第 4 章 ネットニュース見出しにおける記号の用法
4.1 読点
4.1.1 手引きにおける方針
読点の用法について、『朝日新聞の用語の手引き』(2010 年版)、『読 売新聞用字用語の手引き』(2011 年版)、『毎日新聞用語集』(2007 年版)、『記者ハンドブック 第 12 版 新聞用字用語集』では、以下の ように記述している。
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『朝日新聞の用語の手引き』
Ⅰ.読点は、記事を読みやすくし、また文意を正しく伝えるために、
息の切れ目や読みの「間」を考えて打つ。
Ⅰ-a.主題となる語に付く助詞(「は」など)の後
Ⅰ-b.修飾語句の対象を明らかにさせる時
Ⅰ-c.仮名や漢字がくっつきやすい時
Ⅰ-d.語句を並べるときや対立節に
Ⅱ.連体修飾節と直接次に続く被修飾語の名詞との間には読点を打 たない
Ⅲ.番号の① ②や記号のカッコの前には誤読の恐れがない場合は 使わない、しかし、ぜひ必要な時もある
『読売新聞用字用語の手引き』
記事を読みやすくするために、また文章の構造に従って正しく理 解してもらえるように使う。息の切れ目や読むときの間合いを目安 にするとよい。
Ⅰ.文章の主題が分かりやすいよう主語の後に
Ⅱ.並列的に語句を列記した時
Ⅲ.対立的な文章が並んだ時
Ⅳ.文の切れ目で
Ⅴ.カッコの前に
Ⅵ.文意が分かりづらい時
ⅶ.読みにくい時、記事の重要な要素が紛れないように使う。
ⅶ-a.住所に続く氏名や会社名などの前
ⅶ-b.「いつ」「どこで」「誰が」「どうして」などを表す各語句
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の後に
『毎日新聞用語集』
Ⅰ.文の息の切れ目に読点を打つ
Ⅱ.対等に語句を並べる場合に打つ
Ⅲ.難読、誤読を避けるため使う
Ⅳ.文の構造を分かりやすくするために打つ
Ⅳ-a.節と節の間に打つ
Ⅳ-b.前置きの節や語句を区切る
Ⅳ-c.挿入された節や語句を区切る
Ⅳ-d.主語を明確にするために打つ
Ⅳ-e.修飾する語とされる語の関係を明確にするために打つ
Ⅴ.読点を打たない場合
読点と他の符号との連続はなるべく避ける
『記者ハンドブック 第 12 版 新聞用字用語集』
Ⅰ.文章を読みやすくしたり、記事内容を正しく伝えるために打つ。
息の切れ目や読みの間(なるべく 20 字以内)を考えて付ける
Ⅱ.語句の列記には読点を打つ
Ⅲ.誤読、難読を避けるため読点を打つ
Ⅳ.誤読、難読の恐れのない場合は、原則として読点を打たない
Ⅳ-a.一方、なお、またなどの後
Ⅳ-b.主語となる部分の語・句や文や短い時
Ⅳ-c.所属など丸カッコつきの氏名を列記する場合
Ⅳ-d.カッコの前の助詞や動詞の後
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Ⅳ-e.「①…②…」と追い込みの箇条書きに入る前
以上のように、各手引きの説明には違いがあるが、読点の基本的 な用法として、難読、誤読を避けるため、記事を読みやすくし、ま た文意を正しく伝えるために、息の切れ目や読みの間(なるべく 20 字以内)を考えて打つことが第一に挙げられていることは一致して いる。
手引きにおける読点の使用方針は大別して、読点を打つ場合と打 たない場合に分けられている。しかし、本研究では読点が使われて いる場合に注目するため、読点を打たない場合は研究対象外とする。
各手引きでの記述には違いがあるので、以下の表 4-1 で読点の使 用方針をまとめてみた。
表 4-1 読点の使用方針33
読点の使用方針 各手引きでの記述
Ⅰ.主語や主題の後ろ に
主題となる語に付く助詞(「は」など)の後
(朝)
文章の主題が分かりやすいよう主語の後に
(読)
主語を明確にするために打つ (毎)
Ⅱ.並列や対立を表す 語句を並べるときや対立節に (朝)
33 各手引きでの記述を整理し、記述の後ろに手引きの出所を明記するため、各手 引きの第一字を取り上げ、『朝日新聞の用語の手引き』を(朝)、『読売新聞用字用 語の手引き』を(読)、『毎日新聞用語集』を(毎)、『記者ハンドブック 第 12 版 新 聞用字用語集』を(記)で表示する。
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