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3.4 分類の結果

3.4.1 モノ名詞

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3.4.1 モノ名詞

統辞的テストによりモノ名詞と判断したものは次のように挙げる。

(70)Nモノ(計 250 語)

仕事、(お)話、食事、息、返事、表現、○○会、料理、書き込み、

ゲーム、研究、インターネット、計画、電話、契約、ネット、入金、

組み合わせ、発音、協定、考え、貯金、プログラム、約束、コピー、

コメント、(お)答え、記録、子(供)、もの・物、人、友達、時間、

彼女、余裕、制度、○○方、(行)列、関係、○○性、彼(氏)、人 間、隙間、○○語、○○法、法律、恋人、店、相手、意味、言葉、

赤ちゃん、会社、○○力、形、問題、女性、にきび、内容、システ ム、体、目標、国、場所、気持ち、理由、駅、メール、傷、暇、男、

ところ、○○所、溝、女、家、本、○○目、道路、体制、基礎、○

○場、施設、○○書、染み、口内炎、あざ、輪、(お)金、ゆとり、

道、ファイル、政府、法案、イメージ、人垣、友人、家族、山、影、

政権、流れ、能力、瘤、組織、スペース、差、細胞、顔、学校、機 関、水、資金、グループ、違い、団体、○○層、年金、抗体、町、

結晶、船、○○部、つながり、仕組み、○○権、水たまり、線、車、

しこり、できもの、地域、文字、構造、画像、皺、種、空間、かさ ぶた、作品、写真、吹き出物、存在、思い出、数、曲、湿疹、目的、

チーム、免疫、塊、思い、成果、資格、距離、ルール、○○先、品、

○○地、基盤、建物、水膨れ、男性、社会、腫瘍、膜、タコ、ブツ、

ページ、世界、人だかり、○○円、商品、心構え、○○感、条件、

生物、穴、血栓、事実、実、工場、市場、潰瘍、種類、街、○○費、

選手、部屋、ソフト、仲間、内閣、○○制、原因、○○型、基準、

孫、感情、案、業者、段差、環境、癌、自信、速度、隈、雲、おで き、ネットワーク、ポリープ、基本、帯、技術、○○日、映画、植 物、○○機、海、物質、薬、表、パソコン、パターン、メリット、

リズム、ルート、下水道、像、収入、壁、女の子、○○室、○○屋、

感覚、数字、数学、空き、模様、機械、水疱、病院、縁、脳、裂け 目、資料、カード、コンピューター、ダム、ほくろ、ホテル これらの語の中には、和語動詞の連用形が名詞化したものが入っている。動 詞の名詞化について、影山(2011:52)は、名詞化は「動詞が持つ意味構造(行 為連鎖)の全体あるいは一部分を切り取って、デキゴトまたはモノという名詞 の概念に変えること」である、と述べている。

つまり、動作主が道具により対象物に働きかけて結果状態が生じるという一

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連の流れが玉突きのように続いていく場合、一連の行為連鎖における<動作主

><道具><対象物><結果状態>のいずれに動詞が名詞化するということ である。このことは次のように表示できる。このうち、道具の有無はあっても なくても良いため、括弧を付ける。これは語彙概念構造に相当すると考えられ る。つまり、語彙概念構造においても、上位事象(x ACT (ON y))が発生し、

下位事象(BECOME [ y BE AT-z])を起こすということである。

(71)行為連鎖と語彙概念構造との対応:

動作主 → 道具 → 対象物 → 結果状態 (影山 1996:46)

x ACT WITH w y BECOME y BE AT-z

そのため、日本語の名詞化は基本的にコト名詞である(影山 1999:109)が、

次のように、動作主名詞、道具名詞、結果名詞、場所名詞などのモノ名詞にな る。なお、これらはすべて動詞の連用形から名詞化したものである。

(72)A. 動作主名詞:すり、見張り、見習い、付き添い(影山 2011:56)

B. 道具名詞:はかり、はたき、ふるい、鋤(すき) (ibid.:56)

C. 結果名詞:汚れ、集まり、固まり、焦げ、くぼみ (ibid.:55)

D. 場所名詞:住まい、通り、(台所の)流し (影山 1999:109)

E. 思考/伝達の結果:考え、思い、答え、話し(影山 2011:55)

モノ名詞とした語の中で動詞から名詞化したと考えられる語を次に挙げる。

(73)動詞が名詞化したと考えられるモノ名詞

(お)話、食事、意味、返事、料理、気持ち、染み、計画、流れ、

違い、繋がり、仕組み、水たまり、しこり、入金、存在、思い出、

塊、思い、組み合わせ、水膨れ、人だかり、協定、考え、貯金、(お)

答え、コピー、おでき、空き、記録

まず、思考/伝達の対象は「(お)話、意味、返事、気持ち、計画、思い出、

思い、協定、考え、(お)答え、記録」である。次に、変化を被る対象は「食 事、入金、貯金」、行為の産物は「料理、染み、仕組み、水溜まり、組み合わ せ、水膨れ、コピー、塊、人だかり、空き、しこり」である。

これらはクオリア構造でも説明ができると考えられる。以下で、クオリア構 造による分析を試みるため、名詞に対するクオリア構造の説明は次に挙げる。

(74)構成役割(CONS(TIVE)):ある物とその構成素との関係。

形式役割(FORM(AL)):より大きなドメインにおける物を区別す

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る属性。

目的役割(TELIC):物の目的と機能。

主体役割(AGEN(TIVE)):物の産出に関わる要因。(影山 2005:83-84)

まず、思考/伝達の対象の「話」を例として挙げよう。名詞の「話」を見る 前に、「話す」という動詞のクオリア構造を次のように想定する。

(75)「話す」のクオリア構造

項構造:<Xヒト<Zヒト<Yコト>>>

CONS=[EVENT x ACT WITH WORDS] CONTROL [EVENT z BECOME [STATE z BE WITH y]

FORM=event:達成

TELIC=[EVENT z BECOME [STATE z BE WITH y]

AGEN=[EVENT x ACT WITH WORDS]

(75)の構成役割、即ち LCS について説明する。まず、上位事象(=CONTROL の左側)では、

WITH WORDS”で ACT の様態を表している。厳密には、話 すことは音声の連なりによる事象であるが、ここでは WORDS にしておく。

次に、下位事象(=CONTROL の右側)は[z BECOME [z BE WITH y]]であるが、

これは 2.3.3 で論じたように、変項 z が y ということを知識として所有

(HAVE=BE WITH)することを表している。

このクオリア構造の内項 Yコトが焦点化する場合、「話」が「話す内容」とい うモノ名詞になる。このことは「焦点名詞化(上原 2010:30-31)」と呼ばれ、

次のように図示できる。変項の間の矢印は変項の関係を表す。左の図は、「話 す」ことを表している。変項が焦点名詞化すれば、存在物という定項になり、

時間の流れも背景化される。

(76)

焦点名詞化 :変項

:定項 但し、話す内容 Y は本来コトという名詞範疇は、それが焦点名詞化したら コト名詞ではなく、モノ名詞となるという点には注意したい。動詞がコト名詞 になる場合は「捉え名詞化」と呼ばれている。

焦点名詞化のプロセスを経てモノ名詞となった「話」のクオリア構造を次の ように想定する。

(77)「話」のクオリア構造

t t

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CONS=WORDS FORM=モノ(y)

TELIC=[EVENT z BECOME [STATE z BE WITH y]

AGEN=[EVENT x ACT WITH WORDS]

上記のように、「話」は「言葉(WORDS)」により構成され、この WORDS と いうのは、音声の連なりでもあり、文字でもある。形式役割はモノ名詞である。

最後に、目的役割と主体役割はコト名詞の「話(をする)」から受け継いでい る。目的役割の場合、z は聞くなり読むなり、最終的に y を知ることになる。

主体役割の場合、x も話すなり書くなり、話というモノを作ることができる。

この目的役割と主体役割が合成したものが「話す」の LCS である。

次に、変化を被る対象に関して、「食事する」のクオリア構造は次のように 想定できる。上付き文字の D でデフォルト項を表示する。「食事する」は対象 項のヲ格名詞句を有しないが、意味的には食べるモノ<Y モノ>というデフォ ルト項(言語形式化しないが、意味的に存在する項のこと)がある。食事する ことは最終的に食べるもの(y)が食べる人(x)のお腹に入ることであるため、

z を x にした。

(78)「食事する」のクオリア構造 統辞への投射:私が食事する。

項構造:<Xヒト<YDモノ>>

CONS=

[

EVENT

x ACT ON y] CONTROL [

EVENT

y BECOME[

STATE

y BE IN x]]

FORM=event:達成

TELIC=[EVENT y BECOME [STATE y BE IN x]]

AGEN=[EVENT x ACT ON y]

これを踏まえると、このデフォルト項の Yモノが焦点名詞化しモノ名詞の「食 事」となる。そのクオリア構造は次のようになる。目的役割に注目したい。目 的役割には「食事する」の LCS が取り込まれている。

(79)「食事」のクオリア構造

CONS= 構成役割:食材、調味料…

FORM=モノ(y)

TELIC=[EVENT x ACT ON y] CONTROL [EVENT y BECOME[STATE y BE IN x]]

AGEN=コックが食べ物(y)を作る。

最後に、行為の産物に関して「コピーする」という語を例に挙げると、次の

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