第 1 章 総説
第 2 節 河川維持管理の基本方針
準等に基づく適切な維持管理を実施するとともに、効率化・高度化のための技術開発やコ スト縮減等にも取り組んでいくことが必要とされている。
本基準に記されていない事項については、法及び本基準にある主旨を参考とし、適正に 河川維持管理を実施する必要がある。河川管理者は、河川管理の目的の下で地域の実情や 河川の規模等に応じ本基準を適切に運用するとともに、新たな技術の採用や創意工夫によ り効果的な河川維持管理を行うことも可能である。また、河川の状態変化を把握し、その 分析・評価を繰り返すことにより工学的な知見を積み重ね、経験を中心とした技術から工 学的な技術体系への転換を図りながら、本基準の改定に努めていくことが重要である。
第 2 節 河川維持管理の基本方針
(1)河川維持管理の基本方針
<考え方>
河川維持管理は、河道流下断面の確保、堤防等の施設の機能維持、河川区域等の適正な 利用、河川環境の整備と保全等に関して設定する河川維持管理目標が達せられるよう、河 川管理施設等の構造等を勘案して適切な時期に巡視、草刈り、障害物の処分その他の河川 管理施設等の機能を維持するために必要な措置を講ずるとともに、適切な時期に点検を実 施し、損傷、腐食その他の劣化その他の異状を把握した場合に必要な措置を講じるなど、
適切かつ総合的に行う必要がある。
なお、状態把握の結果の分析や評価には確立された手法等がない場合が多いため、学識 者等の助言を得られるように体制の整備等を行うことが必要である。
また、河道及び河川管理施設の維持管理は、長年にわたり経験を積み重ねながら実施さ れているため、管理経験者を活用して技術を継承しつつ、適切に点検等の状態把握や分析・
評価、維持管理対策等を実施していくことが必要である。
(2)維持管理に関する情報の記録
<考え方>
河川管理施設等に関する状態把握や分析・評価、修繕・更新等の維持管理を着実に実施 するためには、まず施設の基本情報である河川台帳等の調製、更新を確実に行い、合わせ て点検結果、健全性の評価結果など、施設の維持管理に関する諸情報を正確に把握し記録 するとともに、重要な情報を集約しデータベース化を進める必要がある。
(3)戦略的な維持管理
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<考え方>
各河川における管理水準を持続的に確保し、中長期的な維持管理に係るトータルコストの 縮減や平準化を図るためには、河道及び河川管理施設がその本来の機能を発揮されるよう 計画的に維持管理を行うとともに、状態監視保全への移行や長寿命化対策などを踏まえた 戦略的な維持管理を行うことが必要である。
① 中長期的視点に立った維持管理計画
維持管理は長期的視点に立って計画的に取り組むことが重要であり、そのためには、
点検・診断結果やこれらの評価結果を踏まえ、施設の長寿命化計画等1)の維持管理に係 る中長期的な計画の策定や見直しを推進し、当該計画に基づき対策を実施していく必 要がある。
②メンテナンスサイクルの構築
河川管理施設は、利用状況、設置位置周辺の自然環境等に応じ、劣化や損傷の進行 は施設毎に異なり、その状態は時々刻々と変化する。現状では、これらの変化を正確 に捉え、河川管理施設の寿命を精緻に評価することは技術的に困難であるという認識 に立ち、河川管理施設を構成する各部位の特性を考慮した上で、定期的な点検・診断・
評価により施設の状態を正確に把握することが必要である。
このため、点検・診断・評価の結果に基づき、適切な時期に、着実かつ効率的・効 果的に必要な対策を実施するとともに、これらの取組を通じて得られた施設の状態や 対策履歴等の情報を記録し、次期点検・診断等に活用するというメンテナンスサイク ルを構築し、このメンテナンスサイクルを継続的に発展させていく必要がある(第 2 章第 2 節参照)。
③状態監視保全、事後保全への移行
堰や水門・樋門、排水機場など、機械設備や電気通信施設を有する河川管理施設の 維持管理は、故障した場合に施設機能に致命的な影響を与える部材や部品などを経過 年数に伴い定期的に交換・更新を行う「時間計画保全」等の考え方に基づいて、計画 的に実施されてきた。
今後、トータルコストの縮減や平準化を図るためには、土木施設を含め河川管理施 設の長寿命化を図り、大規模な修繕や更新を軽減することが必要である。このため、
維持管理の対象となる施設について、施設の部材、部品が故障することにより施設機 能に致命的な影響を与えるか否かを考慮した上で、「時間計画保全」すべき部材、部品 を除き、「状態監視保全」(構成する部材や部品などの損傷を点検等により早期に発見 し、事故や大規模な修繕が必要となる前に対策を行う)や「事後保全」(所定の機能が 満たされなくなるまで継続使用し、更新する)の考え方へ移行していく必要がある。
④長寿命化対策の推進
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河川管理施設については長寿命化対策を進めトータルコストの縮減に取り組んでい く必要がある。特に、確実に経年劣化を生じる機械設備や電気通信施設を有する河川 管理施設については、新たな技術を開発・導入して状態監視の信頼性を高めていくと ともに、施設そのものに耐久性のある構造・部材・部品を適用していく必要がある。
(4)許可工作物の設置者等への指導・監督
<考え方>
法第 15 条の 2 における許可工作物の管理者とは、その許可を受けて施設を設置している 者(以下「設置者」という)であり、許可工作物については、設置者が点検し、必要な対 策を行うことが原則であり、河川管理者はその設置にあたり、適切な維持管理が行われる よう許可申請時に審査するとともに、設置後の指導・監督等を適切に行う必要がある。
また、河川は公共用物であることから、スポーツ・レクリエーション活動、舟運、街づ くり等の多様な要請に応えることができるよう、これら相互の調整を図りつつ、適正に維 持管理していく必要がある。一方、河川敷地の不法占用や不法投棄が後を絶たない状況に あるが、これらは洪水の安全な流下や他の河川利用、河川環境に支障を及ぼす行為であり、
発見した場合には、行為者に原状回復や撤去の指示を行う等により厳正に対処することも 必要である。
(5)河川環境の維持
<考え方>
河川は、豊かな自然環境を残し、うるおいある生活環境の舞台としての役割が期待される。
このため、河川維持管理にあたっても多自然川づくりを基本とし、生物の良好な生息・生 育・繁殖環境の保全、良好な景観の維持・形成、人と河川との豊かなふれあい活動の場の 維持・形成、良好な水質の保全といったニーズに応えるべく、河川整備計画における河川 環境の整備と保全の内容を基にして、河川水辺の国勢調査等の環境調査2)結果を踏まえつつ、
地域と一体となって河川を維持管理していくことが必要である。
また、流水の正常な機能が維持されるよう、河川の状態把握等を行うことも必要である。
(6)水防のための対策
<考え方>
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河川管理者は出水時の対応のため、緊急復旧(応急対策を含む)に必要な資材を計画的 に備蓄するとともに、市町村等が洪水時等に適確な水防活動ができるよう重要水防箇所を 定め、周知する必要がある。
洪水予報河川、水位周知河川においては、出水時における水防活動、あるいは市町村及 び地域住民における避難活動に資するよう洪水予報等の情報提供を行う必要がある。
(7) 水質事故対策
<考え方>
突発的に発生する水質事故に対応するため、関係機関と河川管理者で構成する連絡協議 会等を設置し、事故対応の訓練や事故発生時の連絡系統の整備を行い、緊急事態が発生し た場合に即応できるようにする必要がある。
(8)地域連携等
<考え方>
人々の生活や地域との密接な関係の下で、その川の特徴とその地域の風土が形成されて きた。そこで、河川と地域との歴史に学びつつ、その地域の自然風土、生活環境、産業経 済、社会文化等の特性を踏まえ、地域社会と一体となって河川を維持管理することが必要 である。そのためには、市区町村、河川協力団体、NPO、市民団体等との連携等を積極的に
人々の生活や地域との密接な関係の下で、その川の特徴とその地域の風土が形成されて きた。そこで、河川と地域との歴史に学びつつ、その地域の自然風土、生活環境、産業経 済、社会文化等の特性を踏まえ、地域社会と一体となって河川を維持管理することが必要 である。そのためには、市区町村、河川協力団体、NPO、市民団体等との連携等を積極的に