形容詞的副詞性用法-以表示程度之用法為中心-
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(2) 摘要. 本 研 究 旨 在 研 究 形 容 詞 的 副 詞 性 用 法 ,並 以「す ご く 」、 「ひ どく」等語彙為研究對象,透過比較其形容詞語意上及句法 上之差別,以及副詞性用法之異同,究明形容詞的副詞性用 法中表示程度之用法。 本論文共分為五章。首先於序論中闡述本研究之目的與研 究對象,第一章則針對過往與形容詞的副詞性用法相關文獻 進行研究,並提出尚未解決的問題。而第二章則從語意面及. 政 治 大. 句法面分析本論文研究對象以及各語彙間的異同。第三章則. 立. 分析與研究對象共起之動詞,以及為何共起。第四章則比較. ‧ 國. 學. 形 容 詞 的 副 詞 性 用 法 與 一 般 程 度 副 詞 的 差 異。第 五 章 為 結 論 。 透過本研究可得知,除了作為形容詞時也具相當高程度性. ‧. 的「す ご く 」以 及 典 型 的 程 度 副 詞「 非 常 に 」「 大 変 」外 ,其 餘的研究對象在以副詞形使用時,會受到原先形容詞語意的. y. Nat. sit. 影響。此外,因程度副詞與評價副詞具有連續性,故受語意. n. al. er. io. 強烈影響的語彙,其程度性較低,評價性則較高。. Ch. engchi. i n U. v. 關鍵字:形容詞、副詞性用法、程度、評價、情態.
(3) 形容詞の副詞的用法―程度を表す用法を中心に 要旨 本論文の目的は形容詞の副詞的用法を研究し「 、すごく」 「ひどく」 などの語を研究対象として形容詞の意味的・統語的に比較し、さら に副詞的用法の異同について考察することを通して、程度を表す用 法を明らかにすることである。 本論文は 5 章で構成されている。まず、序論で本研究の目的及び 研究対象を述べる。そして、第 1 章は形容詞の副詞的用法について の先行研究を検討し、問題点を提出する。. 政 治 大. 第 2 章「形容詞としての研究対象」において、本論文の研究対象. 立. を意味の面、統語の面から分析して、各語の異同も論じる。第 3 章. ‧ 國. 學. 「形容詞の程度副詞的用法と動詞句」においては、研究対象と共起 する動詞のタイプを分析し、そして何故このタイプの動詞と共起す. ‧. るのかを分析する。第 4 章「形容詞の程度副詞的用法と通常の程度. sit. Nat. 後の第 5 章は結論である。. y. 副詞」は形容詞の程度副詞的用法と通常の程度副詞と比較する。最. al. er. io. 本研究を通して、形容詞とする場合も程度性がかなり高い「すご. n. v i n C h 形 容 詞 の 意 味Uに 影 響 さ れ る と 考 え ら れ くの語は副詞になると、元の engchi. く 」と 従 来 典 型 的 程 度 副 詞 と 視 さ れ る「 非 常 に 」 「 大 変 」を 除 き 、多. る。また、程度副詞は評価副詞とは連続性を持つため、語彙性に強 く影響される語は程度性がより低いが、評価性がより高くなると考 える。. キーワード:形容詞、副詞的用法、程度、評価、モダリティ.
(4) 目次. 序論 ............................................................... 1 1 第1章. 研究動機..................................................... 1 先行研究および問題点 ....................................... 5. 1. 飛田・浅田(1991)、(1994)..................................... 5. 2. 小野(1997)................................................... 5. 3. 仁田(2002)................................................... 6. 4. 坂口(2010)................................................... 6. 5. 先行研究の問題点............................................. 6. 第2章. 政 治 大. 形容詞としての研究対象 .................................... 10. 立. 「すごい」.................................................. 10. 2. 「えらい」.................................................. 14 意味の面から.......................................... 14 統語の面から.......................................... 17. ‧. 2.2. ‧ 國. 2.1. 學. 1. 「ひどい」.................................................. 19. 4. 「すごい」「えらい」「ひどい」の相違点........................ 22. 5. 「すばらしい」.............................................. 24. 6. 「おそろしい」.............................................. 25. er. io. sit. y. Nat. 3. al. n. v i n Ch 「こわい」との意味の違い 25 e n g c.............................. hi U. 6.1 6.2. 「おそろしい」の統語的特徴............................ 29. 7. 「いや(な)」............................................... 31. 8. 「すさまじい」.............................................. 33. 9. 「たいへん(な)」と「非常(な)」............................. 35 9.1. 「たいへん(な)」..................................... 35. 9.2. 「非常(な)」.......................................... 37. 9.3. 「たいへん(な)」と「非常(な)」の相違点.............. 38. 10. 「ばか(な)」.............................................. 40. 11. まとめ..................................................... 41. 第3章. 形容詞の程度副詞的用法と動詞句 ............................ 44 I.
(5) 1. はじめに.................................................... 44. 2. 形容詞連用形とすべき場合.................................... 44. 3. 共起する動詞のタイプ........................................ 48. 4 第4章. 3.1. 進展性に限界を持たない動詞........................ 48. 3.2. 内的情態動詞...................................... 53. 3.3. 程度性のある静態動詞.............................. 57. まとめ...................................................... 59 形容詞の程度副詞的用法と通常の程度副詞 .................... 60. 1. 程度副詞の分類から.......................................... 60. 2. 形態面からの分析............................................ 64. 3. 評価性からの分析............................................ 65. 4. まとめ...................................................... 71 結論 ...................................................... 72. ‧ 國. 學. 第5章. 立. 政 治 大. 結論........................................................ 72. 2. 今後の課題.................................................. 73. ‧. 1. 参考文献 .......................................................... 74. n. er. io. sit. y. Nat. al. Ch. engchi. II. i n U. v.
(6) 序論 1. 研究動機 副詞の中には、 「とても」 「ゆっくり」 「 や っ と 」な ど の 活 用 の な い. 語以外に、形容詞. 1. 由来のものが少なくない。それらの形容詞は連. 用形で副詞として述語を修飾している。しかし、同じ形容詞連用形 であり、副詞的用法として使われるのに、何故異なる種類の副詞に なるのであろうか。. (1) (2). 桜が 美しく 咲いた。. (作 例 ). 政 治 大 写真を撮ると 立い い と 、撮 影 の 合 間 に カ メ ラ に つ い て 丁 寧 に そ ん な 私 を 見 て か 、長 嶺 さ ん は 、石 け ん を 作 っ て い る な ら. ‧ 國. ( 小 幡 有 樹 子 『 エ ブ リ デ ィ イ ズ ア グ ッ ド デ イ 』). 彼は私の机の前の椅子に座り、何も言わなかった。ただ. ‧. (3). 學. 教えてくださった。. 静かに 泣いていた。. y. Nat. sit. al. er. … だ か ら た と え ば 、「 私 は あ な た を 憎 ん で い る 」 と 「 私 は. io. (4). (須 藤 八 千 代 『 ソ ー シ ャ ル ワ ー ク の 作 業 場 』 ). v i n C坂h和 志 『 ア ウ ト ブUリ ー ド ア ウ ト ブ リ ー ド 』 ) (保 engchi. n. あなたを憎んでいない」は、内実が すごく 似ている。. (5). 今 日 は 五 時 か ら 十 時 ま で の 予 定 で あ る が 、相 変 わ ら ず な ん にものどに通らなくて、 ひどく 気落ちしている。 (木 村 梢 『 功 、 大 好 き 』 ). (6). そして、彼女は私がものかきであることは知っているが、 今まで私の本に興味を示したことがなかったので、私はつ い油断して「彼女は美容関係の雑誌くらいしか読まない」 な ど と 書 い て し ま っ た の で あ る 。す る と 、 珍 し く 彼 女 か ら 手 紙 が き た 。 (中 山 庸 子 『 賢 い 女 は 「お し ゃ れ 」に こ だ わ る 』 ). (7) 1. 筆者は 幸いに 医師としてこれまで何人かの方々の臨終の. 本稿では形容詞、形容動詞を総称して形容詞とする。 1.
(7) 過程に付き添わせていただいた貴重な経験を得たが、死を 迎えていく人々から教えていただいたことは、他の何物に も代えがたい学びの経験である。 (安 藤 治『 福 祉 心 理 学 の こ こ ろ み 』). (8). 「 い や だ ね 、管 理 人 と い っ し ょ に 来 て く だ さ い 。は じ め て 聞 く 声 だ し 、こ っ ち は 危 な い 立 場 に い る 人 を 預 か っ て い る 。 めったに 開けられない」. (富 島 健 夫 『 は だ か の 少 女 』 ). (1)~ (3)、 (4)~ (5)、 (6)~ (8)の 下 線 部 は そ れ ぞ れ 後 の 動 詞 述 語 を修飾し、様態の副詞、程度副詞、文副詞として使われている。で. 政 治 大. は、何故同じ形容詞の連用形であるのに、副詞的な表現になると異. 立. なる種類の副詞になるのか。. ‧ 國. 學. また、副詞になる場合、元の形容詞と意味が変わり、さらに程度 や評価などの意味が含まれてくる。その中にはさらに、もとの意味. ‧. が互いに異なる形容詞が連用形になると、類似の意味になるような も の も あ る 。 例 え ば 「 す ご く 」「 ひ ど く 」「 え ら く 」「 恐 ろ し く 」「 す. y. Nat. sit. さまじく」 「すばらしく」 「大変」 「ばかに」 「非常に」 「 い や に 」な ど. 2. al. n. 上げる。. er. io. で あ る 。 飛 田 ・ 浅 田 (1991)(1994)は 各 語 の 意 味 を 以 下 の よ う に 取 り. Ch. engchi. i n U. v. え ら い:人 や 行 為 が 立 派 で 、賞 賛 や 尊 敬 に 値 す る 様 子 を 表 す 。(「 ぼ く 、 大 き く な っ た ら え ら い 人 に な る よ 。」)ま た 、社 会 的 地 位 が 高 い 様 子 を 表 す 場 合 も あ る 。(「 そ ん な 心 が け で は え ら く な れ な い 。」 )さ ら に 、 物 事 が 困 難 な 様 子 、 あ る い は 困 難 で 大 変 な 様 子 を 表 す こ と も で き る 。(「 泣 か な い で 我 慢 し た の は え ら か っ た ね 。」 「 や れ や れ 、え ら い 目 に あ っ た 。」 ) お そ ろ し い:恐 怖 や 不 安 を 感 じ る 様 子 を 表 す 。(「 暗 い 夜 道 を 一 人 2. 「 え ら い 」 か ら 「 ば か 」 ま で は 飛 田 ・ 浅 田 (19 91)『 現 代 形 容 詞 用 法 辞 典 』 に よる記述である 2.
(8) で 歩 く の は お そ ろ し い 。」)ま た 、事 態 の 大 き さ を 客 観的に表す現代語用法もあり、驚きを誇張して表現 する語であって、やや揶揄的なニュアンスが含まれ て い る 。(「 彼 女 の 子 供 、四 人 と も 名 門 小 学 校 な ん で す っ て 」「 オ ッ ソ ロ シ ー 」 ) すごい:非常に恐ろしい様子を表す。具体的に何がどのように恐 ろしいのかまで言及しておらず、非常に主観的に恐怖を 述 べ る ニ ュ ア ン ス が あ る 。 (「 事 故 現 場 は あ ま り に も す ご く て 息 が 止 ま り そ う だ 。」 ) ひ ど い:残 酷 で 無 情 な 様 子 を 表 す 。(「 恋 人 と の 約 束 を 破 る な ん て. 政 治 大. ひ ど い 人 ね え 。」)ま た 、非 常 に 悪 い 様 子 を 表 す 場 合 も あ. 立. る 。 (「 こ の ホ テ ル は 外 見 は 立 派 だ が 設 備 が ひ ど い 。」 ). ‧ 國. 學. すばらしい:非常に優れていて感嘆すべき様子を表す。プラスイ メ ー ジ の 語 。 (「 彼 の ピ ア ノ は す ば ら し い 。」 ). ‧. すさまじい:非常におそろしい様子を表す。マイナスイメージの 語 。 (「 恐 怖 映 画 の す さ ま じ い シ ー ン に 肝 を つ ぶ し. y. Nat. sit. た 。」 )恐 怖 を 感 ず る ほ ど 程 度 が は な は だ し い 様 子 を. er. io. 表 す 。 や や マ イ ナ ス よ り の イ メ ー ジ の 語 。(「 風 雨 が. al. n. v i n C h 嘆 す べ き で あUる こ と を 誇 張 的 に 述 べ 、 たいへん:対象の状態が慨 engchi あ ま り に す さ ま じ く て 、 表 に 出 ら れ な い 。」). 慨 嘆・危 惧 ・同 情 ・驚 き な ど の 暗 示 が こ も る 。(「 娘 の 恋 人 を 調 べ て み た ら た い へ ん な 男 だ っ た 。」、「 タ バ コ を 吸 っ て る の が マ マ に ば れ た ら た い へ ん だ 。」 ). ば か:知 的 な 能 力 や 理 解 力・判 断 力 が た り な い 様 子 を 表 す 。(「 ど う せ あ た し は ば か な 女 よ 。」)ま た 、本 来 の 機 能 を 果 た さ な い 様 子 を 表 す 。 (「 ド ア の 鍵 が ば か に な っ て い て 、 よ く 閉 ま ら な い 。」 ) ひ じ ょ う 3 : 通 常 で な い 状 態 を 表 す 。「 非 常 の ◯ ◯ 」「 非 常 ◯ ◯ 」. 3. 『 現 代 副 詞 用 法 辞 典 』 p 443 に よ る 3.
(9) の 形 で 名 詞 を 作 る こ と が 多 い (「 こ の ド ア は 非 常 の 場 合 に の み 開 き ま す 。」 ) い や( な ) :物 事 や 人 を 不 快 に 感 ず る 様 子 を 表 す 。原 則 と し て マ イ ナスイメージの語。主観的な嫌悪を表し、はっきりし た 理 由 は な い こ と が 多 い 。(「 あ ん な 女 の 顔 を 見 る の も い や だ 。」)否 定 の 返 事 ま た は 接 続 詞 と な る 。 (「 三 百 人 、 い や 四 百 人 以 上 集 ま っ た ん だ っ て 。」). 以上の記述から見ると、これらの語は各々異なる意味があると認 められるが、連用形になって副詞として使われると、みな程度の甚. 政 治 大. だしいことを表すようになる。. 立. 今日は すごく/えらく/ひどく/恐ろしく/すばらしく/. ‧ 國. 學. (9). す さ ま じ く / 大 変 / ば か に / 非 常 に / い や に 暑 い 。 (作 例 ). ‧. 以上の記述だけでは、形容詞とする場合がみな違う意味を持って. y. Nat. sit. いるのに、何故副詞的に使われる場合は同じく程度のはなはだしい. er. io. こ と を 表 す こ と が で き る の か は 分 か ら な い 。ま た 、(9)の よ う に 連 用. al. n. v i n C h 場 合 、 つ ま りU各 語 の 特 徴 と 他 の 語 と の 語が互いに入れ替えられない engchi. 形で形容詞を修飾し、程度が高いと意味することができるこれらの. 異同について意味的面と統語的面から見た考察は管見の限りほとん ど な い と 思 わ れ る 。し た が っ て 、本 稿 は ま ず 各 語 の 形 容 詞 を 意 味 的・ 統 語 的 に 比 較 し て 、何 故 こ れ ら の 語 に そ の よ う な 現 象 が 起 き る の か 、 さらに各語の異同についてを考察し試みたい。. 4.
(10) 第 1章 1. 先行研究および問題点. 飛 田 ・ 浅 田 (1991)、 (1994) 前 述 し た よ う に 、 飛 田 ・ 浅 田 (1991)(1994)は 各 語 に つ い て の 意 味. や 特 徴 を 指 摘 し て い る が 、各 語 が 副 詞 と し て 使 わ れ る 際 の 、 〈程度が は な は だ し い 〉こ と の 意 味 に つ い て も い く つ か 触 れ て い る 。例 え ば 、 程 度 を 表 す「 す ご い 」に つ い て は 、 「 ひ ど い 」と 比 べ 、後 者 は 被 害 者 意 識 が 暗 示 さ れ て い る が 、前 者 は な い と 述 べ て い る 。ま た 、 「おそろ し く 」 と 「 え ら く 」 に つ い て の 相 違 点 を 例 文 で 説 明 し 、「 お そ ろ し く / え ら く 寒 い 」は い ず れ も 程 度 を 表 す が 、前 者 は「 こ ご え 死 に そ. 政 治 大 し て い る 。さ ら に 、 「ば 立か (な )」は「 非 常 に 」「 た い へ ん 」と 異 な り 、. う だ 」、後 者 は「 手 袋 が ほ し い 」な ど の 文 が 後 接 す る 可 能 性 が あ る と. ‧ 國. 小 野 (1997). ‧. 2. 學. 誇 張 す る ニ ュ ア ン ス が あ り 、主 観 的 な 表 現 に な っ て い る と し て い る 。. 小 野 (1997)は 「 ひ ど い 、 え ら い 、 お そ ろ し い 、 い や (な )」 な ど の. y. Nat. sit. 形容詞には連用形における意味的中立化という特徴を持っている、. er. io. としている。これらの語は連用形が相反する語彙的環境において共. al. v i n わ れ て い る と 指 摘 し て いC る。 ま た 、 当 該i のU he n g c h 形容詞が現代語として、 n. 起可能となっており、元の形容詞の基本義とでもいうべきものが失. プラスあるいはマイナスの意味としてかなり固定した意味を持って いるとも主張している。つまり、プラスの意味の「えらい、すばら し い 」な ど や マ イ ナ ス の 意 味 の「 ひ ど い 、お そ ろ し い 、す さ ま じ い 」 な ど が 連 用 形 で「 え ら く 金 持 ち だ / 貧 乏 だ 」 「すばらしく賢い/馬鹿 だ 」、「 ひ ど く 喜 ん だ / 悲 し ん だ 」「 お そ ろ し く 大 き い / 小 さ い 」「 す さ ま じ く 高 い / 安 い 」の よ う に 相 矛 盾 す る ペ ア の 用 例 が 可 能 で あ る 。 また、これらの形容詞が、連用形で意味的中立化をするとき、程度 副詞的な意味になってくると指摘している。. 5.
(11) 3. 仁 田 (2002) 仁 田 (2002)に よ る と 、 「すごく」 「ひどく」 「 え ら く 」は 純 粋 程 度 の. 副詞であり、評価性に属する移行・派生型の程度の副詞でもある。 仁 田 (2002: 159)は 、「 す ご く 」「 ひ ど く 」「 え ら く 」 な ど は 程 度 副 詞としての使い方があるとともに、元の感情・感覚・評価を意味す る形容詞としての使い方も存在すると指摘している。しかし、程度 副詞的に使われた場合、形容詞の持っていた感情や評価などの意味 は抑えられたり、希薄化させられたりしているとも述べている。ま た、このような語彙は、形容詞の有している感情・評価に関わる語 彙的意味を色濃く帯びながら、高程度性の程度限定を行っているも のであると主張している。. 立 坂 口 (2010). ‧ 國. 學. 4. 政 治 大. 坂 口 (2010)は 「 す ご く 、 ひ ど く 」 は 共 に 程 度 が は な は だ し い こ と. ‧. を表し、 「 た い そ う 、と て も 」と 似 て い る が 、こ れ ら の 語 は 他 の 活 用 形を持ち、意味も変わらないから、品詞としては副詞ではなく、形. y. Nat. sit. 容詞連用形と考えるべきであると主張している。その点については. er. io. 現 行 の 辞 書 辞 典 の 記 述 と は 異 な り 、矛 盾 す る 部 分 も あ る よ う で あ る 。. al. n. v i n C h ど )の 現 象 をU表 で 表 し て い る 。結 論 と く ひ ど い 」や「 非 常 に 大 変 」な engchi ま た 新 聞 に お け る 用 例 を 収 集 し 、語 と 語 の 相 互 承 接 (た と え ば「 す ご. しては、 「 す ご く 、ひ ど く 、お そ ろ し く 」な ど は 形 容 詞 の 連 用 形 と し 、 「いやに」は副詞と位置付けるのが良いと述べている。. 5. 先行研究の問題点 飛 田 ・ 浅 田 (1991)は 、 こ れ ら の 語 は 程 度 の は な は だ し い こ と を 表. していると主張しているが、それだけでは説明不足だと思われる。 また、 「 ひ ど い 」に 暗 示 さ れ て い る 被 害 者 意 識 は「 す ご い 」に は な い と述べている。しかし、それだけでは以下の例文を説明できない。. (10). 「でも、いっしょにお昼を食べたからといって…」フレ 6.
(12) ミ ン グ 夫 人 が ひ ど く や さ し い 口 調 で い っ た 。「 か な ら ず しも、ユーステス卿の愛人だったとはいえないんじゃあ りません?」 ( ア ン ト ニ イ ・ バ ー ク リ ー『 毒 い り チ ョ コ レ ー ト 事 件 』). (10)の フ レ ミ ン グ 夫 人 が や さ し い 口 調 で い っ た こ と が 、 聞 き 手 に 被害者意識をもたらすとはどう考えてもありえない。それに、ここ の「ひどく」は形容詞の元の意味の残酷で無情な様子、あるいは非 常に悪い様子でなく、ただ程度を表していると言えよう。 また、興味深いのは、形容詞の場合に入れ替えられる「えらい」. 政 治 大. 「 ひ ど い 」「 大 変 」は 、副 詞 的 に 使 わ れ る と 入 れ 替 え ら れ な く な る 。. 立. えらい/ひどい/大変な 目にあった。. (12). *え ら く / *ひ ど く / 大 変 申 し 訳 あ り ま せ ん 。. ‧. ‧ 國. 學. (11). (12)か ら 分 か る よ う に 、 こ れ ら の 語 は 程 度 の は な は だ し い こ と を. y. Nat. sit. 表 す と 共 に 、ま た 異 な る 部 分 が あ る と 思 わ れ る 。ま た 、 「 ば か 」に つ. er. io. いても、程度のはなはだしいことを誇張するニュアンスがあり、や. al. n. v i n C h 常 の 状 態 を 超Uえ て は な は だ し い こ と を 話者の主観としての程度が通 engchi や主観的な表現になっていると記述しているが、 「 非 常 」に つ い て も. 誇張するニュアンスがあると記述している。しかし、両者の異なる ところがどこにあるのか分からない。 また、本稿の研究対象は確かに程度副詞として使われる場合に、 元 の 形 容 詞 と し て の 意 味 が 含 ま れ る 場 合 が あ る が 、 仁 田 (2002)の 分 析についても、単に例文を見るだけでは、評価性をもっているか否 か、また、連用形で述語を修飾する場合、形容詞としての意味は残 っているか否かなどは判断できない。. (13). 涙 は 出 て な く て も 、私 に は そ う い う 気 持 ち が す ご く わ か ります。みんなにはわからなくても、私には、見えない 7.
(13) 母の涙が見えてくるのです。私は、このごろこう思うよ うになりました。 (中 林 重 祐『 会 い ま せ ん か ? 話 し ま せ ん か ? 』). (14). ノルトハイムの夫婦が酔っぱらいたちに すごく 腹を立 てていた。酔っぱらいたちは隣の酒場を出たあと、決ま って郵便受けにおしっこをひっかけていった。 (ロ ル フ・ヴ ィ ル ヘ ル ム・ブ レ ー ド ニ ヒ『 悪 魔 の ほ く ろ 』). (15). 淡紅色の羽がところどころ車の排気ガスで煤けていたし、 ひ ど く 瘦 せ て も い た け れ ど 、 とに か く 全 体 と し て 淡 紅 色 を保ち、淡紅色でもって世界から超然としていた。. (16). 立. 政 治 大. (辺 見 庸 『 ゆ で 卵 』 ). こ れ は 先 例 は 幾 つ も あ り ま し て 、時 間 が あ り ま せ ん か ら 、. ‧ 國. 學. またそれを論議しようというのじゃありませんからよけ い申し上げませんが、キューバからアメリカのマイアミ. ‧. の飛行場に亡命機が飛んできて、着陸してしまってその 後になってわかったという、あれほど完全な装備をして. y. Nat. sit. おるはずのアメリカだって国防省自体が えらく びっく. er. io. りした。. al. (国 会 会 議 録 ). n. v i n C h し て い る と 思Uわ れ る が 、 評 価 性 も 含 ま (13)~ (16)は 一 見 程 度 を 表 engchi. れていると言えよう。 「すごく」 「ひどく」 「 え ら く 」は 程 度 も 評 価 も. 表すことができるが、通常の程度副詞とはどのように異なるかにつ いてはさらに分析する必要があると思われるので、それについては 第 4 章で考察する。 ま た 、 坂 口 (2006)の 新 聞 に お け る 用 例 は 形 容 詞 の 場 合 し か な く 、 動詞を修飾する例はほとんどない。動詞を修飾する場合を除き、形 容詞が後接する用例だけ見るのでは、分析の結果が正しくなくなる 恐 れ が あ る 。 ま た 、 品 詞 の 判 別 に 止 ま れ ば 、「 す ご く 」「 ひ ど く 」 な ど の 語 に 含 ま れ て い る 評 価 性 は 見 え な く な る 。さ ら に 、 「すごく/ひ どく」などの例で「すごく」と「ひどく」は入れ替えられる場合が 8.
(14) あると述べているが、入れ替えられない場合もあるのに、それにつ いての説明はない。 先行研究はいずれも副詞形になる各語の異同を分析しているが、 元の形容詞の意味と統語的特徴を分析せずにすませるなら、これら の 語 が 正 し く 捉 え ら れ な い の で は な い だ ろ う か 。 小 野 (1997)は 形 容 詞連用形が意味的な中立化をすることを指摘しているが、基本義と の関係、意味変化のメカニズムは、未だ充分明らかになっているわ け で は な く 、さ ら に 考 察 す る 必 要 を 感 じ る と も 述 べ て い る 。そ こ で 、 本稿は先行研究を踏まえ、まず各語の形容詞を意味・統語から分析 し、さらに副詞形と動詞との共起関係を研究する。. 立. 政 治 大. ‧. ‧ 國. 學. n. er. io. sit. y. Nat. al. Ch. engchi. 9. i n U. v.
(15) 第2章 1. 形容詞としての研究対象. 「すごい」 飛 田・浅 田 (1991)に よ る と 、 「 す ご い 」に は 三 つ の 意 味 特 徴 が 含 ま. れている。. 特 徴 1:. 非常に恐ろしい様子を表す。……「おそろしい」に 比 べ て 、受 け る 恐 怖 が 感 覚 的 で 、具 体 的 に 何 が ど の よ う に 恐 ろ し い の か ま で は 言 及 し て お ら ず 、非 常 に 主 観 的 に 恐 怖 を 述 べ る ニ ュ ア ン ス が あ る 。… し ば し ば 、恐. 政 治 大 観 的 な立 恐怖を表す文脈においてはふつう用いない。. 怖 の 他 に 驚 き・憤 慨 な ど の 別 の 思 い 入 れ が 加 わ り 、客. 程度のはなはだしい様子を表す。原則としてプラス. ‧ 國. 學. 特 徴 2:. マ イ ナ ス の イ メ ー ジ は な い 。… … か な り 俗 語 的 で 、日. ‧. 常 会 話 中 心 に 用 い ら れ 、か た い 文 章 中 で は 用 い ら れ な い。……. y. Nat. 意味 2 から一歩進んで、感動詞的にまたは述語とし. sit. 特 徴 3:. al. er. io. て 用 い ら れ 、感 嘆・驚 き・あ き れ な ど の 気 持 ち を 表 す 。. v. n. ややプラスよりのイメージの語。. Ch. engchi. i n U. 一般的に、特徴 1 のような〈非常に恐ろしい〉という意味は「す ごい」の基本義と認められている。しかし、一見同じ〈恐怖を感じ る〉という共通点を持つ「恐ろしい」と「すごい」には異なるニュ アンスが含まれている。. (1). こ の 「 突 然 変 異 ウ ィ ル ス 」。 不 幸 に も 感 染 し て し ま っ た 人 に と っ て は 恐 ろ し い / *す ご い 存 在 だ ろ う 。 ( 加 藤 良 平 『 遺 伝 子 工 学 が 日 本 的 経 営 を 変 え る ! 』). 社 会 的 な 評 価 性 と 共 感 覚 を 持 つ「 お そ ろ し い 」と 比 べ る と 、 「すご 10.
(16) い 」は 個 人 的 な 評 価 性 を 表 す と 思 わ れ る 。ま た 、 「 お そ ろ し い 」の よ うに純粋な恐怖だけを表すのでなく、 「 す ご い 」に は 驚 き な ど の 感 覚 も含まれていると思われる。 個 人 的 で 、か つ 驚 き も 含 ま れ て い る〈 恐 怖 を 感 じ る 〉意 味 以 外 に 、 「 す ご い 」も 特 徴 2 の よ う に 、程 度 の 甚 だ し さ を 表 す こ と が で き る 。. (2). ザ ー ザ ー と 降 っ て い た 、あ の す ご い 雨 も 、い つ の ま に か 上 がったようです。. (3). ( 郡 司 な な え『 が ん ば れ ! 盲 導 犬 ベ ル ナ 』). そおっと顔を出したカケル目がけて暗い空から青いひと か か え も あ る 毛 玉 の よ う な も の が 、す ご い 勢 い で 回 転 し な. 政 治 ( 速大水 彩 『 青 い ブ リ ン ク 』). がらふってきたのだ。 (4). 立. 都市部における嫌煙の動きは、ご存じのとおり非常に厳し. ‧ 國. 學. く 、 また す ご い ス ピ ー ド で 取 り 締 ま り が 強 化 さ れ て い っ た 。 ( 小 林 至 『 不 幸 に 気 づ か な い ア メ リ カ 人 幸 せ に 気 づ か な い 日 本 人 』). ‧. 特 徴 1 か ら 〈 非 常 に 〉、〈 桁 外 れ 〉 の 意 味 を 引 き 出 し た の は 特 徴 2. y. Nat. sit. の「程度が甚だしい」である。特徴 2 の「すごい」はよく程度性の. er. io. ある名詞と共起しており、もとの〈驚くほど〉という意味も含まれ. al. n. v i n C h て い る 。 し かUし 、 述 語 と す る 場 合 だ け 嘆、驚きなどの気持ちを表し engchi. て い る と 思 わ れ る 。さ ら に 、特 徴 3 の よ う に 、 「 す ご い 」も 話 者 の 感. ではなく、装定用法で表現することもできると思われる。また、そ の 場 合 、文 脈 に よ っ て 、 「 す ご い 」は 異 な る 意 味 を 表 す こ と が で き る 。. (5). 「オジサマこそ、驚いたわ。まァ、 スゴイ 服、着てらっ し ゃ る じ ゃ な い の 。靴 も 、帽 子 も … 」 ( 西 尾 (1983:152)). 西 尾 (1983)で は 程 度 を 表 す 「 す ご い 」 の 対 象 が 〈 こ と 〉 だ け で な く 、〈 も の 〉 で も 可 能 で あ る と 指 摘 し 、 さ ら に 、 (5)に つ い て 以 下 の ように説明している。 11.
(17) 「 … こ れ は 、た と え ば「 す ご く り っ ぱ な 服 」 「すごく 上等な 服」 といったような、 「 す ご く 」の 限 定 す る 語 が「 す ご い 」の 中 に 包 摂 さ れ た よ う な 表 現 だ と 考 え る こ と が で き よ う か 。」. つまり、 「 す ご い 」が 用 い ら れ る 場 合 に 共 通 す る の は〈 程 度 が 甚 だ し い こ と 〉で あ り 、 「 何 の 程 度 が 甚 だ し い の か 」は 文 脈 で 推 測 す る し かない。 さらに、特徴 3 の場合、好ましい内容について用いることが多い と 指 摘 し て い る が 、そ れ は 文 脈 に よ っ て 決 ま る と 思 わ れ る 。例 え ば 、 「 あ の 人 、す ご い 」と 聞 く と 、 「 あ の 人 」に 対 す る い い 評 価 、悪 い 評. 政 治 大. 価 い ず れ に も 感 じ ら れ る 。つ ま り 、 「 す ご い 」は た だ 話 者 個 人 に と っ. 立. 學. すごい 目つき→目つきが すごい 。. (7). すごい 事故現場→事故現場が すごい 。. (8). すごい 人波→人波が すごい 。. (9). すごい 勢い→勢いが すごい 。. (11). すごい 写真→写真が すごい 。. Ch. y. (「 多 い 」 ). (「 大 き い 」 ). (「 よ い 」 ). n. al. (「 凄 惨 」 ). sit. すごい 腕→腕が すごい 。. io. (10). (「 鋭 い 」 ). engchi. er. Nat. (6). ‧. ‧ 國. て 、〈 程 度 が 甚 だ し い 〉 と い う 意 味 し か 表 さ な い と 思 わ れ る 。 ま た 、. i n U. v. (「 優 秀 」 ). これらの例では話者が畏怖、威圧感で圧倒されるようなニュアン スが含まれ、 「 鋭 い 」と 入 れ 替 え ら れ る (6)と 話 者 が 恐 怖 を 感 じ 、 〈凄 惨 〉 と い う 意 味 を 表 し て い る (7)は や や マ イ ナ ス 評 価 で あ る 。 (8)、 (9)は 話 者 が 驚 き で 圧 倒 さ れ る と い う 意 味 を 表 し 、そ れ ぞ れ「 多 い 」、 「 大 き い 」と 置 換 で き る が 、評 価 性 の な い ゼ ロ 評 価 で あ る と 言 え る 。 (10)、(11)も「 よ い 」 「 優 れ た 」な ど の 形 容 詞 と 入 れ 替 え ら れ 、プ ラ ス評価であるが、話者にとって感嘆・驚きなどのニュアンスを伴っ て い る と 思 わ れ る 。し た が っ て 、 「 す ご い 」の 意 味 は 被 修 飾 名 詞 の 語 彙性に左右されるが、 〈 程 度 が 甚 だ し い 〉と い う 基 本 義 は 含 ま れ て い ることになるであろう。 12.
(18) さ ら に 、 面 白 い こ と に 、 (12)(13)が 示 し た よ う に 、 同 じ 「 添 加 物 はすごい」という文では、異なる意味で説明することができる。. (12). 購買部のパン買いたいけど添加物が すごい んだよなぁ。 ( Yahoo! 知 恵 袋 ). (13). 添加物は すごい 。魔法の粉だ。暗い土色の原料タラコ。 添加物の液に一晩漬けると赤ちゃんの肌のようなプリプ リのタラコに変貌する。 ( https://www.facebook.com/permalink.php?id=162790237 188674&story_fbid=189089711225393). 政 治 大. 立. (12)の 文 脈 に よ る と 、 話 者 は 「 添 加 物 が た く さ ん あ る 」 と い う 意. ‧ 國. 學. 味 で 、〈 量 ・ 程 度 〉 の 表 現 で あ る が 、〈 量 が 多 い 〉 だ け で は な く 、 添 加 物 に 対 す る 話 者 の 嫌 悪 の 気 持 ち が 現 れ て い る 。 (13)は 感 嘆 ・ 驚 き. ‧. の 気 持 ち を 表 し て い る と 思 わ れ る 。そ の 点 か ら 見 る と 、 「 す ご い 」は 同じ対象でも文脈によって評価が反対になる。もともと評価形容詞. y. Nat. sit. と 視 さ れ る「 す ご い 」は 、拡 張 義 で 用 い る 場 合 、 〈程度が並外れてい. n. al. er. io. る 〉と い う 意 味 で 使 わ れ て い る こ と も あ る が 、近 年「 す ご い 速 い ! 」. i n U. v. 「すごい可愛い!」などの形容詞形で形容詞を修飾する日常的な言 い方もよく聞かれる。. Ch. engchi. したがって、本稿は同じく話者の主観的な気持ちを表す飛田・浅 田 (1991)の 特 徴 1 と 特 徴 3 に 基 づ き 、 「 す ご い 」に は 以 下 の 二 つ の 意 味特徴が含まれていると考える。. 意 味 特 徴 1: 話 者 に と っ て 、被 修 飾 語 は 程 度 が 甚 だ し く 、並 外 れ ている。 意 味 特 徴 2: 話 者 の 主 観 的 な 感 嘆 ・驚 き・ 恐 怖 な ど の 気 持 ち を 表 している。. 13.
(19) 2. 「えらい」 梶 原 (2012)は 「 え ら い 」 の 意 味 分 析 を し 、 別 義 を 五 つ 指 摘 し て い. るが、別義が相互にどのような関係になっているかなどに関する説 明 は な い 。 何 故 「 え ら い 」 は 基 本 義 の 〈 優 れ て い る 〉、〈 人 と し て 偉 大 だ 〉 か ら 拡 張 義 の 〈 並 々 で は な い 〉、〈 程 度 が 並 外 れ て い る 〉 へ と 派生しているのか。 ま た 、 増 井 (1991)は 「 え ら い 」 の 意 義 変 化 の 過 程 に つ い て 、 近 世 前期宝暦年間から現代への跡付けを考察している。その結果、現代 において〈立派である、地位が高い〉といった意味と〈程度が甚だ しい〉という意味が両方が用いられているが、近世は専ら後者の意. 政 治 大. 味で用いられ、近世前期は〈程度が甚だしい〉という意味を表し、. 立. 幕末から明治に至って現代語と同様の意味である〈立派だ、優れて. ‧ 國. 學. い る 〉と し て 用 い ら れ て い る 、と し て い る 。本 節 で は そ の よ う な「 え らい」の意味的、または統語的な特徴を分析する。. ‧. 意味の面から. Nat. y. 2.1. sit. 「 え ら い 」の 意 味 分 析 に つ い て 、梶 原 (2012)は「 立 派 だ 」と 比 べ 、. er. io. 「えらい」の多義的別義を次のようにまとめている。. al. n. v i n C そ の 行 動 が 〉〈 U 別 義 ①: 〈 話 題 の 人 間 やh e n g c h i 普 通 の 人 間 と 比 べ 〉〈 行 為 の質が上だと捉えられるさま〉. 別 義 ②: 〈話題の人間が〉 〈普通の人間と比べ〉 〈社会的に上だと 捉えられるさま〉 別 義 ③: 〈話題の対象が〉 〈話者が予想する標準値から〉 〈大きく 離 れ て い る と 〉〈 捉 え ら れ る さ ま 〉 別 義 ④: 〈話題の人物や事柄が〉 〈社会的規範から〉 〈外れている と 〉〈 捉 え ら れ る さ ま 〉 別 義 ⑤: 〈話題の行為が〉 〈肉体的に困難であると〉 〈捉えられる さま〉 (梶 原 (2012: 24)) 14.
(20) 梶 原 (2012)は そ れ ぞ れ の 別 義 に 当 て は ま る 例 文 を 取 り 上 げ て い な いため、筆者が以下の「えらい」の例文をあげてみる。. (14). 三つめは、以上の二つのことを土台としてその上に、子 ど も に 日 本 で 一 番 え ら い “ 人 ” は 天 皇 で あ る こ と を 、手 を替え品を替えて教え込もうとしていることです。 ( 増 田 孝 雄『 政 治 と 教 育 の あ い だ 』). (15). 小 学 校 で よ い 成 績 を と る た び 、親 は 「 ま あ 、 え ら い じ ゃ ないの!」と飛び上がって喜び、近所にも親戚にも自慢 していました。. (16). 立. 政( 水 澤治 都 加 佐『「 も え つ き 」の 処 方 箋 』) 大. 特に日本に向けて、遺伝子組み換え食品は安全だという. ‧ 國. 學. 意 識 を つ く る た め の 広 報 費 用 ま で 、え ら い お 金 を 用 意 し ている。. (『 国 会 会 議 録 』 ). 現場は えらい 人だった。. (18). 彼は、美代子の顔を眼にうかべながら、心で夢中で繰り. (作 例 ). Nat. y. ‧. (17). sit. 返していた。 えらい ことになった…、 えらい ことになっ. al. v i n C あ ざ を こ さ え てUは り ま し て な あ 。 左の頰に えらいh engchi n. (19). er. io. た … お れ は 、き っ と 殺 さ れ る 。 ( 椎 名 麟 三『 作 家 の 自 伝 』) おきぬはんがうちへ初めて品物を売りに来はったのは笄、. (澤 田 ふ じ 子『 見 え な い 橋 』). (20). 「 農 業 は え ら い か ら 、娘 は 農 家 の 嫁 に は し な い 」 と も 思 ってました。 (『 日 本 の 宝 =水 田 を 生 か し て 新 し い 産 地 づ く り 』). (21). 母親に捨てられた過去を女の子たちに話すことで適当に いい気持ちになっていた俺とは えらい 違いだ。 ( 村 山 由 佳『 天 使 の 梯 子 』). (22). だって停電して真っ暗になっちゃったのよ。みんな騒ぎ だすはずでしょう?ホテルはほぼ満室だったし、そんな ことになったら えらい 騒ぎになってるはずですもの。 15.
(21) (村 上 春 樹『 ダ ン ス・ダ ン ス・ダ ン ス 』). (23). 高校がほぼ全入に近くなっているのに、その中途脱落者 が え ら い 勢 い で 増 え て い る と い う の は 、 世の 中 の 責 任 は ともかく、いったい家庭でどんな教育をしてきたのかと 考えたくなります。. (加 山 雄 三『 こ の 愛 い つ ま で も 』). 以 上 の 例 文 を 梶 原 の 別 義 の 分 類 に 当 て は め る と 、 (14) は 別 義 ① 、 (15)は 別 義 ② で あ る が 、二 文 と も 語 彙 的 な 意 味 を 完 全 に 備 え た 基 本 義 で あ る と 思 わ れ る 。 そ し て 、 (16)~ (19)は 別 義 ③ に 属 し 、 そ れ ぞ れ「 お 金 が た く さ ん あ る 」 「人が多い」 「大変なこと」 「あざがひどい」. 政 治 大. と い う 意 味 を 表 し て い る 。さ ら に 、(20)は 別 義 ⑤ で あ る と 判 断 で き 、. 立. 農業は〈大変だ、疲れる〉から、娘を農家の嫁にしたくないという. ‧ 國. 學. 意 味 で あ る 。 (21)~ (23)は 〈 量 の 程 度 が 高 い 〉 と い う こ と で 、 (16) と (17)と 同 じ く 別 義 ③ に 分 類 さ れ う る 。 ま た 、 梶 原 (2012)は そ れ ぞ. ‧. れの別義の例文を挙げておらず、別義④に相応しいものは見つから ない。さらに、ただ辞書での記述を検討するだけで、意味的と統語. y. Nat. sit. 的 側 面 か ら 分 析 し な い と 、単 語 を 全 面 的 に 捉 え ら れ な い 恐 れ が あ る 。. n. al. er. io. し た が っ て 、 梶 原 (2012)の 分 析 を 基 に し 修 正 し て 、 本 稿 で は 多 義 語. i n U. v. の「えらい」について以下のように分類し、さらに統語的な面も含 めて考察する。. Ch. engchi. 意 味 1: 話 者 に と っ て 、 人 間 の 性 格 、 行 動 、 業 績 が 優 秀 で 、 立 派である。 意 味 2:主 題 は 話 者 の 予 想 す る 標 準 値 か ら 、大 き く 離 れ て い る 。 意 味 3: 話 者 に と っ て 、 主 題 は 肉 体 的 に 困 難 で あ る 。. 4. 基本義の意味 1 の修飾対象を拡張すれば、程度性がある抽象名詞 と 共 起 す る 場 合 、そ の 名 詞 が 話 者 の 予 想 以 上 の 程 度 に あ る 、つ ま り 、. 4. 意味 3 は関西方言であるが、一つの意味として分類する。 16.
(22) 程度が並でないということになる。この認知プロセスがあるため、 「えらい」は意味 2 のように、程度がはなはだしいことを表すよう になると言えよう。さらに、意味 1 の修飾対象をメトニミーによっ て人間の〈肉体〉だけを焦点におけば、その〈肉体〉に予想以上の 苦痛を与えるという意味を帯びるようになる。 何故「えらい」という言葉に「人が立派だ」という絶対的プラス 評価の意味と、 「 肉 体 的 に 苦 痛 だ 」と い う 絶 対 的 マ イ ナ ス 評 価 の 意 味 が 含 ま れ る の か 。 こ れ は 増 井 (1991)の よ う に 通 時 的 に 考 察 し な い と 断 言 で き な い が 、現 代 の 用 法 を 評 価 の 視 点 か ら 見 る と 、 ( 14)か ら( 23) の「えらい」は述定用法、または装定用法で被修飾名詞が「人」で. 政 治 大. あ る 場 合 は「 立 派 だ 」 「 つ ら い 」と い う 基 本 義 で 使 わ れ る が 、装 定 用. 立. 法になると基本義の評価性が薄れて程度性が強くなっていることが. ‧ 國. 學. わ か る 。 に も か か わ ら ず 、 (14)(15)、 (18)~ (20)の 「 え ら い 」 は も のの〈質〉を修飾している共通点を持っていると思われる。一方、. ‧. (16)(17)、 (21)~ (23)の 「 え ら い 」 は 以 上 の 例 文 と 異 な り 、 も の の 〈 質 〉 で は な く 、〈 量 ・ 程 度 〉 を 表 す こ と も 明 ら か で あ る 。. y. Nat. sit. し た が っ て 、以 上 の 分 析 か ら 見 る と 、 「 え ら い 」は 基 本 義 で 質 的 側. er. io. 面を表しているが、拡張義で量的側面を表していると思われる。物. al. n. v i n C h (23)の よ うUな 場 合 、 よ う な 特 性 が あ る 。た だ 、(21)~ 「 え ら い 」の〈 質 〉 engchi には〈質〉と〈量・程度〉という両側面があるが、形容詞にもその. が 薄 れ 、量 的 側 面 が 焦 点 に な る 。そ れ ゆ え 、 〈 量・程 度 〉の「 え ら い 」. は プ ラ ス・マ イ ナ ス の 意 味 が 含 ま れ ず 、 〈 量 の 程 度 が 甚 だ し い 〉こ と しか表さないと言える。. 2.2. 統語の面から. 「えらい」は前述したように、人格、行動、業績などの優秀さ、 さらに程度のはなはだしさなどの用法が含まれている。また、修飾 対象の名詞の抽象度が高いほど、量・程度表現として使われる場合. 17.
(23) が多いと言える。. 5. さ ら に 、面 白 い こ と に 、 「 え ら い 」は 意 味 1 と 意 味 3 で 使 わ れ る 場 合 、装 定 用 法( つ ま り 、 「 え ら い ○ ○ 」)と 述 定 用 法( ○ ○ は え ら い ) のいずれも持っているが、意味 2 で使われる場合は装定用法しかな いようである。. (24). え ら い 小 学 生 → あ の 子 は え ら い 。( 意 味 1). (25). え ら い 学 者 → あ の 学 者 は え ら い 。( 意 味 1). (26). え ら い あ ざ → *あ の あ ざ は え ら い 。( 意 味 2). (27). え ら い 騒 ぎ → *あ の 騒 ぎ は え ら い 。( 意 味 2). (28). え ら い 農 業 → 農 業 は え ら い 。( 意 味 3). 立. 政 治 大. ‧ 國. 學. 語 彙 的 観 点 か ら 見 れ ば 、 (24)(25)(28)は プ ラ ス か マ イ ナ ス の 評 価 が あ る が 、 (26)(27)は プ ラ ス も マ イ ナ ス も な い 、 つ ま り ゼ ロ 評 価 で. ‧. ある。しかし、何故〈人間〉や〈人間の行動〉などと関わっていな い意味 2 は述定用法で用いられないのか。. y. Nat. sit. 日 本 語 の 形 容 詞 は 一 般 に 装 定 用 法 も 述 定 用 法 も 持 っ て い る 。ま た 、. n. al. er. io. 装定用法は形容詞の本来的機能であり、述定用法は二次的なもので. i n U. v. あ る と 思 わ れ る ( 湯 (2012:246))。 湯 (2012: 256)は さ ら に 以 下 の よ うに指摘している。. Ch. engchi. 「…装定・連体用法は主に修飾する主要部名詞の〈内的属性〉 や 、〈 内 的 生 理 〉〈 心 理 状 態 〉 に つ い て 叙 述 す る こ と が 多 い 」. 確 か に 、(24)(25)(28)の「 え ら い 」は 話 者 は「 小 学 生 」 「学者」 「農 業 」の 本 来 的 に 内 包 し て い る と 考 え ら れ る 性 質・属 性 を 引 き 出 し て 、 評 価 を 与 え て い る と 思 わ れ る が 、 (26)(27)は ど う で あ ろ う か 。. 5. そ れ に つ い て 、 森 田 (2 001: 32) で は 、「 え ら い 」 と 被 修 飾 語 と は 、「 修 飾 す る こ と に よ っ て 、被 修 飾 語 の 意 味 と の 相 互 作 用 で 、意 味 の 具 体 性 が 形 骸 化 し て い く 」 と述べている。 18.
(24) 「 え ら い 」は 意 味 1 が 基 本 義 で あ り 、 〈 人 間 〉あ る い は〈 人 間 の 行 動 〉と 関 わ っ て い る 。し た が っ て 、装 定 用 法 で は 、 〈 人 間 〉あ る い は 〈人間の行動〉を限定・修飾している。この場合、述定用法では、 話 者 は 修 飾 語 に 対 す る 評 価 を 与 え る こ と に な る 。一 方 、 「 え ら い 」は 意味 2 で使われる場合、被修飾語には量・程度の概念が含まれてい なければならないと言えよう。したがって、程度性のある名詞と共 起するのが「えらい」の意味 2 として用いられる前提であると思わ れる。しかし、意味 2 の述定用法は不適格である。装定用法とは異 な り 、述 定 用 法 は 通 常 感 情 を 表 す 性 状 語 と 共 起 し て い る 。仁 田 (1998) でも形容詞を属性、評価・判断、感情・感覚と分類しており、それ. 政 治 大. ぞれの述定、装定用法について調査している。その結果、属性形容. 立. 詞は用法の中心が装定であり、評価・判断と感情・感覚形容詞は述. ‧ 國. 學. 定 が 装 定 を 上 回 る と 指 摘 し て い る 。そ れ 故 、 「 え ら い 」は 述 定 用 法 で 使われると、評価の意味が含まれているため、評価という意味しか. ‧. 現れていない。しかし、量・程度を表す「えらい」と共起する被修 飾語は、 〈 人 間 〉あ る い は〈 人 間 の 行 動 〉な ど と は 関 わ ら ず 、共 起 で. y. Nat. er. io. al. v i n C 「 ひ ど い 」は「 非 道 」を 形h容e詞 化 し た も n g c h i のUで あ り 、漢 字 も「 酷 い 」 「ひどい」. n. 3. sit. きなくなるのも当然であろう。. や「 非 道 い 」で 表 さ れ て い る 。一 般 的 に も 、 「 ひ ど い 」の 基 本 義 は〈 道. 義 に 外 れ て 残 酷 で あ る 〉 と さ れ て い る 。 例 え ば 、「 あ の 人 、 ひ ど い 」 と聞くと、必ず「あの人」の残酷で無情な様子を思い浮かべ、マイ ナ ス 評 価 に な る 。さ ら に 、 「 え ら い 」と 同 じ よ う に 、程 度 性 を 持 つ 抽 象名詞を修飾する場合、程度を表し、元のマイナス評価が加わり、 修 飾 対 象 を〈 非 常 に 悪 い 〉も の と 評 価 づ け る こ と に な る 。ま た 、 〈非 常 に 悪 い 〉の〈 非 常 に 〉を プ ロ フ ァ イ ル す る と 、 〈程度がはなはだし い〉とさらに拡張される。 ま た 、 修 飾 対 象 に つ い て 、 (29)~ (32)の よ う に 、 人 間 の 生 理 や 心 理 の 不 快 や 苦 痛 と 共 起 す る こ と が 多 い 。 そ れ に 、 (33)(34)の よ う に 19.
(25) 自然現象の悪い様子も修飾できる。. (29). 私 も 、妊 娠 中 肉 を 食 べ て ひ ど い つ わ り を 起 こ し た の で す 。 (ジ ェ ニ ー 牛 山 『 病 気 知 ら ず の 食 べ 方 が あ っ た 』 ). (30). 「 ひ ど い 二 日 酔 い で 、ず っ と 寝 て い た 日 だ っ た か も し れ ないな」. (31). (中 村 邦 生 『 月 の 川 を 渡 る 』 ). 顔面の筋緊張が強く,顔全体が突っ張ったようになり目 が 異 様 に 強 く 見 開 い て い る 。ひ ど い ス ト レ ス が 持 続 し て 解消されず、心労が極値に達しているのが一目でわかっ た。. (32). (大 草 正 信『 学 校 心 理 士 の 実 践 』). 政 治 大. こ と に 私 の 場 合 、体 が 弱 い ほ う だ か ら 、落 ち 込 み も ひ ど. 立. い 。こんな こと を 、も う何 十回 も経 験しな がら 、いま だ. ‧ 國. 學. に私は自分の体のリズムがつかめないでいる。 (谷 沢 永 一 『 ビ ジ ネ ス マ ン の た め の 宮 本 武 蔵 五 輪 書 』 ). 朝 か ら ひ ど い 土 砂 降 り で あ っ た 。 ホテ ル の 窓 か ら 見 る と 、. ‧. (33). 徳 島 市 街 が け ぶ っ て い る 。(内 田 康 夫『 藍 色 回 廊 殺 人 事 件 』). y. Nat. タソックという革が雨に濡れて滑りやすい上に、マタガ. sit. (34). er. io. ー リ と い う イ バ ラ の 灌 木 の ト ゲ が 痛 い 。そ の 上 に ひ ど い. n. al. i n C he を着こんでいた僕 は 汗 ま み れi だU ngch 。. v. 湿 気 だ か ら 、グ ー ス・ダ ウ ン の ジ ャ ケ ッ ト と 防 水 の 雨 具. (大 藪 春 彦 『 小 説 す ば る 』 ). 以上の例文から見れば、 「 ひ ど い 」と 共 起 し て い る 名 詞 は マ イ ナ ス の 意 味 が 含 ま れ る も の で あ る が 、(35)の「 状 態 」、(36)の「 顔 」、(37) の「言葉」など評価性を含まない無標の名詞をも修飾して、マイナ ス方向に評価づけることもできる。. (35). 健ち ゃん は 今、戦っ てい るん だ、と思 いま した 。皮 膚が ひ ど い 状 態 で 、ス ト ー マ ー を ど う す る の か も 悩 み で し た 。 (重 田 さ ゆ り 『 13 歳 の 遺 言 』 ) 20.
(26) (36). しばらく僕らは顔を見合わせていました。きっとその頃 僕は ひどい 顔をしていたんだと思います。 (村 上 春 樹 『 レ キ シ ン ト ン の 幽 霊 』 ). (37). 「 …で も 、記憶に はし っか り 残りま す 。自 分が どれほ ど ひ ど い 言 葉 を 相 手 に 投 げ つ け た か と い う 、明 確 な 記 憶 が 。 …」. (吉 村 達 也『 ス イ ッ チ 』). 西 尾 (1983)に よ る と 、 拡 張 義 で 使 わ れ る 「 ひ ど い 」 は 「 中 心 的 な 意 味 が 弱 ま り 、程 度 の 大 き い こ と が 主 な 要 素 に な っ て い る 」が 、 「ま だそのことを受ける人間にとって被害のあることをも表しており、. 政 治 大. 完 全 な 程 度 の 表 現 と は 言 い 切 れ な い 段 階 で あ ろ う 」。 そ し て 、「 ひ ど. 立. い 」 を 程 度 表 現 の 語 と す る 例 文 を も 取 り 上 げ て い る (西 尾 (1983:. ‧ 國. 學. 148))。つ ま り 、 「 ひ ど い 」に は 話 者 の 被 害 意 識 を 表 す〈 非 常 に 悪 い 〉 と〈程度が甚だしい〉という二つの拡張義を持つと暗示している。. ‧. し か し 、 ど ん な 場 合 が 〈 非 常 に 悪 い 〉、〈 程 度 が 甚 だ し い 〉 を 表 す の かははっきりしていない。. ひどい 汚染→汚染が ひどい 。. (41). v i n C → ?シ ョ ッ ク が U ひ ど い シ ョ ッ クh e n g c hi ひどい 。 n. (40). al. er. (39). io. ひどい 扱い→扱いが ひどい 。. sit. y. Nat. (38). ひ ど い 騒 ぎ → ?騒 ぎ が ひ ど い 。. (作 例 ) (作 例 ) (作 例 ) (作 例 ). (38)の よ う に 、 一 般 的 に 修 飾 対 象 が マ イ ナ ス イ メ ー ジ も プ ラ ス イ メージもない場合、 「 ひ ど い 」は〈 非 常 に 悪 い 〉を 表 し て い る 。一 方 、 (39)の よ う に 、 修 飾 対 象 に マ イ ナ ス イ メ ー ジ が 含 ま れ て い る 場 合 、 〈 程 度 が 甚 だ し い 〉 こ と を 表 し て い る 。 さ ら に 、 (40)(41)の よ う に 〈程度が甚だしい〉ことを表す場合、装定用法は使われるが述定用 法は使われないようである。. 21.
(27) 4. 「 す ご い 」「 え ら い 」「 ひ ど い 」 の 相 違 点 前述したように、 〈 量・ 程 度 〉の「 え ら い 」は プ ラ ス 評 価 か マ イ ナ. ス 評 価 を 含 ま ず 、単 に〈 量 の 程 度 が 甚 だ し い 〉こ と し か 表 さ な い が 、 「すごい」も意味が被修飾名詞の語彙的意味に左右されると思われ る 。一 方 、 基本 義 が 強 い「 ひ ど い 」 は〈 量・程 度 〉 を表 す 場 合 で も 、 主 に マ イ ナ ス 評 価 を 表 し て い る 。本 節 で は 、 「すごい」 「えらい」 「ひ どい」を比較し、それぞれの相違点を分析する。. (42). すごい / えらい / ひどい 叱り方だ。. (作 例 ). (43) 「 も し か し て 、ひ か る は 殺 人 鬼 か も し れ な い ぞ 」柿 沼 は 、. 政 治 大. 言 っ て お い て 、に や っ と 笑 っ た 。 「 や め て よ 」お く び ょ う. 立. な ひ と み が 、悲 鳴 を あ げ た 。 「 も し そ う だ っ た ら 、こ れ は. ‧ 國. 學. え ら い (/ す ご い / ひ ど い ) 事 件 だ ぜ 。殺 人 女 子 高 生 な ん て…」天野は、矢場の顔をちらちら見ながら言った。. ‧. (宗 田 理 『 ぼ く ら の 「第 九 」殺 人 事 件 』 ). y. Nat. sit. (42)(43)を 見 る と 、 同 じ 修 飾 語 で あ る が 、 そ れ ぞ れ の ニ ュ ア ン ス. er. io. が 異 な る 。 (42)の 叱 り 方 の 程 度 の 高 さ を 装 定 用 法 で 修 飾 す る 場 合 、. al. n. v i n C h 向 け た 攻 撃 的U態 度 を 伴 う 状 況 で 使 わ れ て相手を驚かせるなど外部に engchi 三語はいずれもできるが、 「 す ご い / え ら い 叱 り 方 」は 怒 鳴 っ た り し. るのに対し、 「 ひ ど い 叱 り 方 」は 相 手 の 心 を 傷 つ け た り し て 、相 手 に 〈 被 害 〉 を 与 え る と い う 陰 湿 な 叱 り 方 が 想 像 で き よ う 。 ま た 、 (43) の「えらい事件」はよく誰かが怪我したり命を失ったりした場合に 使 わ れ る 。「 ひ ど い 事 件 」 も こ の よ う な 場 合 に 使 わ れ る が 、〈 話 者 が 被害にあう〉ことを焦点として、事件の残酷さを表すと思われる。 一 方 、「 す ご い 事 件 」 は 話 者 が 感 嘆 ・ 驚 き な ど の 気 持 ち だ け を 表 し 、 事件はプラスかマイナスかは関わらないと思われる。. (44). ?す ご い / え ら い / ひ ど い 叱 責 → 叱 責 が ?す ご い / *え ら い / ひ ど い 。 22.
(28) (45). す ご い / ?え ら い / *ひ ど い 賞 賛 → 賞 賛 が す ご い / * え ら い / *ひ ど い 。. (46). ?す ご い / え ら い / ひ ど い 目 に あ う 。. (47). すごい/えらい/ひどい ことになる。. (48)a b. 今 度 悪 く 言 っ た ら 、後 で ? す ご い / ひ ど い / *え ら い ぞ 。 今度悪く言ったら、後で すごい/ひどい/えらいこと になる ぞ。. さ ら に 、(44)、(45)か ら 分 か る よ う に 、 「 す ご い 」は マ イ ナ ス イ メ ージの「叱責」と共起するとやや不自然であるが、プラスイメージ. 政 治 大. の 「 賞 賛 」 と は 共 起 で き る 。「 え ら い 」「 ひ ど い 」 は 逆 に 「 叱 責 」 と. 立. 共 起 で き る が 、「 賞 賛 」 と は 共 起 で き な い と 思 わ れ る 。 し た が っ て 、. ‧ 國. 學. 「すごい」の評価性は修飾語または文脈で決まるが、プラスイメー ジ の 被 修 飾 語 と 共 起 す る の が 自 然 で あ る と 言 え よ う 。 (46)の マ イ ナ. ‧. スイメージの「目にあう」と共起できないことも同様の事情からで. 6. sit. Nat. 共起する場合が多いと思われる。. y. あ る 。 一 方 、「 え ら い 」「 ひ ど い 」 は マ イ ナ ス イ メ ー ジ の 被 修 飾 語 と. al. er. io. ま た 、 (47)の よ う に 、 三 語 は 抽 象 名 詞 、 ま た 評 価 性 が ゼ ロ で あ る. n. v i n C ご い 」「 え ら い 」 は プ ラ ス とhマeイ ナ ス 評 価 n g c h i とUも 可 能 で あ る が 、 (48). 「 こ と 」 と も 共 起 で き 、「 ひ ど い 」 し か マ イ ナ ス 評 価 を 表 さ ず 、「 す. の省略表現では、 「 ひ ど い 」し か 用 い ら れ な い 。被 修 飾 語「 こ と 」が 省 略 さ れ る と 、各 形 容 詞 は 元 の 意 味 し か 残 さ な い 。し か し 「 、すごい」 の 表 す 意 味 が 文 脈 に 依 存 す る た め 、(48a)は 情 報 が 不 十 分 で プ ラ ス か マ イ ナ ス か 決 め ら れ な い 。 ま た 、〈 量 ・程 度 〉 の 「 え ら い 」 は 述 定 用 法がないため、非文になる。. 6. 田 ら (1 99 8) も そ の 点 に つ い て 述 べ て い る 。 田 ら ( 199 8: 425 )で は 、「 す ご い 」 と 「 ひ ど い 」は 程 度 の 高 さ を 表 す 場 合 、互 い に 入 れ 替 え ら れ る 場 合 が あ る が 、 「「 す ご い 成 績 [で き あ が り ・ 作 品 ・ 食 べ も の ・ 酒 ・ 本 ・ 音 楽 ・ 方 法 ]・ す ご い 絵 を 描 く 」 な ど の プ ラ ス 評 価 は 、「 ひ ど い 」 に 換 え る と 、 マ イ ナ ス 評 価 に な る 。」 と 指 摘している。 23.
(29) 5. 「すばらしい」 「すばらしい」は評価形容詞であり、主にプラスイメージで使わ. れ る と 思 わ れ る 。飛 田 ・浅 田 (1991)は 、 「 す ば ら し い 」に つ い て 、 「非 常にすぐれていて感嘆すべき様子を表す」と指摘しており、意味の 近 い 「 立 派 (な )」、「 す て き (な )」、「 見 事 (な )」 な ど と も 比 べ て い る 7. 。 ま た 、「 述 語 に か か る 修 飾 語 と し て 用 い ら れ た 場 合 、 述 語 の 程 度. を高めるはたらきをする」と述べ、以下のような例文を取り上げて いる。. (49). 今日は すばらしく よく晴れている。. (飛 田 (1991)). (50). うちの弟は すばらしく ばかだ。. (飛 田 (1991)). 立. 政 治 大. ‧ 國. しい〉ことを表さない。. (53)a b (54)a b. y. sit. al. er. す ご い / え ら い / *す ば ら し い 差 が あ る 。. v i n C *す ば ら し いUあ ざ す ご い / え ら いh/ engchi n. b. ス ピ ー ド が す ご い / *え ら い / *す ば ら し い 。. io. (52)a. すごい/えらい/すばらしい スピード. Nat. b. ‧. (51)a. 學. し か し 、(51)の よ う に 、 「 す ば ら し い 」は 連 体 形 し か〈 程 度 が 甚 だ. 差 が す ご い / *え ら い / *す ば ら し い 。. あ ざ が す ご い / *え ら い / *す ば ら し い 。 す ご い / *え ら い / す ば ら し い 快 挙 快 挙 が ?す ご い / *え ら い / *す ば ら し い 。. す で に 述 べ た よ う に 、〈 量 ・ 程 度 〉 を 表 す 場 合 、「 す ご い 」 は 装 定. 7. 飛 田 (1 99 1:3 11) に よ る と 、 優 れ て い る 状 態 を 客 観 的 に 表 す と き 、「 り っ ぱ 」 な どを用いる。 「 す ば ら し い 」は 話 者 の 気 持 ち を 表 し て い る 、主 観 性 の あ る 評 価 形 容 詞 で あ る と 示 唆 し て い る 。 ま た 、「 み ご と (な ) 」 も 意 味 が 似 て い る が 、「 す ば ら し い 」は 物 の 性 質 と し て す ば ら し さ を 暗 示 す る の に 対 し て 、 「 み ご と ( な ) 」は 結 果 と し て の す ば ら し さ を 暗 示 す る と 指 摘 し て い る 。さ ら に 、 「 す て き 」も 感 嘆 の気持ちを表すが、相対的に少なく、対象との間に心理的な距離があると述べ ている。 24.
(30) 用法でも述定用法でも使われるが、 「 え ら い 」は 装 定 用 法 で し か 使 わ れ な い 。「 す ば ら し い 」 も 同 様 の 特 徴 を 持 っ て い る 。 し か し 、 (52) か ら (54)を 見 れ ば 、 〈 量 ・ 程 度 〉の「 す ば ら し い 」が 修 飾 で き る 名 詞 に は 「 す ご い 」「 え ら い 」 よ り 一 層 制 限 が あ る 。 評 価 の 含 ま れ な い 、 た だ「 差 が 大 き い 」を 表 す 場 合 、 「 す ご い 」も「 え ら い 」も 用 い ら れ る が 、「 す ば ら し い 」 は 用 い ら れ な い 。 したがって、 「 す ば ら し い 」は「 ひ ど い 」と 似 て お り 、評 価 性 が 高 いと言えよう。. 政 治 大. 「こわい」との意味の違い. 立. 霊眼で見ると、まるで雷雲を思わせるような、黒雲のご. 學. (55). とき想念エネルギーが地上世界のいろんなところにポッ. ‧. カリと浮かび、この想念体が、さらに大きな混乱を地上 に起こすための物理的な力にかわっていっているようで. y. Nat. sit. す。このように、人間の心の作用とは、すばらしいもの. io. で、反面、 こわい(/おそろしい) ものでもあります。. er. 6.1. 「おそろしい」. ‧ 國. 6. al. n. v i n C h は 昨 年 、 西 ドUイ ツ を 訪 問 し た 時 、 向 う 「しかし、あなた engchi. (56). ( 大 川 隆 法 『 太 陽 の 法 』). の記者たちに、日本の自動車メーカーは、ハローの挨拶 もせず、のこのこ上陸して来て、アメリカ市場をひっか き廻している、われわれビッグスリーにとって、フォル ク ス ワ ー ゲ ン よ り 、日 本 の 自 動 車 の 方 が ず っ と 危 険 で 、 こわい(/おそろしい) 相手だと、云われたではないで すか」 (57). ( 山 崎 豊 子『 不 毛 地 帯 』). こ の「 突 然 変 異 ウ ィ ル ス 」。不 幸 に も 感 染 し て し ま っ た 人 にとっては 恐ろしい/(こわい) 存在だろう。 ( 加 藤 良 平 『 遺 伝 子 工 学 が 日 本 的 経 営 を 変 え る ! 』). (58). 「オイッ、待てッ」警官が 恐ろしい(/こわい) 声で、 25.
(31) どなりました。. ( 江 戸 川 乱 歩 『 三 角 間 の 恐 怖 』). (55)~ (58)の 例 か ら 分 か る よ う に 、意 味 か ら 見 れ ば 、 「おそろしい」 と 「 こ わ い 」 は 類 義 関 係 を 持 っ て い る 。 吉 田 ( 2005) は 、 感 情 形 容 詞には、感情表示機能が強いものと、評価機能が強いものがあると 指摘している。また、項構造から見れば、感情形容詞の「こわい」 は必須二項形容詞であり、しかも評価性が強い形容詞である。その 点 に お い て 、「 お そ ろ し い 」 は 「 こ わ い 」 と 共 通 し て い る 。. (59). 私は神の罰が おそろしい 。. 政 治 大. →私は おそろしい 。神の罰は おそろしい 。. 立. 私はお化けが 恐い 。→私は 恐い 。お化けは 恐い 。. 學. (吉 田 (2005: 8)). ‧ 國. (60). ‧. 「 お そ ろ し い 」、「 こ わ い 」 は い ず れ も 感 情 を 引 き 起 こ し た 対 象 と 引き起こされる主体の存在が必要である。両語とも「私」という経. y. Nat. sit. 験 者( Experiencer)と「 お 化 け 」 「 神 の 罰 」と い う 感 情 の 対 象( Theme). er. io. の二項を必須項として取る。. al. n. v i n C 詞 の 属 性 が 変 化 し た 〉と〈 主h語e名 詞 に 対 す n g c h i るU話 者 の 感 情 が 変 化 し た 〉 さ ら に 、「 ナ ル 構 文 」 の テ ス ト に よ っ て 、「 こ わ い 」 に は 〈 主 語 名. という二つの解釈と、 〈 主 語 名 詞 に 対 す る 話 者 の 感 情 が 変 化 し た 〉と いう一通りの読みしかない場合がある。. (61). あの先生が 恐くなった 。. (62). 手術が 恐くなった 。. (吉 田 (2005: 11)) (吉 田 (2005: 11)). (61)に は「 以 前 は や さ し か っ た あ の 先 生 が 兇 暴 に な っ た 」 「私はあ の先生を以前より恐れるようになった」という二通りの読みがある が 、 (62)に は 「 手 術 を 以 前 よ り 恐 れ る よ う に な っ た 」 と い う 話 者 の 感 情 変 化 し か 表 さ な い 。そ れ に 対 し て 、 「 お そ ろ し い 」は ど ち ら で も 26.
(32) 「主語名詞に対する話者の感情が変化した」という読みしかない。. (63). あの先生が 恐ろしくなった 。. (64). 手術が 恐ろしくなった 。. し か し 、 (65)~ (67)の よ う に 、 そ の 両 語 は 互 い に 入 れ 替 え ら れ な い場合も少なくない。. (65). 草 原 で 恐 ろ し い / ?恐 い 毒 蛇 に あ い 、怖 か っ た 。 (大辞泉). (66). 「まさかこの時期日本の女が堂々と公安局へやってくる. 政 治 大. な ど 思 い も し な か っ た の で す 。そ ん な 恐 い も の 知 ら ず /. 立. *恐 ろ し い も の 知 ら ず の 女 な ど 未 だ か つ て 来 た こ と が あ. ‧ 國. (67). 學. り ま せ ん で し た か ら 。」( 良 永 勢 伊 子 『 忘 れ ら れ た 人 び と 』) ああ、雪が降って参りました。どうも雪の日には昔を思. ‧. い 出 し ま し て い け ま せ ん 。 私 の 恐 ろ し い / *恐 い 不 幸 が 思い出されまして、寂しくて寂しくてどうにも仕様がな. y. Nat. sit. いので御座います。. er. io. ( 大 慈 宗 一 郎 /鮎 川 哲 也 『 こ ん な 探 偵 小 説 が 読 み た い 』). al. n. v i n C h つ い て 、 森 田U( 2008) で は 三 種 類 に 分 形容詞の連体修飾の性格に engchi. 類している。①は対象自体が持つ属性を捉えた表現であり、例えば 「 鋭 い 刃 」、「 丸 い テ ー ブ ル 」 な ど が あ る 。 ② は 対 象 と 話 者 と の 二 者 関係における話者側の主観として説明的に述べるものであり、例え ば 「 懐 か し い 故 郷 」、「 大 嫌 い な 料 理 」 な ど が あ る 。 ③ は 話 者 側 の 感 じる状態と対象自体が具有する性質と重なる場合があるものであり、 例 え ば「 恐 ろ し い 怪 談 」、 「 薔 薇 の 痛 い 棘 」な ど で あ る 。森 田 (2008: 210)で は 、③ の 感 情 や 感 覚 が 「 、特定個人の場合だけのものではなく、 万人共通の普遍性を帯びるとき、②が同時に①でもあるということ に な る 。」と 指 摘 し て い る 。し た が っ て 、(65)~ (67)か ら 見 れ ば 、(65) の「 恐 ろ し い 」は そ の 毒 蛇 の 属 性 を 限 定 し て い る が 、 「 怖 い 」は 話 者 27.
(33) が経験したことに対する「恐怖感」を表している場合が多い。それ に対して、 「 お そ ろ し い 」は そ の 対 象 の 感 情 に 限 定 せ ず 、一 般 大 衆 も そ う 感 じ る 場 合 に よ く 使 わ れ る と 思 わ れ る 。 ま た 、 (67)の 「 恐 ろ し い」は恐怖感を感じさせるのではなく、不幸の程度が甚だしい、驚 くほどであるという意味を表している。したがって、ただ対象に対 する感情を示す「こわい」は使えない。 以上から分かるように、 「 お そ ろ し い 」、 「 こ わ い 」は〈 恐 怖 を 感 じ る〉という意味を表す感情形容詞であり、しかも両語とも評価性が 強 い が 、異 な る と こ ろ も あ る 。 「 お そ ろ し い 」に は「 こ わ い 」が 持 っ ていない〈程度が甚だしい〉などの意味が含まれている。. 政 治 大. では、何故「おそろしい」には〈恐怖を感じる〉だけではなく、. 立. さらに〈程度が甚だしい〉という意味も含まれているのか。. y. sit. 「ギャー、 こわい !」. al. i n U. お そ ろ し い / *こ わ い 人 出 だ 。. Ch. engchi. er. おそろしい/こわい ほどの人出だ。. n. b. 「ギャー、*おそろしい !」. io. (70)a. あの先生は こわい 。. Nat. b. ‧ 國. (69)a. あの先生は おそろしい 。. ‧. b. 學. (68)a. v. (68)の 「 お そ ろ し い 」 と 「 こ わ い 」 は 互 い に 入 れ 替 え ら れ る が 、 ニ ュ ア ン ス は 異 な る 。(68b)の 場 合 で は 、例 え ば 、あ の 先 生 と 話 者 と の個人的関係で、話者が怖いと思っていることを表している。それ に 対 し て 、(68a)の 場 合 で は 、先 生 が 怒 っ た ら 、ど ん な 振 る 舞 い を す るか、どんなことが起こるか想像できないから、誰からも恐れられ ているということを表していると思われる。 ま た 、 お 化 け を 見 て 、 (69b)と 言 う 人 は い る が 、 (69a)と 言 う 人 は い な い と 思 わ れ る 。 そ れ に 、 (70a)は 両 方 と も 言 え る が 、「 こ わ い 」 が 使 わ れ る 場 合 は 、自 分 に 危 険 が 及 び そ う な 意 味 が 含 ま れ る が 、 「お そろしい」のほうは人がたくさんいることに驚くという意味が含ま 28.
(34) れ て い る 。し た が っ て 、 「 こ わ い 」は 対 象 に 接 し て 直 接 に 発 す る 即 自 的な言葉であるが、 「 お そ ろ し い 」は 対 象 に 接 し て 、少 し 時 間 が 経 っ て事態を反省的に捉えた時に使われる言葉だと言えよう。 つまり、 「 こ わ い 」は 話 者 が 対 象 に 接 し て 直 接 に 発 す る 言 葉 で あ り 、 反応時間は「おそろしい」より短い。したがって、話者は直感的に は「 こ わ い 」と い う 語 で 反 応 す る で あ ろ う 。一 方 、 「 お そ ろ し い 」は 考 え る 余 裕 が あ っ て 、直 接 の 反 応 と 言 う よ り 、む し ろ 評 価 性 が 強 く 、 評価形容詞に近いと思われる。 さ ら に 、 (71)(72)か ら 分 か る よ う に 、「 お そ ろ し い 」「 こ わ い 」 と の 共 通 点 は〈 恐 怖 を 感 じ る 〉だ け で な く 、 〈 不 思 議 で 、説 明 が つ か な. 政 治 大. い〉という意味も表している。. 立. 慣 れ と は お そ ろ し い も の で 、静 か な 所 で は か え っ て 眠 れ. ‧ 國. 學. (71). ない。. 一念というのは こわい もので、とうとうやりとげた。. ‧. (72). (大 辞 林 ). Nat. sit. y. (大 辞 林 ). er. io. し か し 、両 語 の 意 味 拡 張 の プ ロ セ ス は 異 な る と 思 わ れ る 。 「おそろ. al. n. v i n C h し 、プ ロ フ ァ イUル さ れ る と 、 う感じにある未知感を引き出 〈不思議で、 engchi し い 」も「 こ わ い 」も 基 本 義 の〈 恐 怖 を 感 じ る 〉か ら 、 〈 恐 怖 〉と い. 説 明 が つ か な い 〉と い う 意 味 に な る 。し か し 、 「 お そ ろ し い 」に は「 こ. わい」のない共感覚、社会性、それに事態を反省的に考える余裕が あるため、さらに〈程度が甚だしい〉という意味へと拡張されてい くのだと思われる。. 6.2. 「おそろしい」の統語的特徴 (73). こ わ い / *お そ ろ し い も の 見 た さ. (74). Aは 怖 が り / *お そ ろ し が り な の で 、 ホラ ー ビ デ オ を 決 し て一人で見ようとはしませんでした。 29.
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