2 作 成 動 詞 の タ イ プ ― 93 第6章. 終わりに. 第1節. 結 論 ― 98.

(7) 第2節. 今 後 の 課 題 ―100. 参 考 文 献 ―101. 立. 政 治 大. ‧. ‧ 國. 學. n. er. io. sit. y. Nat. al. Ch. engchi. i n U. v.

(8) 序. 序. 章 はじめに. 章. はじめに 第1節. 研究の目的と動機. 本 稿 で 扱 う の は、以 下 の よ う な 、動 詞 に カ ケ ル が 後 接 する 表 現( 本 稿 で は 「 カ ケ ル 構文 1 」 と 呼 ん で お く ) で あ る ( 下 線 は 筆 者)。 ( 1) 冒 険 家 の 田 中 は 何 度 か 死 に かけ た 。 ( 2) 鈴 木 は 何 か 言 い か け た が 、 何も 言 わ な か っ た 。. 政 治 (日本語 大記 述 文法 研 究 会 編 2007). ( 3) 手 紙 を 書 き か け た が 、 途 中 でや め た 。. 立. ‧ 國. 學. 日 本 語 記 述 文 法 研 究 会 編 ( 2007) で は 、「 し か け る 」 に つ い て 、 変 化 や 動 作 の 直 前 の段 階 、あ るい は 動 作 に 少 し 取 り か か っ た段 階 を 表 す と し、 ( 1) ( 2) ( 3)を そ れ ぞ れ、 「 変 化 の 直 前 の 段 階」 「 動 作 の 直 前 の 段 階」 「動. ‧. 作 に 取 り か か った 段 階 」であ る と 説 明 し て い る。ま た 、 寺 村( 1984)で. y. Nat. は 、「 ~ カ ケ ル 」 を 、 開 始 を 表 す 形式 2 ( 他 に、「 ~ ハ ジ メ ル」「 ~ ダ ス」). sit. の 一 つ に 含 め、事 象 の 開 始 を 表 す が、始 ま っ て ま も な く、そ れ が 中 止 さ. er. io. れた場合に使われる例がほとんどであるとしている。さらに、金水. al. ( 2000)で は 、運 動 の 局 面 を 表 す 複合 動 詞 3 の う ち の 一 つに 含 め 、カ ケ ル. n. v i n は ス ル の 準 備 段階 を 取 り 出C す と し、限 界 動 詞 の 場 合 は、準 備 的 段 階 の 開 he gchi U 始 か ら 動 作 の 開始 ま で の 間 、非限n 界 動 詞 の 場 合 は 、準 備 的 段 階 の 開 始 か ら 動 作 ・ 変 化 の終 了 前 ま で の 間 を 取り 出 す と し て い る 4 。 こ の よ う に 、 カ ケ ル 構 文 は 、「 準 備 段 階 」 や 「 開 始 段 階 」、「 動 作 に 取 り 「 か け 」構 文( 岸 本 2000)、「 か け 」 動 詞 構 文( 宮 腰 2009a) な ど の 呼 称 が あ る が、本稿では、動詞にカケルが後接したものを、まとめて「カケル構文」と呼ん でおく。 2 寺 村 ( 1984) で は 、 こ の よ う な 動 詞 の 連 用 形 に 後 接 す る も の を 、 テ 形 に 後 接 す る二次的アスペクトと区別して、三次的アスペクトと呼んでいる。 3 高 橋 ( 2003) は 、 ひ と つ の 運 動 を 時 間 的 に 組 み 立 て て い る 過 程 的 な 部 分 を 局 面 と 呼 び 、こ の 局 面 を 表 す 文 法 的 あ わ せ 動 詞 を 局 面 動 詞 と 呼 ん で い る 。そ し て 、 「し は じ め る 」「 し つ づ け る 」「 し お わ る 」 は 、 そ れ ぞ れ 運 動 の 始 発 、 持 続 、 終 了 の 局 面となる動作を表す局面動詞であると述べている。 4 金 水 ( 2000) は 、 な ぜ 動 詞 の 限 界 性 に よ り 解 釈 が 変 わ る の か に つ い て ま で は 述 べていない。 1. 1.

(9) 序. 章 はじめに. かかった段階」などを表すとされている。また、先行研究においても、 こ の よ う な 解 釈が あ る こ と が 明 ら かに さ れ て お り 、こ れ ま で に 研 究 成 果 が 積 み 重 ね ら れて き つ つ は あ る が、い ず れ の 研 究 に お いて も 、ど の よ う な 場 合 に 準 備 段階 の 解 釈 が 成 り 立 つの か 、ど のよ う な 場 合 に 開 始 段 階 の 解 釈 が 成 り 立 つの か 、ど うし て カ ケ ル 構 文 が こ の よ う な解 釈 を 持 ち 得 る の か 、と い った 問 題 に 対 し て は 、明 確 な 説 明 が 与 え ら れて は お ら ず 、カ ケ ル 構 文 の 本 質を 捉 え て い る と は 言い が た い の が 現 状 であ る 。 第2節. 研究方法. 先 行 研 究 で は、様 々 な 観 点 か ら 、カ ケ ル 構 文 の 意 味・機 能 を 統 一 的 に. 治 政 る 。 そ こ で 、 本 稿 で は 、 語 彙 概 念 構 造 ( LCS) 大を 用 い て 、 動 詞 の 成 立 点 を 探 る と い う 、 新 し い立 観 点 か ら の 分 析 を 試 み る 。 具 体 的 に は 、 Vendler 捉 え よ う と 分 析・考 察 が 行 わ れ て いる が 、依 然 と して 問 題 が 残 さ れ て い. ‧ 國. 學. に よ り 分 類 さ れた 動 詞 が 、そ の 動 詞の LCS に よ り 、定 ま っ た 成 立 点 を 持 つ こ と を 明 ら かに し 、そ の 成 立点 が 、カ ケ ル 構 文 の 解 釈を 決 定 す る と い う こ と を 論 じ る。さ ら に 、こ の 解釈 の 決 定 に は 、そ れぞ れ の 動 詞 に 内 在. ‧. す る 成 立 点 以 外に も 、あ る種 の ヲ 格 名 詞 句 の 存 在 が か かわ っ て い る こ と. y. Nat. も 扱 う 。こ れに よ り 、従 来 の 研 究で は 詳 し く 論 じ ら れ てこ な か っ た 、カ. sit. ケ ル 構 文 に お ける 種 々 の 問 題 を 解 決し 、そ の 全 体 像 を、 統 一 的 に 説 明 で. n. al. er. io. き る よ う に な ると 考 え る 。 第3節. 構成. Ch. engchi. i n U. v. 第 1 章 で は、先 行 研 究 を 取 り 上 げ、そ の 問 題 点 を 指 摘 する 。こ こ で 指 摘した問題点は、以降の節で順を追って解決していく。第 2 章では、 Vendler が 4 つ に 分 類 し た 動 詞 が 持つ そ れ ぞ れ の 成 立 点を 、 LCS を 用 い て 洗 い 出 し、そ の 成 立 点 に よ り、カ ケ ル 構 文 の 解 釈 が 決定 す る こ と を 論 じる。さらに、その結果から、カケル構文の意味・機能を再定義する。 第 3 章 以 降 で は 、 第 2 章 で 提 示 し た 理 論 に 基 づ き 、 それ ぞ れ の 動 詞 が 、 カ ケ ル 構 文 で 用い ら れ た 場 合 に 、ど の よ う な 解 釈 が 成 り立 つ の か を 、実 例 に 照 ら し 合 わせ て 見 て い く 。第 3 章 で は 活 動 動 詞、第 4 章 で は 到 達 動 詞 、 第 5 章 で は 達 成 動 詞 に つ い て 更 に 詳 し く 分 析 ・ 考察 す る 。 最 後 に、 第 6 章 で は 、 これ ま で の ま と め と 今後 の 展 望 に つ い て 述べ る 。. 2.

(10) 序. 第4節. 章 はじめに. 研究範囲. 本 稿 で カ ケ ル 構文 と 呼 ぶ の は、「 対 象 に 向 か っ て 何 ら かの 動 作 ・ 作 用 を 及 ぼ す「 指 向 」と 、動 作・作 用 の 始 ま り 、ある い は そ の 寸 前 の 状 態 の 動 き で あ る「 始 動」 ( 姫 野 1999)」の う ち 、後 者 の ア ス ペ ク ト を 表 す 表 現 ( 1) ( 2) ( 3)の よ う な 動 詞 に カ の 方 で あ る 5 。ま た 、既 に 述 べ た よ うに 、 ケ ル が 後 接 し た複 合 動 詞 の 形 式 の みを 扱 う 。従 っ て、カ ケ ル 構 文 に 関 連 し た 、V カ ケ 構 文 6(「食 べ か け の ご 飯」 「 こ の 本 は 読 み かけ だ 」の「 食 べ か け 」「 読 み か け 」 と い っ た 、 動 詞 の 連 用 形 に カ ケ が 後 接 し 、 名 詞 的 な 機 能 を 有 す る 表現 、 本 稿 で は カ ケ ル構 文 と 区 別 し て 、 こう 呼 ん で お く) の 研 究 は こ こ では 扱 わ な い 。. 立. 政 治 大. ‧. ‧ 國. 學. n. er. io. sit. y. Nat. al. Ch. engchi. i n U. v. 5こ れ に は 「 ~ カ カ ル 」 も あ る が 、 こ れ に つ い て は 本 論 文 で は 扱 わ な い 。 「~カケ. ル 」 と の 違 い に つ い て は 、 姫 野 ( 1999) を 参 照 。 6 「 V か け の N」 構 文 ( 高 見 ・ 久 野 2006) 、「 ~ か け の 」 構 文 ( 三 原 2004)、「 か け 」 名 詞 構 文 ( 宮 腰 2009) な ど の 呼 称 が あ る が 、 本 稿 で は 、 以 下 の (ⅰ )~ (ⅲ ) ような用法も含めて、まとめてVカケ構文と呼んでおく。 (ⅰ )こ の ワ イ ン は 飲 み か け だ 。 (ⅱ )机 の 上 に は 飲 み か け の ワ イ ン が あ っ た 。 (ⅲ )田 中 さ ん は ワ イ ン を 飲 み か け だ っ た 。. 3.

(11) 第 1 章 先行研究とその問題点. 第1章 先行研究とその問題点 先 行 研 究 で は 、金 田 一 (1976b)・姫 野 ( 1999)が 、カケ ル に 前 接 す る 動 詞 が 、継続 動 詞 で あ る か 瞬 間 動 詞で あ る か で 、カケ ル 構 文 の 解 釈 が 異 な る と し て い る。一 方 、岸 本( 2000)は 、Vendler の 動 詞の 4 分 類 を も と に 、動 詞 の表 す 出 来 事 に 時 間 的 な 幅 、つ ま り 過 程 が 含 意さ れ る か ど う か で 、カ ケル 構 文 の 解 釈 が 決 ま る と し て い る 。さ らに 、宮 腰( 2009a)は 、 カ ケ ル 構 文 の 解釈 に 影 響 を 与 え て いる の は 、動 詞( を 主 要 部 と す る 句 や 文 )に よ り決 定 さ れ る 事 象 の 成 立 点で あ る と す る 観 点 から 、独 自 の 考 察. 政 治 大. を 行 っ て い る。以 下 、 そ れ ぞ れ の先 行 研 究 を 概 観 し 、問 題 点 を 指 摘 し て いく。. 立 金 田 一 ( 1976b). ‧ 國. 學. 第1節. 金 田 一 ( 1976b) は 、 カ ケ ル に 前 接 す る 動 詞 が 継 続 動 詞 で あ る か 、 瞬. ‧. 間 動 詞 で あ る かに よ っ て 、 以 下 の よう に 、 2 つの 動 作 相 ア ス ペ ク ト を 表. sit. y. Nat. す と 結 論 づ け てい る 。. n. al. er. io. ・ 継 続 動 詞 + カ ケル:あ る 動 作・作 用 が 始 ま る こ と を 表 し、こ れ を「 始 動 態 7 」と 呼 ぶ 。 「 読 み か け る 」な ど. Ch. engchi. i n U. v. ・ 瞬 間 動 詞 + カ ケ ル :「 … 状 態 に 達 す る 」 の 意 味 に な り 、 こ れ を 「 将 現 態 8 」 と 呼ぶ 。「 死 に か け る」「( 電 気 が ) 消 え か け る」 な ど た だ し 、( 4) の 例 を 挙 げ 、「 一 部 分 を 読 ん で や め た 」 と い う 意 味 の 場 合 は 「 始 動 態 」 に 、「 全 然 目 を 通 さ な い う ち に や め た 」 と い う 意 味 の 場 合 は 「 将 現 態 」に な る と 述 べ て い る。 (4) 本 を 読 み か け て や め た。( 金 田 一 1976b) 金 田 一( 1976b)は 、こ の 用 語 を 佐 久 間 鼎『 現 代 日 本 語 の 表 現 と 語 法 』に よ る と 述べている。 8 金 田 一 ( 1976b) の 用 語 で あ る 。 7. 4.

(12) 第 1 章 先行研究とその問題点. ( 5) 本 を 読 み か け た 。 金 田 一 は、( 4)の 場 合 に な ぜ 始 動 態と 将 現 態 の 両 義 の 解釈 が 生 じ る の か 、と い う こ と に つ い て は 言 及 し てい な い 。金 田 一 の 定 義 に 従 う な ら ば、 ( 4) は カ ケ ル に 継 続 動 詞 が 前 接 し て い る こ と か ら 、 始 動 態 に 解 釈 さ れ る は ず で あ る。も し 仮 に 両 方 の 解 釈が 生 じ る 原 因 が「や め た 」と い う 語 に 関 係 し て い るの な ら ば 、こ の「 や め た 」が 始 動 態 で あ る の か 、或 い は 将 現 態 で あ る のか を 区 別 す る 原 因 だと も 考 え ら れ る。し か し 、「 や め た 」 を 取 り 去 っ た( 5)も 、始動 態 に も 将 現 態 に も 解 釈 で き、「 や め た」と い う 語 が 解 釈 に 影 響 を 与 え て い る と は 考 え ら れ な い 。 で は 、( 4) と ( 5) がいずれの解釈をも生じさせる原因はいったいどこにあるのであろう. 政 治 大. か。. 立. 姫 野 ( 1999). 學. ‧ 國. 第2節. 2.1 「 継 続 動 詞 + カ ケ ル 」. ‧. 姫 野 ( 1999) は 、 基 本 的 に 金 田 一 ( 1976b) の カ ケ ル の 用 法 の 分 類 に. sit. y. Nat. 従 い な が ら も 、以 下 の 例 を 挙 げ 、. al. er. io. ( 6)「 だ っ て 学 校 が … 」そ う い い か け る の と い っ し ょ に、な み だ が. n. 出 て き た。( 佐 多 稲 子 「 キ ャ ラ メ ル工 場 か ら」). Ch. engchi. i n U. v. ( 7)私 は そ の あ と、( そ ん な ら あ の銀 座 の マ ダ ム と も 、渋 谷 の 人 と も手を切ってください)といいかけたのだが、あわててその 言 葉 を 飲 み 込 んで し ま っ た。( 源 氏 鶏 太 「 御 身」) ( 姫 野 1999) ・「 動 作 の持 続 部 分 の 始 ま り に 目 をつ け る 」と 、「 始 動 態 」=( 6) ・「 前 の 状 態 か ら そ の 動 作 に 入 る とい う 変 化 の 瞬 間 性(「 言 う 」の 場 合 は、「 沈 黙 → 発 話 」 の 変 化 ) が強 調 さ れ る 」 と、「 将 現 態 」 = ( 7) 上 記 の 説 明 を 加え 、 ほ と ん ど の「 継 続 動 詞 + カ ケ ル 」は 、本 来 的 に こ の. 5.

(13) 第 1 章 先行研究とその問題点. 2 つ の 意 味 を 有 す る と 述 べ て い る 。金 田 一 で は 詳 し く 説明 さ れ な か っ た 、 「 継 続 動 詞 + カケ ル 」に おけ る 始 動 態 或 い は 将 現 態 の 両義 的 解 釈 に つ い て 、独 自 の 視 点 か ら 解 釈 を 試 み て はい る が 、ま ず 、な ぜ ほ と ん ど の「 継 続 動 詞 + カ ケ ル」が 、本 来 的 にこ の 2 つ の 解 釈 を 持 っ てい る と 言 え る の か 、 次 に 、 ど のよ う な 場 合 に 「 動 作の 持 続 部 分 の 始 ま りに 目 を つ け る」 の か 、ど のよ う な 場 合 に「 前 の状 態 か ら そ の 動 作 に 入 ると い う 変 化 の 瞬 間 性 が 強 調 さ れる 」の か に つ い て の 詳 し い 説 明 が な さ れて い な い の で あ る。. 2.2. 「瞬間動詞+カケル」. 政 治 大. 姫 野( 1999)は ま ず 、瞬 間 動 詞 に カ ケ ル が つ い た 場 合 につ い て 、以 下 の よ う に 述 べ てい る 。. 立. ‧ 國. 學. … … 瞬 間 動 詞に「 か か る 」や「 か け る 」が つ い た 場 合 は 、将 現態 を 表 す 場 合 が 多い と 言 え る 。し か し 、そ の 中 で も 、い わゆ る 結 果 動 詞 9 が あ る も のに つ い て は 、必 ず し も 将 現 態 の み と は 言い 切 れ な. ‧. い 場 合 が 出 て くる 。す な わ ち、変 化 の 過 程 を 持 つ も の に「 か か る」. io. y er. 程 の 初 め の 段 階を 示 す こ と に な る 。. sit. Nat. や 「 か け る 」 が つ く と 、 宮 島 ( 1972: 410) に あ る よ う に そ の 過. al. ( 姫 野 1999). n. v i n そ し て 、( 8) の 例 を 挙 げC 、「 開 く 」 は 瞬 間 動 詞 と 言 え る が 、 蕾 か ら 満 he i U 開 ま で の プ ロ セ ス を 継 続 的 に 見 るnなgらcばh、「 ゆ る く 開 き か け て い る 花 」 と い う の は 、 始動 態 を 示 し て い る と指 摘 し て い る 。 ( 8) 第 一 日 目 に は 、 赤 い 花 が 一 本 売 れ た 。 お 客 は 踊 子 で あ る 。 踊 子 は 、ゆ る く 開 き か け て い る 赤 い 蕾を 選 ん だ。( 太 宰 治「 葉」). こ こ で の 結 果 動 詞 と い う の は 、 藤 井 ( 1976) の 用 語 だ と 考 え ら れ る 。 こ の こ と は、瞬間動詞を「変化の過程を持つもの」と「変化の過程を持たないもの」に分 けていることからもわかる。つまり、主体の変化を表す変化動詞のことである。 藤 井 ( 1976) は 、 例 え ば 「 結 婚 す る 」 な ら 「 結 婚 生 活 」、「 (花 が )散 る 」 な ら 「 花 が地上にある」というように、動詞の表す意味に付随して、ある結果をもたらす よ う な タ イ プ を 、結 果 動 詞 と 呼 ん で い る 。こ れ に 対 し て 、 「 一 瞥 す る 」な ど の よ う に、何らの結果ももたらさないものもあるとし、継続動詞及び瞬間動詞は、結果 動詞と結果動詞でないものに二分されるとしている。. 9. 6.

(14) 第 1 章 先行研究とその問題点. ( 姫 野 1999) 一 方 、( 9)( 10) の よ う に 、 瞬 時 の 動 作 ・ 作 用 の 変 化 を 表 す 動 詞 、 す な わ ち 変 化 の 過程 を 持 た な い も の にカ ケ ル が つ く と、将 現 態 し か 表 さ な い と 述 べ て い る。 ( 9)「 百 メ ー トル も 歩 か な い う ち に、腹 が 立 っ て き た 。太 い コ ン ク リ ー ト の 電 柱 に ぶ つ か り か け る 。ゴ ミ の ポ リ バ ケ ツ に つま づ き か け る 。」( 新聞 ) ( 10)世 界 シ オニ ス ト 機 構 の ゴ ー ルド マ ン 総 裁 が ナ セ ル大 統 領 の 招. 政 治 大. き で カ イ ロ を 訪問 し か け た こ と が あっ た 。( 新 聞 ). 立. ( 姫 野 1999). ‧ 國. 學. 姫 野( 1999)は 、瞬 間 動 詞 を そ れ ぞれ 、結 果 動 詞 が あ るも の と な い も の に 分 け 、 結 果 動 詞 が あ る 場 合 は 、( 8) の よ う に 、 変 化 の 過 程 を 持 ち 、 始 動 態 の 解 釈 に な る が 、 結 果 動 詞 が な い 場 合 は 、( 9)( 10) の よ う に 、. ‧. 将 動 態 の 解 釈 に し か な ら な い と し て い る が 、「 瞬 間 動 詞 + カ ケ ル 」 に お. y. Nat. い て 、 金 田 一 ( 1976b) で は 将 現 態 と 解 釈 さ れ て い た も の が 、( 8) の よ. sit. う に 変 化 の 過 程を 持 つ 場 合 、なぜ 始 動 態 に 解 釈 さ れ る ので あ ろ う か 。確. er. io. か に 、 金 田 一 が 挙 げ た 「 死 に か け る 」「( 電 気 が ) 消 え か け る 」 に 比 べ 、. al. 「 蕾 が 開 き か ける 」は 、 変 化 の 過程 を 持 つ と 考 え ら れ そう で あ る 。 し か. n. v i n し 、 こ こ で も 姫 野 は 、「 瞬 間 おいて、結果動詞にカケ C動h詞 + カ ケ ル 」 に U i e h n g cる の か 、そ れ に対 し て 、結 果 動 詞 ル が つ く 場 合、な ぜ 始 動 態 の 解 釈 にな で な い 動 詞 に カケ ル が つ く 場 合 は、な ぜ 将 現 態 の 解 釈 にな る の か に つ い て 、 具 体 的 な 説明 を 行 っ て い な い 。 カ ケ ル 構 文 に おい て 、始 動 態 の 解釈 に な る の か 、或 いは 将 現 態 の 解 釈 に な る の か を、金 田 一 は 継 続 動 詞 か瞬 間 動 詞 か の 区 別 によ り 、姫 野 は 金 田 一 の 解 釈 に 結果 動 詞・非 結 果 動 詞 の 分 類 を 取 り 入 れ るこ と に よ り 、 解 決 を 図 ろ う と はし て い る も の の 、両 者 の 説 明 で は、「 継 続 動 詞 + カ ケ ル」 「 瞬 間 動 詞 + カケ ル 」と もに 始 動 態 或 い は 将 現 態 の 解 釈が 成 り 立 つ こ と に な り 、こ の よ う な 分 類 か ら で は 、カ ケ ル 構 文 の 解 釈 の異 な り を 説 明 す る の に は 不 十 分で あ る こ と が わ か る 。こ の こ と か ら、カ ケ ル に 前 接 す る 動 詞 が、継 続 動 詞 か 瞬 間 動 詞 か で カケ ル 構 文 の 解 釈 が 異な っ て く る と い. 7.

(15) 第 1 章 先行研究とその問題点. う 考 え 方 は 、 修正 さ れ る 必 要 が あ ろう 。 第3節. 岸 本 ( 2000). 岸 本 (2000) で は 、( 11a)( 11b) の よ う な 場 合 、 解 釈に 2 つ の 可 能 性 が あ る と し て いる 。 ( 11) a. 太 郎 は 走 り か け た 。 b. 太 郎 は 本 を 読 み か けた 。 1 つ は、「 走 る」「 読 む 」 と い う 行 為に 入 り そ う に な っ たが 、 実 際 に は. 治 政 行 為 に 入 っ て 少な く と も そ の 途 中 まで 行 っ た と 大い う 解 釈で 、前 者 を「 開 始 前 読 み」、 後 者 を 「 途立 中 読 み 」 と呼 ん で い る 。 そ れ ら の 行 為 に及 ば な か っ た 解 釈 、も う 1 つ は、「 走 る 」「 読 む 」と い う 10. ‧ 國. 學. ま た 、( 12) の よ う な 場 合 、 実 際 に は 消 え な か っ た の で あ る が 、 消 え そ う に な っ た とい う 開 始 前 読 み の 解釈 し か 存 在 し な い とし て い る 。. ‧. ( 12) こ の ろ うそ く は ( い っ た ん )消 え か け た 。. sit. y. Nat. ( 以 上 、 岸本 2000). er. io. 岸 本 は、 ( 11)で は 開 始 前 読 み・途 中 読 み の 両 解 釈 が でき 、一 方、 ( 12). al. で は 後 者 の 解 釈し か で き な い 理 由 が、動 詞 の 語 彙 的 ア スペ ク ト に あ る と. n. v i n し 、( 11)の「 走 る」「 読 むC 」は 、そ れ ぞ れ 、Vendler(1697)に よ る 動 詞 hengchi U の 4 分 類 の う ち 、 活 動 動 詞 、 完 成動 詞 と 解 釈 さ れ 、 動詞 の 意 味 に あ る 11. 程 度 の 時 間 幅 が含 意 さ れ る の に 対 し、 ( 12)の「 消 え る 」は 達 成 動 詞 12 で 、. 岸 本 ( 2000) は 、 Tujimura and Iida( 1999) が 「 inception reading」 と 呼 ぶ も の を 開 始 前 読 み 、Toratani( 1997)及 び Tujimura and Iida( 1999)が「 halfway reading」 と 呼 ぶ も の を 途 中 読 み と 呼 ん で い る 。ま た 、高 見・久 野( 2006)で は 、こ の inception reading と halfway reading を 紹 介 し 、前 者 は 、動 詞 が 表 す 事 象 が ま だ 始 ま っ て お ら ず、これからまさに始まろうとしていることを示し、後者は、動詞が表す動作が まだ終わっておらず、その途中であることを示すと説明している。 11 Vendler ( 1957)の 分 類 で は 、run は activity terms で 、read a novel は accomplishment terms で あ る こ と か ら 、 岸 本 の 言 う 完 成 動 詞 は 、 accomplishment terms に 相 当 す る と考えられる。 12 岸 本 ( 2000) で は 、 achievement terms を 「 達 成 動 詞 」 、 accomplishment terms を 「 完 成 動 詞 」 と 呼 ん で い る が 、 本 稿 で は 、 影 山 ( 1996) に 従 い 、 前 者 を 「 到 達 動 詞 」、 後 者 を 「 達 成 動 詞 」 と 呼 ぶ 。 10. 8.

(16) 第 1 章 先行研究とその問題点. 出 来 事 の 達 成 に時 間 幅 が な く 、よ っ て 、出 来 事 の 初 期 状態 と い う の は 存 在 し な い た め、途 中 読 み が 許 さ れ ず、開 始 前 読 み の 解 釈し か 存 在 し な い としている。 岸 本 は 、Vendler の 動 詞 の 4 分 類 を もと に 、動 詞 の表 す 出 来 事 に 時 間 幅 が 含 意 さ れ る かど う か に 着 目 し、時 間 幅 の 有 無 に よ り、カ ケ ル 構 文 の 解 釈 が 決 ま る と して い る 。そ の 上 で、時 間 幅 を 持 つ 動 詞 は、そ の 時 間 幅 を 持 つ と い う 性 質か ら 、途 中 読 み の 解 釈 が 可 能 に な る と 同時 に 、そ の 出 来 事に至るまでの過程を表す開始前読みの解釈も許されると述べており、 な る ほ ど こ の 時間 幅 の 有 無 は、カ ケ ル 構 文 の 解 釈 に 影 響を 与 え て い る と 言 え る か も し れな い 。 た だ 、 こ こ でも い く つ か 問 題 が ある 。 ま ず 、活 動 動 詞 や 達 成 動 詞 ( 岸 本( 2000)で の完 成 動 詞 ) が 持 つ 時 間. 治 政 も 、「 蹴 る 」 や 「 叩 く 」 な ど の よ う に 、 時 間 幅 大を 持 つ と は 言 い が た い も 立の 活 動 動 詞が 時 間 幅 を 持 つ と は限 ら な い こ と が の あ る こ と か ら、す べ て 幅 と い う の は 何を 指 し て い る の か、と い う こ と で あ る。活 動 動 詞 の 中 に. ‧ 國. 學. わ か る 。で は、活 動 動 詞 の う ち 、ど の よ う な タ イ プ が 時間 幅 を 持 つ の か 、 なぜ時間幅を持ち得るのかということを明らかにすることが必要にな っ て く る 。次に 、 到 達 動 詞 ( 岸 本( 2000)で の 達 成 動詞 ) は 出 来 事 の 達. ‧. 成 に 時 間 幅 が ない と し て い る が 、 確か に Vendler の 定 義 で は 、 到 達 動 詞. y. Nat. は 「 着 く 」「 死 ぬ 」 の よ う な 瞬 間 的 は 変 化 を 表 す 。 し か し 、 変 化 を 表 す. sit. 動 詞 に は、「 枯 れ る 」「 腐 る 」の よ う な 、時 間 の か か る と思 わ れ る も の も. er. io. 存 在 し 、この よ う な 動 詞 の 場 合、変 化 ま で の 時 間 幅 が 動詞 の 意 味 に 含 意. al. さ れ る と 言 え そう で あ り 、こ こ でも 、変 化 を 表 す 動 詞 のう ち 、ど の よ う. n. v i n な タ イ プ が 時 間幅 を 持 つ のC か、な ぜ 時 間 幅 を 持 ち 得 る のか と い っ た 原 因 he gchi U を 明 ら か に す るこ と が 必 要 な の でn はな い だ ろ う か 。 こ れ ら の 問 題 から わ か る こ と は 、動 詞 が 継 続 的 か 瞬 間 的か 、時 間 幅 が あるかどうかといった視点からの分類だけでは、カケル構文が呈する 様 々 な 現 象 を 捉え き れ な い と い う こと で あ る 。こ こで 、新 し い 観 点 か ら カ ケ ル 構 文 の 解釈 を 試 み た の が 、 宮腰 ( 2009a) で ある 。 第4節. 宮 腰 ( 2009a). 宮 腰(2009a)で は 、ま ず 、事 象 の 成 立 点 13 に つ い て 、以 下 の よ う に 説 宮 腰( 2009a)は 、こ の 事 象 の 成 立 点 と 、「 並 行 事 象 構 造 」と い う 新 し い 理 論 を 用いてカケル構文について説明を試みているが、本稿ではこの並行事象構造は扱 わ な い 。 こ れ つ い て は 、 宮 腰 ( 2009a) を 参 照 の こ と 。 13. 9.

(17) 第 1 章 先行研究とその問題点. 明している。 … … ほ と ん ど の事 象 に は「 そ こで そ の 事 象 が 成 立 し た と言 え る 時 点 」が あ り、そ れ は そ の 事 象 を 表 す動 詞 の 語 彙 的 意 味 とそ の 項 や あ る 種 の 修 飾 成分 か ら 合 成 的 に 決 まる 。そ し て 、あ る事 象 が 成 立 し た か ど う か はそ れ を 既 然 形「 -シ タ 」で 表 す こ と が でき る か で 客 観 的 に テ ス トで き る 。例 え ば <ド ア を 閉 め る > の 場 合、成 立 点 は た い て い 完 結点 、つ ま り < 行 為 主に よ る 働 き か け の 結果 ド ア が 完 全 に 閉 ま っ た 時 点 > と な る 。 し た が っ て 、「 ド ア を 閉 め た 」 と 言 え る の は 、 たい て い そ の 時 点 で ある 。 ( 宮 腰 2009a). 治 政 そ し て 、宮 腰 が 挙 げ て い る 動 詞( 句 )の 例 と 大、そ れ ら を 事 象 の 成 立 点 立も の が 以 下の 表 1 で あ る 。 宮 腰 は 、 成 立 点 が、 に よ り 分 類 し 、ま と め た ‧ 國. 結 点 に あ る タ イプ の 3 つ に つ い て言 及 し て い る 。. 走る. ドアを叩く. ‧. ⅱ. ⅲ. ドアが閉まる. y. Nat. ⅰ. 學. ⅰ )始動 点 に あ る タ イ プ 、ⅱ )始 動 点 か つ 終 止 点 に あ るタ イ プ 、ⅲ )完. ドアが開く. 火が消える. 博士論文を書く. n. al. er. sit. ドアを閉める. io. ワインを飲む. Ch. e n表g1 c h i U. v n i 夕食を作る. 次 に 宮 腰 は 、こ の 成 立 点 が 、カ ケル 構 文 の 解 釈 に 影 響 を与 え て い る と し 、「 か け 」 の 意 味 ・ 機 能 を ( 13) の よ う に 規 定 、 そ れ が 指 向 す る 事 象 局 面 「 将 然 相 」を ( 14) の よ う に 定義 し 、 ( 13)「 か け 」 と は 動 詞 の 連 用 形 に 付 き 、 そ れ ( を 主 要 部 と す る 句 や 文 )が表 す 事 象 の 将 然 相 を 前 景化 す る 派 生 接 辞 で ある 。 (14) 将然 相 と は 事 象 の 成 立へ 向 け た 準 備 | 前 兆局 面 で あ る 。 カ ケ ル 構 文 の 意味 解 釈 を 「 開 始 前 読み 」 と 「 途 中 読 み 」と 呼 び 、 2 つ に. 10.

(18) 第 1 章 先行研究とその問題点. 分 け て い る 。 宮腰 が 挙 げ て い る カ ケル 構 文 の 例 を 、 2 つ の 意 味 解 釈 に よ り 分 類 し 、まと め た も の が 以 下 の表 2 で あ る 。Ⅰ)が 開 始 前 読 み の 解 釈 の 例 、 Ⅱ ) 途 中読 み の 解 釈 の 例 で ある 。 Ⅰ. Ⅱ. (15) ド ア が 開き か け た. ( 19) ド ア が 閉ま り か け た. (16) ワ イ ン を飲 み か け た. ( 20) ワ イ ン をま る ま る 一 本 飲. (17) ド ア を 叩き か け た. みかけた. (18) 火 が 消 えか け た. ( 21) 博 士 論 文を 書 き か け た ( 22) 夕 食 を 作り か け た 表2. 政 治 大 表 2 の 諸 例 は 、 宮 腰 の 説 明 に よ ると 、(15) で は 「 ドア が 開 く 」 は 少 立 し で も 扉 が 開 いた 時 点 で「 開 い た」と 言 え る た め 、 そこ が 成 立 点 と な り 、( 16)で は「 ワ イ ン を 飲 む 」の 成立 点 は 行 為 主 が ワ イン を 口 か ら 摂 取. ‧ 國. 學. 14. し た 時 点、( 17)で は「 ド ア を 叩く 」の 成 立 点 は 叩 い た瞬 間 、( 18)で は. ‧. 火が消えた瞬間が成立点で、いずれも始動点前の将然相が前景化され、 開 始 前 読 み に な る と し て い る 15 。 そ れ に 対 し て 、( 19)「 ド ア が 閉 ま る 」. y. Nat. の 成 立 点 は ド アが 完 全 に 閉 ま っ た 時点 と な り 、将 然 相 は 完 結 点 へ と 至 る. sit. 変 化 過 程 の 局 面、( 20)は 、「 ワ イ ン を 飲 む 」のワ イ ン が「 ボ ト ル 1 本 の. er. io. ワ イ ン」と 限 定 さ れ 、そ れを「 ま る ま る 飲 む 」と な る と 、成 立 点 は そ れ. al. n. v i n Cのhよ う な 作 成 事 U ( 21)( 22) に つ い て は 、 こ e n g c h i 象は本来的には産物が完成. を完全に飲み干した時点である完結点となり、将然相はその前の局面、 し た 時 点 が 完 結点 で 、い ず れ も将 然 相 は 行 為・変 化 が あ る 程 度 進 行 し た 局 面 で あ り 、 いず れ も 途 中 読 み に なる と し て い る 。 宮 腰 ( 2009a) は 、「 ド ア が 開 く 」 の 場 合 、 少 し で も ド ア が 動 い た 時 点 で 「 開 い た」と言えるため、そこを成立点とみなせば、将然相は始動点前の局面となり、 カ ケ ル 構 文 で は 、開 始 前 読 み の 解 釈 に 、一 方 、ド ア が そ の 機 能 を 果 た し た 時 点( 例 えば人がなんとか通れるくらいまで扉が開いた時点)を成立点とみなせば、扉が わずかに開いた(が人はまだ通れない)局面が将然相となり、カケル構文では、 途中読みの解釈になるが、変化直後の時点を成立点とみなす話者(または状況) の方が比較的多いため、開始前読みの方が優勢だと結論づけている 。しかし本稿 では、ドアが「少しでも動いた時点」も「その機能を果たした時点」も、ドアが 開 く 過 程 上 の 一 時 点 で あ り 、完 全 に 開 い た 瞬 間 が 、 「 ド ア が 開 く 」と い う 事 象 の 成 立点であると考える。これについては、第 2 章で述べる。 15 表 2 に 示 し た よ う に 、宮 腰( 2009a)で は 、 「 火 が 消 え る 」の 成 立 点 を 完 結 点 に あるとしながら、カケル構文では、開始前読みになるとしている。 14. 11.

(19) 第 1 章 先行研究とその問題点. こ の 事 象 の 成 立点 を 用 い た 考 え 方 は、確 か に 、カ ケ ル構 文 の 解 釈 を 考 え る 上 で 、非常 に 示 唆 に 富 む も の であ り 、表 2 を 見 る限 り で は 、継 続 動 詞 か 瞬 間 動 詞 か、動 詞 の 意 味 に 時 間幅 が 含 意 さ れ る か どう か を も と に し た 解 釈 よ り も、核 心 を つ い て い る よう に 思 わ れ る 。した が っ て 、本 稿 で も 基 本 的 に は 宮腰 の 主 張 を 支 持 す る 。し か し 、問 題 が な い わ け で は な い。 ま ず 、表 1 では 動 詞( 句 )を その 成 立 点 か ら 3 つ の タ イプ に 分 け て は い る が 、例 え ば 、対 象 が 状 態 変 化 を起 こ す と い う 観 点 から 見 た 場 合、 「ド ア が 閉 ま る」「 ド ア が 開 く」「 火 が 消 え る 」 は 、 1 つ の タ イ プ に ま と め る ほ う が 自 然 で はな い だ ろ う か 。こ の こ と か ら 、宮 腰 の 主 張 す る 動 詞( 句 ) の 成 立 点 に 再 検討 を 加 え 、よ り 客 観 的 な 視 点 か ら の 分 類を 試 み る 必 要 が あ る と 思 わ れ る。動 詞 を 明 確 に 分 類 す る こ と に よ り、カ ケ ル 構 文 に お け. 治 政 次 に 、宮 腰 の途 中 読 み に お け る 、将 然 相 が 前 大景 化 さ れ る局 面 の 説 明 と 立へ と 至 る 変 化 過 程 の 局 面 」、( 20) で は 「 ワ イ ン し て 、( 19) で は 「 完 結. る 解 釈 も 、 よ り体 系 的 に 、 詳 細 に 記述 で き る で あ ろ う 。. ‧ 國. 學. を 完 全 に 飲 み 干 し た 時 点 、 つ ま り 完 結 点 の 前 の 局 面 」、( 21)( 22) で は 「 行 為・変 化が あ る 程 度 進 行 し た 局面 」と あ り 、い ずれ も 途 中 読 み の 解 釈 に な る と し てい る が 、前景 化 さ れ る 局 面 の 説 明 に 統 一性 が な い こ と が. ‧. 挙 げ ら れ る。な ぜ 同 じ 途 中 読 み の 解釈 に 、こ の よ うに 違 っ た 局 面 の 状 態. y. つ 語 彙 的 意 味 によ る も の で あ る と 考え る 。. sit. Nat. が 生 じ 得 る の であ ろ う か 。本 稿 では 、こ の 原 因 が 、それ ぞ れ の 動 詞 が 持. er. io. 最 後 の 問 題 と して 、 宮 腰 の 説 明 で は 、金 田 一 、姫 野 、岸 本 の 先 行 研 究. al. で 取 り 上 げ た 種々 の 問 題 が 解 決 で きな い と い う こ と が 挙げ ら れ る 。先 行. n. v i n 研 究 の 問 題 を 放置 し た ま まC 、新た な 理 論 を 提 示 す る の では な く 、 上 記 の he gchi U 問 題 が 全 て 解 決で き る よ う な 、包n 括 的 な 分 析・考 察 が な さ れ る 必 要 が あ る。 第5節. Tujimura and Iida( 1999)、三 原( 2004)、高 見・久 野( 2006)、 村 尾 ( 2009). 既 に 述 べ た よ うに 、い ず れも V カ ケ 構 文 を テ ー マ に 扱 った も の で あ り、 V カ ケ 構 文 の V カ ケ が 、カ ケ ル 構 文か ら 派 生 し た も の であ る と い う 立 場 を と る 本 稿 で は、ま ず 、カ ケ ル 構文 の 分 析・考 察 を 行う こ と が 先 決 だ と 考 え る の で 、 ここ で は 先 行 研 究 と して 取 り 挙 げ な い 。 以 上 、先 行 研究 を 取 り 上 げ 、問 題点 を 指 摘 し て き た が、上 記 の 種 々 の. 12.

(20) 第 1 章 先行研究とその問題点. 問 題 を 解 明 す るた め に は 、ま ず、 客 観 的 且 つ 簡 明 な 、そ れ で い て 全 体 を 見 渡 せ る よ う な動 詞 の 分 類 が 必 要 不可 欠 で あ る と 思 わ れる 。い ず れ の 研 究 に お い て も 、動 詞 の 分 類( 語 彙 的 ア ス ペ ク ト )を も と に 、カ ケ ル 構 文 に お け る 解 釈 の違 い を 説 明 し よ う とし て い る が、こ の 動 詞 分 類 の 定 義 が 脆弱なものであり、その結果、それを土台にしたカケル構文の解釈も、 不 完 全 で 、簡 単 に 崩 れ や す い も の にな っ て い る 。そ れ を 避 け る た め に も、 明 確 な 理 論 に 基づ い た 動 詞 分 類 が 必要 で あ ろ う 。次章 で は 、個 々 の 動 詞 が 持 つ 意 味 概 念で あ る LCS に 基 づ き 、 動 詞 の 分 類 を 行う 。. 立. 政 治 大. ‧. ‧ 國. 學. n. er. io. sit. y. Nat. al. Ch. engchi. 13. i n U. v.

(21) 第 2 章 動詞の成立点とカケル構文の解釈. 第2章 動詞の成立点とカケル構文の解釈 先 行 研 究 で 取 り上 げ た 問 題 を 解 決 する た め に は 、ま ず 、動 詞 を 分 類 し、 それぞれの動詞が持つ成立点について考えなければならない。以下、 Vendler の 動 詞 の 4 分 類 に 基 づ き 動詞 を 分 類 し 、 そ の LCS か ら 、 そ れ ぞ れ の 動 詞 の 成 立点 を 探 る 。さ ら に、そ の 成 立 点 が 、カケ ル 構 文 の 解 釈 を 決 定 す る と い う主 張 を 展 開 す る 。 第1節. Vendler の 動 詞 の 四 分 類. 治 政 ま ず 、ど の よ う な 動 詞 が 、ど こ に そ の 成 立 点大 を 持 っ て いる か に つ い て 、 宮 腰 (2009a) は 以 下 の立 ように述べている。 ‧ 國. 學. … 成 立 点 は 事 象が 非 完 結 タ イ プ(例 え ば < 走 る > )の場 合 は た い て い 始 動 点( 直後 )と な り( 走 り だし た 瞬 間 に「 走 っ た」と 言 え. ‧. る )、 完 結 タ イ プ ( 例 え ば < 閉 ま る > ) の 場 合 は た い て い 完 結 点 ( 宮 腰 2009a). er. io. sit. y. Nat. となる。. al. 非 完 結 タ イ プ 、完 結 タ イ プ と い う のは 、Vendler( 1967)の 動 詞 の 4 分. n. v i n 類 に お け る 、 状 態 動 詞 と 活C 動 動 詞 ( 非 完 結 タ イ プ )、 到 達 動 詞 と 達 成 動 he gchi U 詞( 完 結 タ イ プ )の こ と だ と 考 えn られ る 。以 下 、Vendler( 1967)の 動 詞 の 4 分 類 を 挙 げる 。 状態動詞. have, desire, want, love, know, believe, …. 活動動詞. run, walk, push, swim, pull, …. 到達動詞. recognize, reach the summit, win the race, die, …. 達成動詞. run a mile, draw a circle, read a novel, recover from illness, …. 15.

(22) 第 2 章 動詞の成立点とカケル構文の解釈. 上 述 の 4 分 類 につ い て 、 三 原 (2004) は 以 下 の よ う に 述べ て い る 。 … ま ず 状 態 性 の 基 準 に よ っ て 、 状 態 ( state) 動 詞 を 取 り 出 し 、 次 に 限 界 性( 完 了 性 と も 言 う )の 基 準 に よ っ て 、動 作 に 必 然的 な 終 わ り が な い 活 動 ( activity) 動 詞 を 孤 立 さ せ る 。( 終 わ り が な い 動 詞 を 非 限界 動 詞 、終 わ り が あ る 動 詞 を 限 界 動 詞 と言 う )。 そ し て 、限 界 動 詞 を 、瞬 間 性 の 基 準 に よ っ て 、動 作 が 瞬 間 的に 遂 行 さ れ る 到 達( achievement)動 詞 と 、動 作 を 行 う の に時 間 を 要 す る 達 成 ( accomplishment) 動 詞 に 区 分 す る 。 ( 三 原 2004). 治 政 を 持 た ず 、非 完 結 的 で あ り 、動詞 の 表 す 動 き に 大終 わ り があ る 到 達 動 詞 と 立性( 完 了 性 )を 持 ち 、完 結 的 で あ る と い う こ と 達 成 動 詞 は 、と も に 限 界. つ ま り 、動 詞 の 表 す 動 き に 終 わ り がな い 活 動 動 詞 は 、限 界 性( 完 了 性 ). ‧ 國. 學. が 言 え る 。で は 、ど う し て 活 動 動 詞は 限 界 性( 完 了 性 )を 持 た な い の に 対 し て 、到達 動 詞 と 達 成 動 詞 は 持 ち得 る の だ ろ う か。こ の こ と に つ い て は 後 で 述 べ る とし て 、こ こ で は ま ず 、活 動 動 詞 、到 達 動 詞 、達 成 動 詞 の. y. Nat. io. sit. 活動動詞の成立点. er. 第2節. ‧. 成 立 点 が ど こ にあ る の か に つ い て 見て い く 16 。. al. 宮 腰 ( 2009a) の 言 う よ う に 、 非 完 結 タ イ プ で あ る 「 走 る 」 の よ う な. n. v i n 活 動 動 詞 の 場 合、成 立 点 はC ど う し て始 動 点 に あ る の だ ろう か 。こ の タ イ hengchi U プ の 動 詞 が 示 す成 立 点 に お い て 、副 島( 2007)は 、以 下 の よ う に 指 摘 し ている。 …〈 非 限 界 性 〉に お け る 限 界 が「 状 況 の 成 立 点 」で あ る と いう こ と に 焦 点 を 当 て る な ら 、〈 非 限 界 性 〉 の 場 合 、 状 況 の 成 立 点. にあたるのは動きの開始点であると考えることが可能である。 す な わ ち 、〈 非 限 界 性 〉 も そ の 開 始 点 に お い て 、 動 い て い な い. 日 本 語 の 状 態 動 詞 に は 、「 い る 」「 あ る 」「 で き る 」 な ど が あ る が 、 そ も そ も 状 態 動 詞 は 事 象 の 成 立 点 を 持 た な い( こ の 理 由 に つ い て は 、第 4 節 で 述 べ る )。従 っ て 、カ ケ ル 構 文 で は 用 い ら れ な い の で 、こ こ で は 考 察 対 象 か ら 外 す 。た だ 、Vendler の 4 分類で挙げた状態動詞の例は、日本語における状態動詞の分類とは必ずしも 対応しているわけではない。 16. 16.

(23) 第 2 章 動詞の成立点とカケル構文の解釈. 状 態 か ら 動 い てい る 状 態 へ の 変 化 を内 包 し て い る と 言 える 。し た が っ て 、〈 非 限 界 性 〉 の 動 詞 と い う の は 、 厳 密 に は 「 限 界 を 持 た な い 動 詞 」 で は な く 、「 限 界 が 動 作 の 開 始 点 で あ る 動 詞 」 で あ る と も 言 える だ ろ う 。 ( 副 島 2007) 副 島 の 言 う 、動 き の 開 始 点 と い う のは 、非 限 界 動 詞 で ある 活 動 動 詞 が 持 つ 成 立 点 だ と考 え ら れ る。こ の こ と に つ い て、三 原( 2007)で は 、 ( 23) の 「 歩 く 」「 叱 る 」 の よ う な 活 動 動 詞 を 動 作 持 続 の テ イ ル 形 に す る と 、 事 態 が 既 に 成 立し た こ と を 示 す 現 象 を 指 し 、こ れ を「 未 完 了 の 逆 接 」と 呼 ん で い る 17 が 、 活 動 動 詞 を テ イ ル 形 に す る と 、 事 態 が 既 に 成 立 し た こ. 政 治 大. と を 表 せ る の は、活 動 動 詞 の 事 象 の成 立 点 が 動 き の 開 始点 に あ る 証 拠 で あ る と 言 え よ う。. 立. ‧ 國. 學. ( 23) a. 赤ち ゃ ん が 歩 い て い る。( → 赤 ち ゃ ん が 歩 いた ) b . 母 親 が 子 供 を 叱 っ て い る 。( → 母 親 が 子 供 を 叱 っ た ) ( 三 原 2004). ‧. y. Nat. こ れ に 対 し て、( 24)の「 作 る」「 建 て る 」の よ う な 達 成 動 詞 を テ イ ル. er. io. sit. 形 に し て も 、 事態 が 成 立 し た こ と は表 さ な い と し て い る。. al. (24) a. 山 本 さ ん が 桶 を 作 って い る。( ×→ 桶 を 作っ た ). n. v i n b . 菜 穂 子 が 納C屋 を 建 て て い る 。( × → 納 屋 を 建 て た ) hengchi U ( 三 原 2004). ま た、 「動く」 「 押 す 」な ど も 、動 き 始 め た 瞬 間 、押 し 始 め た 瞬 間 に「 動 い た 」「 押 し た 」 と 言 え る こ と か ら 、 活 動 動 詞 の 成 立 点 は 、 動 き の 開 始 点 に あ る と 言 え る で あ ろ う 18 。 本 稿 で は 、 こ の よ う な 活 動 動 詞 の 成 立 点 岩 本( 2008)で は 、 「 非 完 結 相 逆 説( imperfective paradox)」と 呼 び 、run や walk のような動詞によって表される動作は、 「 John is running→ John has run」の よ う に 、 その進行形の意味が完了の意味を含意すると述べている。 18 高 橋 ( 2003) で は 、 こ の よ う な 動 き の 開 始 点 を 、 「始発の局面」として捉え、 眼前で持続的な動作の始発の局面が成立したとき、それをいちはやくみつけて、 完成相の過去形でいうことがあると述べている。 (ⅰ)佐藤、第 2 球。ランナーがはしりました。ボー。うった。 ( ⅱ )( あ か ん ぼ う が は じ め て ) あ る い た 、 あ る い た 。 17. 17.

(24) 第 2 章 動詞の成立点とカケル構文の解釈. を 、活 動 動 詞の LCS で あ る ACT 19 が 示 す 成 立 点 と い う 意 味か ら 、 「 A(CT) 成 立 点 」 と 呼 んで お く 。 第3節. 到達動詞の成立点. 先 程 も 見 た よ う に 、 宮 腰 ( 2009a) は 、 完 結 タ イ プ ( 例 え ば < 閉 ま る > )の 場 合 、成 立 点 は た い て い 完 結点 と な る と 述 べ て いる が 、で は 、な ぜ こ の「 閉 まる 」の よ う な タ イ プ の動 詞 は 、 成 立 点 が完 結 点 に な る の で あ ろ う か 。この タ イ プ の 動 詞 は 、影 山( 2008)や 吉 田( 2012)な ど で も 指 摘 さ れ て い るよ う に 、金田 一 の 動 詞 の 4 分 類 に お け る 瞬 間 動 詞 に 相 当 し 、「 消 え る 」「 倒 れ る 」「 落 ち る 」 と い っ た タ イ プ の 動 詞 を 指 す 。 そ れ. 治 政 点 、つ ま り 事象 の 成 立 点 で あ る と 言え る の で あ 大る が 、本 稿 で は 、こ の よ う な 到 達 動 詞 が 示 す 成立 立 点 を 、 完 結 点 や 終 了 点 と は 呼 ば ず 、「 変 化 点 」 ぞ れ 、消 え た 瞬 間 、倒 れ た 瞬 間 、落 ち た 瞬 間 が 、動 詞 の 表 す 動 き の 成 立. ‧ 國. 學. と 呼 ぼ う と 思 う。到 達 動 詞 の 類 は、い ず れ も 動 詞 の 表 す動 き 、つ ま り 変 化 を 境 に 、対象 に 状 態・位 置 変 化 が 生 じ 、変 化 前 と 変化 後 で は 状 態 が 異 な っ て い る と 考 え ら れ る か ら で あ る 。 例 え ば 、「 消 え る 」「 倒 れ る 」「 落. ‧. ち る 」な ら 、そ れ ぞ れ「 消 え て い な い 状 態 か ら 消 え て いる 状 態 」へ の 変. y. Nat. 化、「 倒 れ て い な い 状 態 か ら 倒 れ てい る 状 態 」 へ の 変化 、「 落 ち て い な い. sit. 状 態 か ら 落 ち てい る 状 態 」へ の変 化 と い っ た 具 合 に。こ の 変 化 の 境 界 点. er. io. が 変 化 点 に 当 たる の で あ る 。し たが っ て 、到 達 動 詞 の成 立 点 は 、変 化 点. al. に あ り 、こ の 変 化 点 を 、到 達 動 詞 の LCS で あ る BECOME 20 が 持 つ 成 立 点. n. v i n と い う 意 味 か ら、「 B(ECOME) C h 成 立 点 」 と 呼Uん で お く。 engchi 第4節. 達成動詞の成立点. で は 、 達 成動 詞 の 成 立 点 は ど こ に ある の だ ろ う か 。 宮 腰 ( 2009a) は、 「 論 文 を 書 く 」「 夕 食 を 作 る 」 の よ う な 作 成 事 象 は 、 本 来 的 に は 産 物 が ( ⅲ )( だ れ か が く い は じ め る の を 、 い ち は や く み つ け て 、) あ 、 く っ た 。 し か し 、 上 記 の 例 に お け る 「 は し り ま し た 」「 あ る い た 」「 く っ た 」 は 、 動 き と し て の 開 始 を 表 し 、終 了 は 表 し て い な い た め 、 「 完 成 相 の 過 去 形 」と 同 列 に 扱 う こ と は問題であろう。 19 影 山( 1996)で は 、活 動 動 詞 に 共 通 す る 意 味 特 徴 を 表 す 概 念 を 、ACT で 示 し て いる。 20 影 山 ( 1996) で は 、 到 達 動 詞 は 位 置 変 化 、 状 態 変 化 を 表 す と し 、 そ の LCS を BECOME と い う 概 念 を 用 い て 示 し て い る 。. 18.

(25) 第 2 章 動詞の成立点とカケル構文の解釈. 完 成 し た 時 点 が完 結 点 で あ る と し てい る が 、論文 執 筆 や 夕 食 作 り が 少 し で も な さ れ た ら 「( 少 し は ) 書 い た | 作 っ た 」 と 言 え る の で 、 始 動 点 を 成 立 点 と み な せな い こ と も な い と も 指 摘 し て い る 21 。ま た 、仁 田( 2010) も 同 様 に 、「 書 く 」 の 類 は 最 後 の ピ リ オ ド を 打 つ こ と が 書 き 終 え る た め に は 必 要 に な る が 、 書 き 始 め れ ば 、「 書 い た 」 こ と に な る と 述 べ て い る こ と か ら 、こ の よ う な タ イ プ の 動 詞の 成 立 点 は 、動き の 完 結 点 に だ け で な く、動 き の 開 始 点 に も あ る と 考 えら れ る 。第 1 節 で 、 ( 23)の よ う に 、 活 動 動 詞 を テ イル 形 に す る と 、事 態 成 立 を 含 意 す る 一 方 、達 成 動 詞 の 場 合 、( 24) の よ う に 、 テ イ ル 形 に し て も 事 態 成 立 を 含 意 し な い こ と を 見 た が 、 実 は 、( 24) は 、「 作 り 始 め た 」「 建 て 始 め た 」 こ と は 含 意 し て お り 、 こ の 「 作 り 始 め た 」「 建 て 始 め た 」 時 点 が 、 開 始 の 成 立 点 と 考 え ら. 治 政 こ れ ら の こ と から 、達 成 動 詞 に お ける 成 立 点 大は 、動 詞の 表 す 動 き の 開 立と 考 え ら れる が 、 で は、な ぜ 達 成 動 詞 に は 成 立 始 点 に も 完 結 点に も あ る. れるのである。. ‧ 國. 學. 点 が 2 つあ る の だ ろ う か 。 そ れ は 、達 成 動 詞 の 語 彙 概 念構 造 ( LCS) か ら 説 明 で き る 。以 下 に 影 山 (2008)を も と に した LCS を 示 す 。. ‧. ]y BE AT-[. 活動動詞:[. ]x ACT ま た は [. ]y]CAUSE [BECOME[. n. al. ]z]. Ch. ]y. y. ]y BE AT-[. ]x ACT ON-[. io. 達 成 動 詞 : [[. ]x ACT ON-[. sit. 到 達 動 詞 : BECOME[[. ]z. er. Nat. 状態動詞:[. e n g表c3h i. v i n U( 影 山. ]y BE AT- [. 2008. ]z]]. 一部修正). 活 動 動 詞 の 成 立点 は 、動 き の開 始 点 で あ る A 成 立 点 に あ り 、到 達 動 詞. 宮腰は、 「 論 文 執 筆 や 夕 食 作 り が 少 し で も な さ れ た ら「( 少 し は )書 い た | 作 っ た 」と 言 え る 」と し て い る が 、確 か に「 少 し は 書 い た 」の 場 合 は 、 「書き始めたが、 ま だ 書 い た 量 が 少 し で あ る 」 と い う 意 味 を 表 せ る が 、「 少 し は 作 っ た 」 の 場 合 は 、 「 作 り 始 め て 、ま だ 途 中 で あ る 」と い う 解 釈 に は な ら ず 、 「 既 に 何 品 か 作 っ て 、そ の品数が少しである」という意味になると考えられる。 これは、作成動詞がとる 目的語が結果目的語であることに起因すると考えられるが、これについては、 第 5 章 で 論 じ る 。 た だ 、( ⅰ )( ⅱ ) の よ う に テ イ ル 形 に す る と 、 一 見 、 事 態 が 成 立 し て い な い よ う に 思 わ れ る か も し れ な い が 、動 き が 開 始 し た こ と は 含 意 す る の で 、 これらの動詞の事象の成立点は、動きの開始時点にもあると言えそうである。 ( ⅰ ) 論 文 を 書 い て い る 。( ×→ 書 い た ) | ( → 書 き 始 め た ) ( ⅱ ) 料 理 を 作 っ て い る 。( ×→ 作 っ た ) | ( → 作 り 始 め た ). 21. 19.

(26) 第 2 章 動詞の成立点とカケル構文の解釈. の 成 立 点 は、変 化 点 で あ る B 成 立 点 に あ る こ と は 既 に 述べ た が、こ れ は 、 活 動 動 詞 、 到 達動 詞 の LCS が そ れ ぞれ ACT、 BECOME で 示 さ れ る た め で あ っ た 。こ こ で 達 成 動 詞の LCS を 見 る と 、活 動 動 詞 が 表 す[[ ]x ACT ON-[. ]y] と 、 到 達 動 詞 が 表 す [BECOME[[. ]y BE AT-[. ]z]が 合 成 さ. れ た 形 に な っ てい る 。す な わ ち 、達 成動 詞 に 成 立 点が 2 つ 存 在 す る の は 、 活 動 動 詞 と 到 達動 詞 、両 者 の 成 立 点 で あ る A 成 立 点 と 、B 成 立 点 が 存 在 す る た め だ と 考え ら れ る 。 先 程 、な ぜ 活 動 動 詞 は 限 界 性( 完 了 性 )を 持 た ず 、到 達 動 詞 と 達 成 動 詞 は 持 つ かと い う 疑 問 を 投 げ かけ た が 、こ れ は、 活 動 動 詞は B 成 立 点 を 持 た ず 、逆 に 、到 達 動 詞 と 達 成 動詞 は B 成立 点 を 持 つ と い う こ とに 起 因 す る と 考 え られ る 。す な わ ち 、活動 動 詞 は B 成 立 点 を 持 た な い ゆえ に 、限 界 性( 完 了 性 )を 持 た ず 、到 達 動 詞 と 達 成 動 詞. 治 政 従 来 の 研 究 で は、活 動 動 詞 は 非 限 界動 詞 で あ 大り 、到 達動 詞 、達 成 動 詞 は 限 界 動 詞 で あ る と さ立 れてきたが、これは、動詞の持つ成立点のうち、 は 、 B 成 立 点 を持 つ ゆ え に 、 限 界 性( 完 了 性 ) を 持 つ ので あ る 。. ‧ 國. 學. 動 詞 の 表 す 動 きが 終 了 す る か ど う か、つ ま り B 成 立 点 に の み 焦 点 を 当 て る と い う 結 果 から 導 か れ た も の で ある と 考 え ら れ 、また 、そ の た め 、動 詞 の 表 す 動 き の開 始 を 示 す A 成 立 点 に つ い て は、さ ほ ど 注 視 さ れ て こ な. ‧. か っ た の で あ ろう 。こ の 成 立 点 を 設定 す る こ と に よ り、非 限 界 動 詞 と し. y. Nat. て ひ と く く り にさ れ て き た、 状 態 動 詞 と 活 動 動 詞 の 異 なり を 、 A 成 立 点. sit. の 有 無 か ら 説 明 で き る こ と に な る 。 ま ず 、 状 態 動 詞 は ( 25)、 活 動 動 詞. n. al. er. io. は (26) の よ うに 図 示 で き る 。 (25). (26). Ch. engchi. i n U. v. ● A 成立点. 説 明 を 加 え る と 、 図 中 の 点 線 は 「 継 続 」 を 示 し 、 例 え ば ( 26) で は 、 事態成立後、動詞の表す動きが継続できることを意味するのであるが、 活 動 動 詞 の 中 には 、継 続 を 表 せ な いも の も 当 然 あ る。こ の こ と に つ い て は第 3 章で扱う。 次 に、B 成 立 点 を 持 つ 到 達 動 詞、A 成 立 点 と B 成 立 点 を 共 に 持 つ 達 成 動 詞 を 図 示 す ると 、 そ れ ぞ れ (27)(28) の よ う に な るで あ ろ う 。. 20.

(27) 第 2 章 動詞の成立点とカケル構文の解釈. (27). (28). ● B 成立点. ● A 成立点. ● B 成立点. ( 27) で 示 し た 到 達 動 詞 の 図 は 、 瞬 間 的 な 変 化 を 表 す も の で あ る が 、 到 達 動 詞 の 中 には 、継 続 的( 段 階 的 )な 変 化 を 表 す も のも あ る 。こ れ に つ い て は 第 4 章 で 述 べ る 。 ま た、( 28) の 達 成 動 詞 の図 で あ る が 、 活 動 動 詞 と 到 達 動 詞の 成 立 点 が 合 成 さ れた も の に な る 。達 成 動 詞 の LCS か ら. 治 政 番 と し ては A 成 立 点 → B 成 立 点 の 順に な る 。ま 大た 、A 成 立 点 と B 成立 点 立と B の 距 離 が ゼ ロ で あ る と 考え 、( 28) の よ う が 同 時 に な る 場合 は 、 A. も わ か る よ う に、 ACT が な け れ ば、 BECOME が 起 こ り え な い の で 、 順. ‧ 國. 第5節. 學. に 図 示 し て お く。. 動詞のタイプによる成立点とカケル構文の解釈. ‧. y. Nat. 以 上 の こ と か ら、表 1 を 修 正 し 、動 詞 の タ イ プ と そ の 成立 点 を ま と め. 例. er. 到達動詞 v a活l 動 動 詞 i A 成C立h点 B 成U 立n 点 engchi. n. 成立点. io. 動詞のタイプ. sit. た も の を表 4 に示 す 。. 達成動詞 A 成立点 B 成立点. 走る. ドアが開く. ドアを閉める. ワインを飲む. ドアが閉まる. 博士論文を書く. ドアを叩く. 火が消える. 夕食を作る. 表4 表 4 の 諸 例 を カケ ル 構 文 で 表 し た もの が( 29)~(31)であ る 。宮 腰 の ( 11)( 12) の 主 張 を 借 用 す れ ば 、(29) は A 成 立 点 、(30) は B 成 立 点 の 将 然 相 が 前景 化 さ れ 、( 31) は A 成 立 点 と B 成 立 点 の 将 然 相 が 共 に 前 景 化 さ れ る とい う こ と に な る。こ れ ら の こ と か ら、動 詞 の 成 立 点 で あ る A 成 立 点 と B 成 立 点 の 将 然 相 を前 景 化 す る の が、カ ケ ル の 機 能 だ と 考. 21.

(28) 第 2 章 動詞の成立点とカケル構文の解釈. えられる。 ( 29) a. 走り か け た 。 b. ワ イ ン を 飲 み か け た 。 c. ド ア を 叩 き か け た 。 ( 30) a. ドア が 開 き か け た 。 b. ド ア が 閉 ま り か け た 。 c. 火 が 消 え か け た 。 ( 31) a. ドア を 閉 め か け た 。. 治 政 夕食を作りかけた。 大 立. b. 博 士 論 文 を 書 き か けた 。 c.. ‧ 國. 學. 例 え ば 、( 29a) で は 、「 走 る 」 と い う 動 き の 成 立 に は 至 ら な か っ た こ と を 意 味 し、( 30a) で は 、 ド アが 「 開 く 」 と い う 変化 の 成 立 に は 至 ら な かったことを意味している。本稿では、活動動詞にカケルが後接した. ‧. ( 29) の よ う な タ イ プ を 、「 将 動 相 」 と 呼 ん で お く 。 そ れ に 対 し て 、 到. y. Nat. 達 動 詞 に カ ケ ル が 後 接 し た ( 30) の よ う な タ イ プ を 、「 将 変 相 」 と 読 ん. er. io. るであろう。. sit. で お く 22 。( 29c)( 30b) を そ れ ぞれ LCS で 表 示 す る と 、以 下 の よ う に な. al. n. v i n ( 29c) ド アを 叩 き か け Cたh。 [ ]x ACTUON-[door ] engchi カケル ( 30b) ド ア が 閉 ま り か け た 。. BECOME[[door ]BE AT-[ closed ]] カケル. 金 田 一( 1976b)で は「 将 動 態 」「 始 動 態 」の よ う に「 態 」と い う 用 語 が 使 わ れ て い る が 、「 態 」 と い う の は 、「 コ ト の 中 の 役 割 ( つ ま り 日 本 語 で は 格 助 詞 の 使 い 方 ) と 相 関 関 係 に あ る 動 詞 の 形 態 ( 寺 村 1986)」 と あ る よ う に 、 一 般 的 に は ヴ ォ イ ス を 意 味 す る 用 語 で あ る 。従 っ て こ こ で は 、 「 態 」で は な く 、ア ス ペ ク ト を 意 味 する「相」という用語を用いている。. 22. 22.

(29) 第 2 章 動詞の成立点とカケル構文の解釈. こ れ らの LCS か ら わ か る よ う に 、カ ケ ル が 活 動 動 詞 と共 に 用 い ら れ た 場 合 は 、ACT に 作 用 し 、将 動 相 の 解 釈 に 、到 達 動 詞 と 共 に 用 い ら れ た 場 合 は 、 BECOME に 作 用 し 、 将 変 相の 解 釈 に な る 。 将 動相 は 、 ACT が 持 つ 成 立 点 に は 至ら な い こ と を 表 し 、将 変 相 は 、BECOME が 持 つ 成 立 点 に は 至 ら な い こ とを 表 す の で あ る 。 で は 、達 成 動詞 に カ ケ ル が 後 接 し た( 31)の よ う な タイ プ は ど う で あ ろ う か 。 例 え ば ( 31a) の 場 合 、 カ ケ ル の 作 用 対 象 と な る の は 、 ド ア に 働 き か け る 動 きを 示 す ACT と、そ の 働 き か け よ る 変 化 を 受 け る BECOME と い う こ と に なる 。 こ れ を LCS で 表 示 す る と 、 以 下 のよ う に な る 。 ( 31a) 閉 める : [[. 政 治 大. ]x ACT ON-[door]]CAUSE[BECOME[door]BE AT- [closed ]]]. 立. カケル. ‧ 國. 學. そ し て こ の こ とが 、( 31a) の 解 釈 が 曖 昧 に な る 原 因 であ る と 考 え ら れ る 。 こ の 曖 昧 さ を 解 消 す る に は 、( 32) の よ う に 、 文 脈 の 助 け を 借 り る. ‧. 必要がある。. y. Nat. sit. ( 32) a. 太郎 が ド ア を 閉 め か け た と き 、 電 話 が な っ た。. er. io. b. 太 郎 は ド ア を 少 し 閉 め か け た が、 途 中 で や め た 。. al. n. v i n ( 32a)の よ う に 言 え ば、 「 閉Cめ る 」と いう 動 き の 成 立 に は至 ら な か っ た 、 he hきi でUあ る ド アへ の 働 き か け( A つ ま り、 「 ド ア を閉 め る」た め の 最n初gのc動 成 立 点 )に は 至 ら な か っ た た め 、将 動 相 と し て 捉 え ら れ、( 32b)の よ う に 言 っ た 場 合 、「 ド ア を 閉 め る 」 と い う 動 き は 始 ま っ た 、 つ ま り 、 ド ア への働きかけは開始したが、その動きが途中で終わってしまったため、 「 ド ア が 閉 ま る」 と い う 変 化 が 起 こる ( B 成 立 点 ) ま で に は 至 ら な か っ た と い う 解 釈 がな さ れ る 。 す な わ ち、( 30b)と 同 様 に 、結 局 は ド ア は 閉 ま っ て お ら ず 、「 閉 ま る 」 と い う 変 化 の 成 立 に は 至 ら な か っ た と い う こ と を 表 し て い るの で あ る 。到 達動 詞 の 将 変 相 と 、達 成 動 詞 の 将 変 相 が 同 じ 解 釈 で 説 明 でき る こ と は 、 到 達 動詞 の LCS で あ る BECOME[[ AT-[. ]y BE. ]z]が 、達 成 動 詞 の LCS で あ る CAUSE 以 下 の 部 分 と 同 じ で あ るこ. と か ら も 十 分 予測 で き る こ と で あ る。 ま た、(33)か らも わ か る よ う に、「 閉 ま り か け る」と 言 え る の は、ド. 23.

參考文獻

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