第 5 章 河道流下断面の維持管理のための対策
第 4 節 河口部の対策
<考え方>
河口閉塞については、土砂の除去による維持管理対策では再度閉塞する場合も多く、河 道計画の見直しや他の工法(例:導流堤、離岸堤)との併用についても必要に応じて検討 することが重要である。河口部の水理現象は非常に複雑であり、沿岸流、潮汐等の海域の 諸現象と密接不可分の関係にあり、広範囲の汀線の変化、波浪、漂砂、河川の流送土砂等 の調査1)を行う必要がある。
<標 準>
河口閉塞が、河川管理上の支障となる場合には、塩水遡上の影響等を考慮し、土砂の除 去等の適切な措置を講じることを基本とする。
また、河口閉塞が、河口部における流水の疎通や水質環境等に支障を生じている場合は、
塩水遡上や周辺海岸の状態も考慮しつつ、土砂の除去による流路の確保や砂州高の低下等 の適切な措置を講じることを基本とする。
河口部は河川の自然環境上重要な場でもあることから、生物の生息・生育・繁殖環境に も十分配慮することを基本とする。
<関連通知等>
1) 河川砂防技術基準調査編,第 4 章:平成 26 年 4 月 1 日,国水情報第 52 号,水管理・国土 保全局長
53 第 6 章 施設の維持及び修繕・対策
第 1 節 河川管理施設一般
1.1 土木施設
<考え方>
護岸、あるいは堰、水門等の河川管理施設等の土木施設部分が被災すると、これが原因 となって本体周辺の堤防や河岸が被災し、大きな災害に至ることがある。このため河川管 理施設等が良好状態に保たれ、出水時に所要の機能が確保されなければならないものであ る。
<必 須>
点検その他の方法により河川管理施設等の土木施設部分の損傷、腐食、その他の劣化そ の他の異状があることを把握したときは、河川管理施設等の効率的な維持及び修繕が図ら れるよう、必要な措置を講じるものとする。
<標 準>
土木施設の維持及び修繕については以下を基本とする。
①点検等によりクラック、コンクリートの劣化、沈下等の変状を発見し、各々の施設が 維持すべき機能が低下するおそれがみられた場合には、継続的に状態把握(点検)を行 う等により原因を調査する。
②当該河川管理施設等及び同種の構造物の過去の被災事例や異常発生事例を参考として、
点検等の調査による変状の状態から施設の機能の維持に重大な支障が生じると判断し た場合には必要な対策を行う。
また、対策にあたっては、長寿命化対策の検討等により、長期的なコストに考慮すると ともに、施設を更新する際には、施設の位置や周辺環境を勘案し河川本来の生態系や多様 な景観等の水辺環境を保全・創出することや、地域の暮らし、歴史、文化との調和に配慮 するなど、質的な向上について検討することを基本とする。
1.2 機械設備・電気通信施設
<考え方>
河川管理施設の機械設備・電気通信施設については、長寿命化計画及び定期点検の結果 等に基づいて適切に維持管理するものである。
<必 須>
54
点検その他の方法により河川管理施設等の機械設備・電気通信施設の損傷、その他の劣 化その他の異状があることを把握したときは、河川管理施設等の効率的な維持及び修繕が 図られるよう、必要な措置を講じるものとする。
<標 準>
機械設備・電気通信施設については、第 4 章第 5 節 5.4 に示す定期点検の結果等に基づ いて、適切な状態把握(状態監視)の継続及び整備・更新を行うことを基本とする。
なお、点検・整備・更新の結果は適切に記録・保存し、経時変化を把握するための基礎 資料として活用することを基本とする。
(1)機械設備について
<考え方>
機械設備の整備・更新に関しては、機能の重要性等に鑑みて行っていく必要がある。例 えばゲートに関しては、堤防としての機能(出水時の止水機能)、あるいは取水のための機 能を確保する必要があり、危機管理を踏まえた維持管理についての検討も必要である。
また、設備の設置目的、装置・機器等の特性、設置条件、稼働形態、機能の適合性等を 考慮して内容の最適化に努め、かつ効果的に予防保全(設備、装置、機器、部品が必要な 機能を発揮できる状態に維持するための保全)と事後保全(故障した設備、装置、機器、
部品の機能を復旧するための保全)を使い分け、戦略的に実施することが重要である。予 防保全についても、部材・部品によっては定期的な交換を行う時間計画保全から、状態監 視を重視して設備を延命するあるいは再利用する状態監視保全へと順次移行することが重 要である。
<標 準>
機械設備は、点検及び診断の結果による劣化状況、機器の重要性等を勘案し、効果的・
効率的に維持管理することを基本とする。
大河川における機械設備のうち、ゲート設備、ポンプ設備等の整備・更新は、河川用ゲ ート・ポンプ設備の点検・整備等に関するマニュアル等1)2)3)4)に基づいて行うことを基本と する。また、ゲート設備、ポンプ設備等の塗装については、機械工事塗装要領(案)・同解 説5)に基づいて行うことを基本とする。
中小河川における大規模または重要度の高いゲート設備、ポンプ設備等の整備・更新及 び塗装は、大河川と同様に行うことを基本とする。
(2)電気通信施設について
<考え方>
55
河川の電気通信施設には、テレメータ設備、レーダ雨量計設備、多重無線設備、移動通 信設備、衛星通信設備、河川情報設備等がある。
<標 準>
電気通信施設は、点検及び診断の結果による劣化状況、施設の重要性等を勘案し、効果 的・効率的に維持管理することを基本とする。
電気通信施設の整備・更新は、点検、診断等に関する基準等 6)7)8)に基づいて行うことを 基本とする。
<推 奨>
電気通信施設は、点検・整備・更新にあたって長寿命化やライフサイクルコストの縮減 の検討を行い、戦略的に電気通信施設の維持管理を行うように努める。
<関連通知等>
1) 河川用ゲート・ポンプ設備点検・整備・更新検討マニュアル(案)について:平成 20 年 3 月 31 日,国総施第 270 号,国河治保第 8 号,施工環境技術推進室長,河川保全企画室長 2) ゲート点検・整備要領(案):ゲート点検・整備要領検討委員会編,(社)ダム・堰施設技
術協会,平成 17 年 1 月
3) 揚排水機場設備点検・整備指針(案)の制定について:平成 20 年 6 月 27 日,国技電第 56 号,国総施第 111 号,国河治第 151 号,技術調査課長,建設施工企画課長,治水課長 4) ダム・堰施設技術基準(案):平成 25 年 7 月 9 日,国技電第 16 号,国総公第 36 号,国水
環第 32 号、国水治第 25 号
5) 機械工事塗装要領(案)・同解説:国土交通省総合政策局建設施工企画課,平成 22 年 4 月
6) 電気通信施設点検基準(案):平成 26 年 12 月 22 日,国技電第 39 号
7) 電気通信施設維持管理計画指針(案):国土交通省大臣官房技術調査課電気通信室,平成 25 年 3 月
8) 電気通信施設維持管理計画作成の手引き(案):国土交通省大臣官房技術調査課電気通信 室、平成 26 年 3 月
第 2 節 堤防
2.1 土堤
2.1.1 堤体
<考え方>
56
57 を行い、必要な対策を実施することを基本とする。
<推 奨>
洪水及び地震に対する堤防の信頼性を維持し高めていくためには、堤防の保持すべき 個々の機能に着目した点検としていくことが重要であるため、目視による点検方法のほか、
堤防の個々の機能に応じて計器を設置する等して、出水時に生じる湿潤面発達状況、堤防 周辺地盤の挙動等を計測することも検討することが望ましい。
堤防の開削工事は、堤防の構成材料や履歴を把握する貴重な機会であるので、長年にわ たって築かれた堤防では、堤防断面調査を実施することが望ましい。
蓄積された堤防の状態把握、分析評価、対策の繰り返しの経験をもとに、必要に応じて 堤防の構造、材料や設計法の妥当性について再検証することが望ましい。
中小河川では、大河川に準じて学識者等の助言を得られるように体制の整備等を行うこ とが望ましい。
(2)分析評価について
<標 準>
大河川では、被災あるいは被災要因に関して、出水時及び出水後において確認された被 災箇所と既存の被災対策箇所との重ね合わせを行うことにより、対策の評価や課題等を把 握することを基本とする。点検結果については、過去の被災履歴を整理するとともに、あ らたな被災の発生状況を順次加えて記録、保存することを基本とする。
点検、対策の結果は、水防、災害実績等の堤防の安全性に関係する他の資料とともに河 川カルテ等として保管、更新することを基本とする。
<推 奨>
中小河川では、大河川に準じて対策の評価や課題等を把握することが望ましい。
(3)対策について
<標 準>
堤防が洪水あるいは地震により被害を受けた場合には、入念な調査により被害の原因や
堤防が洪水あるいは地震により被害を受けた場合には、入念な調査により被害の原因や