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中国側の草案と中日全権が調印された日清修好条規の比較

すでに検討したように、1871 年 7 月 29 日(同治 10 年・明治 4 年)に調印 された日清修好条規は、中国側の草案をもとに締結されたもので、以下締結さ れた修好条規と中国側の草案とは異なる箇所を検討し、締結された修好条規は 中国側草案との差異を明らかにする。よって、以下取り上げた検討は中国側の 草案と正式的締結された条約と異なっている箇所に限っている。ここで添付書 類の「中國日本國修好條規」及び「中国日本国修好条規暨通商章程」を参照し ながら、まず中国側の草案約文(以下草案を略称)を、次に締結された修好条 規約文(以下条規を略称)を提示して比較するという流れに従って検討してい く。また、前述検討した通り、応寶時と涂宗瀛によって出来上がった中国側の

「通商章程」草案の原文がすでに残されていないため、「通商章程」に関する 比較はここで省略する。

まず第 5 条について、

第五條. 兩國官位均有定品,如彼此品位相等,會晤文移均用平行之禮。

位卑者與長官相見,則行客禮;遇有公務,則照會品位相等之官轉申,

無須逕達。如相拜會,則各用官位名帖。凡兩國派往官員初到任所,須 將印文送驗,以杜假冒。

第五條. 兩國官位雖有定品授職各異,如彼此職掌相等,會晤文移均用平行

159 前掲 近史研究所檔案館 外交部門 №01-21-024-01-020 李鴻章より総署宛「咨會日本條約 擬稿又會商條規備稿均已加籤並另擬章程十八條咨送由」

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之禮。職卑者與上官相見,則行客禮;遇有公務,則照會職掌相等之官 轉申,無須徑達。如相拜會,則各用官位名帖。凡兩國派員,初到任所,

須將印文送驗,以杜假冒。

草案には「兩國官位均有定品,如彼此品位相等」と載せているが、条規には「兩 國官位雖有定品授職各異

....

,如彼此職掌

..

相等」と改めている。また「遇有公務,

則照會品位相等之官轉申」を「遇有公務,則照會職掌

..

相等之官轉申」に変更さ れている。明らかに両国官員間の接待は「官員の階級」より「官員の司る職務」

に改めた。

第 6 条について、

第六條. 兩國來往公文,均以漢文為憑,如用本國文字如滿洲文日本文之類 ,須副以繙 譯漢文,以便易於通曉。

第六條. 嗣後兩國往來公文,中國用漢文,日本國用日文,須副以譯漢文,

或只用漢文,亦從其便。

明らかに条規では少々文字が改められたが、意味上に見て、草案にも条規にも

「両国の公文が往来する時漢文を使う」と定めている。

第 8 条について、

第八條. 兩國指定各口,彼此均可設理事官,約束己國商民。凡交涉財產詞 訟案件,皆歸審理,各按己國律例覈辦。兩國商民,彼此互相控訴,俱 用稟呈,理事官應先為勸息,使不成訟,否則照會地方官會同,公平訊 斷。其竊盜逋欠等案,兩國地方官止能查拏追辦,不能帶マ マ償。

第八條. 兩國指定各口,彼此均可設理事官,約束己國商民。凡交涉財產詞 訟案件,皆歸審理,各按己國律例覈辦。兩國商民,彼此互相控訴,俱 用稟呈,理事官應先為勸息,使不成訟。如或不能,則照會地方官,會 同公平訊斷。其竊盜逋欠等案,兩國地方官止能查拏追辦,不能代償。

ここにある「理事官應先為勸息,使不成訟,否則照會地方官會同」の「否則」

を「如或不能」に改めている。また草案にある「帶償」は誤字であるので、条 規で訂正された。

第 11 条について、

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第十一條. 兩國商民,在指定各口岸彼此往來,各宜友愛,不得携帶刀械,

違者議罰,刀械入官。並須各安本份,無論居住久暫,均聽己國理事官 管轄,不准該換衣冠,入籍考試,致滋冒混。

第十一條. 兩國商民,在指定各口岸彼此往來,各宜友愛。不得携帶刀械,

違者議罰,各械入官。並須各安本份,無論居住久暫,均聽己國理事官 管轄,不准改換衣冠,入籍考試,致滋冒混。

ここで「違者議罰,刀械入官」の「刀械」を「各械」に変更した。

第 13 条について、

第十三條. 兩國人民,如有在指定口岸,勾結強徒為盜為匪;或潛入內地 放火、殺人、搶刦,敢行拒捕者,均准格殺勿論。其拏獲到岸者,在各 口,由地方官會同理事官審辦;在內地即由地方官自行審辦。倘此國人 民在彼國聚眾滋擾,數在十人以外,及誘結通謀彼國人民作害地方情事,

無論在各口及在內地,應聽彼國官徑行查拏審實,即在犯事地方正法。

第十三條. 兩國人民,如有在指定口岸,勾結強徒為盜為匪,或潛入內地 放火、殺人、搶刦者,其在各口,由地方官一面自行嚴捕,一面將情飛 知理事官。儻敢用兇器拒捕,均准格殺勿論;惟須將致殺情跡,會同理 事官查驗。如事發內地,不及赴騐者,即由地方官將實在情由,照會理 事官查照。其拏獲到案者,在各口,由地方官會同理事官審辦;在內地,

即由地方官自行審辦,將案情照會理事官查照。儻此地人民在彼國聚眾 滋擾,數在十人以外,及誘結通謀彼國人民作害地方情事,應聽彼國官 徑行查拏。其在各口者,知照理事官會審;其在內地者,由地方官審實,

照會理事官查照,均在犯事地方正法。

これは明らかに条規で理事官の権限を高めた決まりであるということが窺え る。草案には「兩國人民如有在指定口岸勾結強徒為盜為匪,或潛入內地放火、

殺人、搶劫,敢行拒捕者,均准格殺勿論」と載せているが、条規には「兩國人 民如有在指定口岸勾結強徒為盜為匪,或潛入內地放火、殺人、搶刼者,其在各 口,由地方官一面自行嚴捕,一面將情飛知理事官

.........

。倘敢用兇器拒捕,均准格殺 勿論;惟須將致殺情跡,會同理事官查驗‧‧‧‧‧‧‧

。如事發內地不及赴騐者,即由地方官 將實在情由,照會理事官查照‧‧‧‧‧‧‧

。」と掲載している。明らかに地方官が本地にい る彼国人を取り締る時、また彼国の犯人を殺した後、理事官に通達すべしと定 めている。

さらに第 14 条について、

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第十四條. 兩國兵船往來,指定各口,係為保護己國商民起見,凡沿海未 經指定口岸,以及內地河湖支港,概不准駛入,違者截留議罰。

第十四條. 兩國兵船往來,指定各口,係為保護己國商民起見,凡沿海未 經指定口岸,以及內地河湖支港,概不准駛入,違者截留議罰,惟困

マ マ

遭 風避險收口者,不在此例。

ここで草案にも条規にも共に「開港されていない港や川など、すべて入れぬ」

と定めているが、条規には「遭難船は別である」が加わって、遭難船の場合を 配慮した。

第 15 条について、

第十五條. 兩國嗣後倘有與別國用兵情事,應防各口岸。一經布知,便應 暫停貿易及船隻出入,免致誤有傷損。其平時日本人,在中國指定口岸 及附近洋面;中國人,在日本指定口岸及附近洋面,均不准與不睦之國 互相爭鬬搶刦。

第十五條. 嗣後兩國,儻有與別國用兵情事,應防各口岸。一經布知,便 應暫停貿易及船隻出入,免致誤有傷損。其平時日本人,在中國指定口 岸及附近洋面;中國人,在日本指定口岸,及附近洋面,均不准與不和 之國,互相爭鬦搶刦。

ここで「均不准與不睦之國互相爭鬬搶劫」の「不睦」を「不和」に改めたのみ である。

第 18 条について、

第十八條. 兩國議定條規,均係豫為防範,俾免偶生嫌隙,以盡講信修睦 之道,應俟兩國御筆批准互換後,即刊刻通行各處,使彼此官民咸知信 守,永以為好。

第十八條. 兩國議定條規,均係豫為防範,俾免偶生嫌隙,以盡講信修好 之道。為此兩國欽差全權大臣,先行畫押蓋印,用昭憑信,俟大清國御 筆、大日本國御筆批准互換後,即行刊刻通行各處,使彼此官民咸知遵 守,永以為好。

ここで草案の「兩國議定條規,均係預為防範,俾免偶生嫌隙,以盡講信修睦之 道,應俟兩國御筆批准互換後,即刊刻通行各處」を条規の「以盡講信修好之道。

為此兩國欽差全權大臣先行畫押蓋印

................

,用昭憑信

....

,俟兩國御筆批准互換後」に変 更した。すなわち、「両国の全権が先にサインして印章を押したが、正式の発

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効は両国の君主の批准を待つ」ということが強調されている。

以上、中国側の草案と締結された日清修好条規との異なる箇所を検討してき た。以上の検討により、1871 年 7 月 29 日(同治 10 年・明治 4 年)に李鴻章 と伊達宗城によって調印された日清修好条規は、確かに日本側に少々改められ たが、意味上で言えば、中国側の草案とほぼ一致であるということが窺える。