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(9) N

N V

梅 干し 伊藤・杉岡(2002:129)

一方、認知意味論の見地から籾山(2002)、ジョン・瀬戸(2008)があるが、

語の意味からいずれも分析不可能だという考えを示している。従来の立場をま とめると、次のようになる。

(10)形式重視の立場から:1 一旦複合してから語尾を削除する(奥津 1975)

2 語用論的要因に関わる

意味重視の立場から:意味は形態から予想できず、個別の記憶に頼ら ざるを得ない

本論文の立場を述べると、形式重視の立場 2 と意味重視の立場の中間におけ る位置である。つまり、複合語の意味は常に一つとして覚えるのでもなければ、

最初から決められたのでもない。むしろ使用場面+複合語の形態から推測でき るのではないかと考える。

4.3 動詞由来複合語の意味拡張

形式意味論の構成性の原理(compositionality principle)から考えれば、

確かにこれらの複合語は不透明(opaque)なものもあり、外心構造(exocentric)

とされても不思議ではない。しかし、一見したところ、結合関係が全く同じな のに、果たして我々はいかにその意味を把握するのだろうか。

西尾(1961)で指摘されたように、日本語は英語のような接辞添加による造 語法に乏しい97が、語の意味を詳しく検討した結果、いずれも主要部動詞と関 わっていることに気付いた。従って、複合語の多義性は次のメカニズムに由来

97 英語の動詞由来複合語では「-ing」で出来事を表したり、「-er」で人間や道具を表したり するが、日本語はほとんど「[[ ]動詞連用形]」となっている。

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すると想定できる。

(11)複合語の多義性のメカニズム98

上の図では複合語の意味は出来事を意味するコト名詞がプロトタイプで、動 詞に関わる「誰が、何で、どこで、いつ」などの意味はメトニミーによる拡張 だと示されている99。この考えの妥当性を検証するために、最初に影山(2002)

で取り上げられた「丸焼きのブタ」と「ブタの丸焼き」を考えよう。二つの表 現における「丸焼き」は、前者の「丸焼き」は調理法、つまり丸ごとに焼くこ とという意味であるが、後者の「丸焼き」はブタが丸焼きにされてできたもの

(=料理名)という意味である。そして両者を意味から分類すると、前者はコ ト名詞であり、後者はモノ名詞に属することになるが、両者の関係はコトが先 で、モノが後だと思われる。図示すると次の通りになる。

(12)ブタを焼く(ACT)→ブタが焼けて(BECOME)→ブタが料理になる(BE)

↑ ↓

焼き方=丸焼き 料理名=丸焼き

98 この主張は基本的に西尾(1961)と重なっているが、拡張がメトニミーによるものだとい う部分は筆者の考えである。

99 英語の「-er」事象名詞も似たような現象を見せているが、詳しくは島村(2005)を参照さ れたい。

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同じ(12)の分析を受けられるものを数例挙げておく。

(13)輪切りの唐辛子→唐辛子の輪切り

(14)水煮のうずら卵→うずら卵の水煮

(15)塩焼きのサバ→サバの塩焼き

(16)唐揚げの鶏肉→(鶏肉の)唐揚げ

(17)浅漬けの白菜のキムチ100→白菜(のキムチ)の浅漬け

上の例において、後の表現はすべて前者によって支持されていると思われる。

言い換えれば、「輪切り」という動作をしないと「輪切り」というものになら ないし、「水煮」という動作を行わないとしないと「水煮」というものが出な いのである101

次によく「モノ」の意味によく使われる複合語を見ると、次の「コト」の意 味に使われている例が見つかった。

(18)自分で歯磨きが困難な場合でも、できるだけ自分でしてもらうのがア クティブ・ケアです。102

(19)ヘリコプターでビールの栓抜き世界一決定戦103

(20)ケガをさせないためにも、爪切りの習慣は大切です。104

(21)理論に裏打ちされたお茶の販売は、袋詰めの際の分量にも厳密だ。105

(22)海のほうに出れば、スケッチブック片手に絵描きを楽しむ人や海水浴 を楽しむ家族など、微笑ましい光景に出会うことができる。106

100 『カピオラニ公園のベンチで』pp.19

101 居酒屋などのメニューでは上位カテゴリーとして「揚げ物」や「焼き物」などと書かれて いるのを多く見られ、一見、奥津(1975)の分析の支持となるように見えるが、「鍋物」や「串 物」などのような「NN」型の複合語もあるので、「NV」が「NVN」から来たとは言い切 れない。

102 『絵でわかる!疲れない、疲れさせない介護』pp.117

103 テレビ番組『ワールド★レコーズ』

104 『猫の医・食・住』pp.103

105 『京都を買って帰りましょう』pp.66

106 『フランスの旅 No.5』pp.136

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