第 5 章 ネットニュース見出しと新聞見出しの特徴
5.2 新聞見出しの特徴
5.2.2 記号から見た新聞見出し
本節は 2011 年 12 月 1 日から 2011 年 12 月 5 日までの「朝日新聞」、
「読売新聞」、「毎日新聞」3 社の新聞見出しにおける記号使用につ いて、新聞社と記事種類から調査する60
まず、新聞見出しでの記号の使用は読点（、）、中点（・）空白、
矢印（→）、カギ括弧（「」）、疑問符（？）、感嘆符（！）、三角印（▲）、 ダッシュ（－）、斜線（／）、四角（■）、波線（～）、パーセント（％）、 句点（。）、三点リーダー（…）、ヒゲ（“”）の 16 種類がある。しか し、新聞見出しにおける記号の使用は、見出しの横書きと縦書きと いう書き方により、使い方が違う場合もある。例をあげると、三角 印は時に逆三角印（▼）になり、矢印は時に方向違いの矢印（↓）
になる場合がある。これは新聞見出しは恣意的横書きと縦書きで構 成されているからである。
。
次に新聞社と記事種類から記号の使用を調査した。新聞社ごとの 記号の使用はあまり差がない。しかし、記事種類によって、記号使 用には違いがあることが分かった。例えば、ダッシュはほとんどス ポーツ面の見出しにしか現れていない。斜線、四角、三点リーダー、
ヒゲという記号は大多数が生活面の見出しに現れている。
60 本研究は主にネットニュース見出しを対象とし、ネットニュース見出しの記号 の使用回数について分析したが、本章はネットニュース見出しと新聞見出しの使用 記号の種類について比較し、その特徴を描き出すことを目的としており、使用回数 についてここでは調査せず、研究対象外とする。
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文字の大きさ、太さと字体 の変化
なし あり
文字の色 クリック後に変化 主に黒、黒地に白 抜きもあり 罫線、背景色、網掛け なし あり
見出しの長さ 11～28 字程度 8～10 字程度 見出しの後ろの画像61付加 時にあり なし
表 5-1 から、ネットニュースと新聞の本質的な違いが分かった。
ネットニュースでは、一つの記事当たりの見出しは一つだけであ る。読者が見出しをクリックする動作によって、記事を読む。記事 全文の下にさらに縦断的、横断的時間の関連記事の見出しが揃えら れるので、また見出しをクリックすることによって、記事が読める。
よってネットニュース見出しは「線条的文脈」を持っていると思わ れる。
「線条的文脈」の構造を持つネットニュースにおいて、見出し後 ろの画像は、記事全文や他の関連記事、動画などへと読者を導く道 標の役割を果たしていると思われる。
次に、新聞について、一面の記事で見出しの文字の大きさと太さ といった表現と空間的配置により、読者の目を惹く役割がある。
また、新聞は横断的時間の記事が揃えられ、記事の最後には読者 に関連記事の存在も知らせる「関連記事 N 面」という表記があり、
61 記事全文が読めることを示す 、写真付きであることを示す などの画像があ る。
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その日の関連記事をさらに読める。新聞見出しの配置は単一ではな く、横書きと縦書きの見出しが並存している。そして、一つの記事 に対し、複数の見出しを使っていることもあり、「非線条的文脈」を 形成している。
b.本章におけるネットニュース見出しと新聞見出しの記号使用は 同じ期間（2011 年 12 月 1 日から 2011 年 12 月 5 日まで）の資料を 使い、記号を中心に見出しを考察した。5.2.2 の記号から見た新聞 見出しに呼応させるため、第三章の 3.2 ネットニュース見出しにお ける記号の使用状況の結果を 5.1.2 の記号から見たネットニュース 見出しでまとめた。ネットニュース見出しと新聞見出しにおける記 号使用の結果を表 5-2 でまとめる。
表 5-2 ネットニュース見出しと新聞見出しにおける記号使用 62 記号使用 ネットニュース見出し 新聞見出し
読点 、 ○ ○
中点 ・ ○ ○
矢印 → ○ ○
カギ括弧 「」 ○ ○
波線 ～ ○ ○
パーセント ％ ○ ○
空白 ○ ○
62 本研究の分析資料において、該当する用例がある場合は○で表す。該当する用 例がない場合は×で表す。
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疑問符 ？ ○ ○
感嘆符 ！ ○ ○
ダッシュ － ○ ○
三点リーダー … ○ ○
括弧 〈 〉 ○ ×
コロン : ○ ×
イコール ＝ ○ ×
特殊記号 ♂ ○ ×
句点 。 × ○
斜線 ／ × ○
四角 ■ × ○
三角印 ▲ × ○
ヒゲ “” × ○
資料の収集期間によって調査結果は多少な違いがあるかもしれな いが、今回の調査からネットニュース見出しと新聞見出しにおける 記号使用の種類が概観できる。
今回の資料において、ネットニュース見出しと新聞見出しの双方 で使われている記号は読点、中点、矢印、カギ括弧、波線、パーセ ント、空白、疑問符、感嘆符、ダッシュ、三点リーダーの 11 種類で ある。空白の使用はネットニュースの「YOMIURI ONLINE」では見ら れなかった。疑問符と三点リーダーは新聞見出しにあまり使われて いない。ダッシュはほとんどスポーツ面の新聞見出しとネットニュ ース見出しにしか現れておらず、他の記事種類に現れている場合は
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「ＮＴＴ－ＭＥ」といった固有名詞である。
その内いくつかの記号は横書き、縦書きによって現れ方が違う場 合がある。例えば、矢印、波線、ダッシュ、三点リーダーがある。
また、ネットニュース見出しだけに使われている記号は括弧、コ ロン、イコール、特殊記号の 4 種類である。コロンは「毎日ｊｐ」
の全て見出しで使われているが、「asahi.com」と「YOMIURI ONLINE」
では見られなかった。イコールは一般に数字が多く使われている【ビ ジネス】の記事だけではなく、「毎日ｊｐ」の訃報にもイコールが使 われている。特殊記号の♂ は今回の見出し資料一件だけで現れた 人名で使われている記号である。
また、新聞見出しのみに使われている記号は句点、斜線、四角、
三角印、ヒゲの 5 種類である。四角は生活面と社会面の見出しに使 われている。また、ヒゲは生活面の見出しだけに縦書きで現れてい ることが分かった。
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