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新聞見出しについての研究

第 2 章 先行研究と本研究の位置づけ

2.3 新聞見出しについての研究

ニュース見出しの研究には、新聞を対象としたものがもっとも多 い。新聞における見出しの研究は主に省略方法、文末特徴、歴史的 変化、日本語教育での応用などがある。

まず、新聞見出しにおける省略方法の研究は菅野(1993)、日比野

(1995)、水内(2001)、野口(2002)などがある。次に、文末特徴 については、野口(2006)の文末格助詞、取り立て助詞の研究があ る。また、歴史的変化の研究は梶原(1986)、田原(1994)がある。

日本語教育での応用の研究は水内(2000)がある。その内、本研究 と関連深い、記号について言及されている研究は野口(2002)と田 原(1994)である。

野口(2002)は 1990 年から 2002 年 2 月末まで、朝日、日経の新 聞見出しを研究資料として抽出し、「客観見出し」を持つ政治面・経 済面と「主観見出し」を持つ社会面という記事種類に分けて、見出

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く、この二つの分類に言及する意味合いはあまりないと考えられる。

野口(2002)は新聞見出しを研究対象とするのに対し、本研究で はネットニュース見出しを研究対象とし、さらに記号を研究の中心 とする。以上で提示した野口(2002)の問題点より、本研究では記 号による省略に限らず、記号の用法全般について分析を行う。また、

記事種類についても、特に政治面・経済面・社会面に限定せず、広 範に記事種類の見出し資料を収集する。

一方、田原(1994)は 20 年ごとの三時代(1940 年、1960 年、1980 年)における新聞見出しの記号を比較している。

その結果、記号について大きな時代間の相違が見られた。1940 年 にはヒゲ(〝〟)以外はあまり見られなかったが、1960 年と 1980 年では、読点(、)中点(・)疑問符(?)カギ括弧(「 」)といっ た記号が多用されるようになった。

さらに用法について、読点は「格助詞の省略」、「文の切れ目の明 示」、「同格」の三つの用法がある。この内、「格助詞の省略」は 1960 年及び 1980 年の二時代で使用数が最も多い用法であり、また時代に つれて増加していた。「同格」の用法については、1980 年に最も少 なくなっており、その代わりに中点が使用されている。疑問符は 1940 年には全く使用されていなかったが、1980 年には使用量が増え、

断定を避ける傾向があると田原(1994)は指摘している。ヒゲとカ ギ括弧については、「引用」と「取り立て」の二つの用法がある。1940 年にはカギ括弧よりヒゲの使用が多いが、1980 年には逆転し、カギ 括弧の使用が多くなっており、ヒゲは強い「取り立て」の時のみに 使われていた。

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田原(1994)はこれらの記号について、記事を効果的、正確に伝 えるための工夫がなされており、より視覚的、印象的にとらえるの に寄与しているという特徴がまとめられている。

田原(1994)の研究は新聞見出しにおける字種12

また、田原(1994)の研究結果では、新聞見出しにおける記号の 使用は時代につれて増加傾向にあると述べられている。インターネ ットが発達している現在、横書きであるネットニュース見出しにお ける記号の使用状況はどのような傾向や特徴を持つのかについて、

本研究では深く分析を行う。

を中心に歴史的 変化を分析しており、見出しで多く見られる文法研究とは異なる視 点で論述している。しかし、現在の新聞見出しでは横書き、縦書き という配置によって、記号の使用が異なると考えられるが、田原

(1994)は新聞見出しについての配置に言及していない。